半導体はさまざまな製品に搭載され、社会生活を支えています。
その半導体を生産するための製造装置・材料の分野で日本企業は世界トップクラスです。
転職・就職で押さえておきたい半導体製造装置・材料業界の概要と動向をご紹介します。
半導体製造装置・材料業界
半導体業界には、半導体素子の製造、半導体素子を集積したIC(集積回路)の製造・組み立て、半導体製造装置の製造、半導体材料の製造などの事業があります。
半導体は技術革新のスピードが速く、巨額の研究開発費と設備投資で高性能な製品を作り続けるビジネスです。
社会的な半導体の重要性が増すなかで、半導体を生産する製造装置や材料の市場も成長しています。
業界の動向
半導体はデジタル製品や電動化が進む自動車向けなど成長市場で欠かせません。
また生成AI向けなど用途が広がっています。
今後も幅広い分野で半導体市場の拡大が続く見込みですので、製造装置・材料についても需要が当面続くと見られています。
半導体製造装置の世界シェア(2022年)
- アプライドマテリアルズ(米)
- ASML(蘭)
- ラムリサーチ(米)
- 東京エレクトロン
- KLA(米)
半導体製造装置
半導体製造装置の日本メーカーに対する評価は高く、世界トップレベルです。
半導体生産の設備投資が活発で、当面、好調が続く見通しです。
東京エレクトロン
半導体製造装置の国内最大手。
エッチング装置、成膜装置に注力しています。
- 設立:1963年11月11日
- 本社:東京都
- 売上高:2兆1,552億円
- 従業員数:17,204人
- 平均年齢:44歳
SCREENホールディングス
半導体洗浄プロセス関連の装置で世界大手。
洗浄装置や塗布装置など世界シェアトップクラスの製品を多数保有しています。
- 設立:1943年10月11日
- 本社:京都府
- 売上高:3,709億円
- 従業員数:5,987人
- 平均年齢:42歳
日立ハイテク
計測装置やエッチング装置など。
日立製作所の完全子会社になりました。
- 設立:1947年4月12日
- 本社:東京都
- 売上高:6,742億円
- 従業員数:14,746人
KOKUSAI ELECTRIC
日立国際電気から成膜装置事業が分社化。
- 設立:2017年2月2日
- 本社:東京都
- 売上高:1,854億円
- 従業員:2,472人
アドバンテスト
半導体検査装置で世界シェアトップクラス。
- 設立:1954年12月
- 本社:東京都
- 売上高:5,601億円
- 従業員数:6,544人
- 平均年齢:46歳
レーザーテック
半導体およびFPD関連の検査・計測装置。
業界標準の地位を確立しています。
- 創業:1960年7月
- 本社:神奈川県
- 売上高:903億円
ディスコ
ウェハー切断装置で世界最大手。
研削・研磨装置でも高く評価されています。
- 設立:1937年5月5日
- 本社:東京都
- 売上高:2,841億円
- 従業員数:4,553人
- 平均年齢:38歳
露光装置
- ASML(蘭):露光装置で首位
- ニコン(日):露光装置で世界2位
- キヤノン(日):ナノインプリント技術を開発
半導体材料
半導体の基幹材料である「シリコンウェハー」や製造工程で必要となる「フォトレジスト」などで日本企業は世界トップクラスです。
信越化学工業
半導体向けウェハー世界首位。
フォトレジストも世界トップクラスです。
- 設立:1926年9月16日
- 本社:東京都
- 売上高:2兆8,088億円
- 従業員数:26,004人
- 平均年齢:42歳
SUMCO
シリコンウェハーで世界2位。
- 設立:1999年7月30日
- 本社:東京都
- 売上高:4,410億円
- 従業員数:9,847人
住友化学
先端半導体向け材料に注力。
- 設立:1925年6月1日
- 本社:東京都、大阪府
- 売上高:2兆8,952億円
- 従業員数:33,572人
- 平均年齢:42歳
富士フイルムホールディングス
カラーレジストで世界トップクラス。
- 設立:1934年1月20日
- 本社:東京都
- 売上高:2兆8,950億円
- 従業員数:73,878人
- 平均年齢:46歳
田中貴金属工業
半導体向け金メッキ。
ボンディングワイヤは世界トップシェアを誇ります。
- 設立:1918年
- 本社:東京都
- 売上高:2,818億円
- 従業員数:2,498人
東京応化工業
半導体用フォトレジストで世界トップクラス。
- 設立:1940年10月25日
- 本社:神奈川県
- 売上高:1,754億円
- 従業員数:1,877人
JSR
フォトレジストで世界首位。
政府系ファンド設立会社のTOBで株式非公開化へ。
採用市場
半導体製造装置・材料業界は世界をリードする技術力を誇っています。
さまざまな職種で専門性の高い人材が求められます。
技術革新や業界の変化に柔軟に対応できることも転職市場での評価を高める上で、重要になります。
エンジニア
プロセス、機械、電気、ソフトウエア、化学、材料など幅広い領域のエンジニアが製品開発を行います。
さまざまな分野からの課題解決に評価や情報系のエンジニアが取り組んでいます。
営業・マーケディング
営業職には製品だけでなく、技術的にもサポートできるだけの知識が求められます。
マーケティングや製品企画のための情報収集機能も担っていますので、高度な技術知識が必要となります。
生産・製造
工場での生産に関する業務は、資材調達や製造技術、品質保証など多岐に渡ります。
量産のための重要な役割を担います。
メーカーの転職活動
エージェントサービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアアドバイザーのサポートを受けることができます。
非公開・独自案件の求人紹介だけでなく、書類作成や面接対策のアドバイスなどで選考通過率のアップが期待できます。
まとめ
5GやAI、自動運転など社会を支える半導体の重要性は高まっています。
あらゆる用途で半導体需要は拡大し、製造装置・材料の市場も長期的に成長が続くと見込まれます。
【参考】
・経済産業省ウェブサイト
・電子情報技術産業協会(JEITA)
・日本半導体製造装置協会(SEAJ)
・各企業公式サイト
・日本経済新聞出版『日経業界地図2024年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2024年版』