短期的には変動がありますが、長期的には成長を続けると予想されます。
半導体産業の転職・就職で押さえておきたい業界の動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。
半導体業界の最新動向(2022年)
半導体業界
半導体は、トランジスタが誕生してから、ICと呼ばれる集積回路になり、さらに集積度は向上し、LSIから超LSIへと進化を積み重ねてきました。
半導体は技術革新のスピードが速く、巨額の研究開発費と設備投資で高性能な製品を作り続けるビジネスです。
AIやIoT、自動運転などの普及で、半導体の重要性が増しています。
業界の動向
電子化が進む自動車向けや5Gの半導体市場が注目されています。
またコロナ禍におけるテレワークやオンラインサービスの広がりで、通信インフラ向けの需要が高まっています。
各社の業績は好調ですが、高水準の需要が続き、世界的な半導体不足が深刻化しています。
半導体と関わりの深い産業
- 自動車産業
自動運転、カーナビなど - 電機産業
AV機器、OA機器、ゲーム機など - 情報通信産業
5G、通信機器など - IT産業
AI(人工知能)、IoTなど - 医療産業
医療機器、ヘルスケア機器など - 宇宙産業
科学衛星、惑星探査機など - エネルギー産業
太陽光発電など
半導体の世界出荷額(2020年)
- インテル(米)
- サムスン電子(韓)
- SKハイニックス(韓)
- マイクロン・テクノロジー(米)
- クアルコム(米)
- ブロードコム(米)
半導体製造装置の世界出荷額(2020年)
- アプライドマテリアルズ(米)
- ASML(蘭)
- ラムリサーチ(米)
- 東京エレクトロン
- KLA(米)
- SCREENホールディングス
メモリ
メモリ半導体は、データを電気的に記憶するもので、DRAMやフラッシュメモリ、SRAMなどがあります。
ビッグデータの活用が広がり、データセンター向けメモリ需要が拡大しました。
増産に向けて積極投資を続けていますが、半導体不足の解消には時間がかかる見通しです。
サムスン電子(韓)
DRAM、NAND型フラッシュメモリ最大手。
新しいメモリデバイスやマルチチップパッケージの開発にも積極的に取り組んでいます。
SKハイニックス(韓)
韓国内においてサムスン電子に次ぐ半導体メーカー。
メモリ以外の領域においても多数の半導体製造を行っています。
マイクロン・テクノロジー(米)
米国のDRAMメーカー。DRAM世界3位。
NAND型フラッシュメモリについても、より高度なエンジニアリング技術で設計上の課題解決に取り組んでいます。
キオクシアホールディングス(日)
旧東芝メモリ。NAND型フラッシュメモリ世界2位。
東芝からメモリ事業を分社化し、早期上場を目指しています。
ロジック
ロジック半導体は、組み合わせることで複雑な回路を設計し、さまざまな機能を担うことができます。
コンピューターのCPUにかかせないデバイスとなっています。
テレワークやオンラインサービスの広がりにより、パソコンやタブレットなどデジタル機器向けの需要が増えています。
インテル(米)
パソコンやサーバー向けプロセッサ最大手。
パソコンのCPUシェアは8割以上を占めています。
産業機器や家電製品に内蔵される組込みシステムへの挑戦も続けています。
クアルコム(米)
携帯電話用チップで世界標準を握るファブレス企業。
スマートフォン用で急成長し、スマホ向けプロセッサ世界最大手です。
ブロードコム(米)
通信用の半導体を製造販売するファブレス企業。
コンシューマデバイス部品も多数供給しています。
アドバンスト・マイクロ・デバイス(米)
CPUの世界大手。
カナダの画像処理半導体大手ATIテクノロジーズの買収で、GPUが急成長しました。
エヌビディア(米)
画像処理半導体の大手。
パソコンやゲームのほかに、AIや自動運転でも成長しています。
マイコン
マイコンは、マイクロコントローラーの略で、制御用として使われます。
IoT時代に向けて、自動車向けや産業機器向けの需要が高まっています。
NXPセミコンダクターズ(蘭)
マイコン世界首位。汎用製品を全世界対象に提供・販売しています。
ルネサスエレクトロニクス(日)
ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスの経営統合によって設立された国内有数の半導体メーカー。
車載マイコンで世界トップクラス。
- 従業員数:18,753人
- 平均年齢:47歳
- 平均年収:791万円
インフィニオンテクノロジーズ(独)
車載用や産業用のほか様々な分野に半導体製品やソリューション提供を行っています。
アナログ
アナログ半導体は、音や光などのアナログ信号に対応し、電源や動力の制御機能を持っています。
自動車や通信機器、医療機器などで利用される重要な技術です。
テキサス・インスツルメンツ(米)
アナログ半導体最大手。アナログICと通信用に注力しています。
今後の成長が期待される医療やエネルギー、セキュリティなどの分野に合わせたソリューションを展開しています。
STマイクロエレクトロニクス(スイス)
アプリケーション専用のアナログIC、車載用ICに強み。
FA用ICのほか、電源用ICなど幅広く展開しています。
ソニーグループ(日)
ソニーグループへ社名変更。画像センサー世界首位。
スマホ向けCMOSイメージセンサーの圧倒的なシェアで、車載向けへの拡大も進めています。
- 従業員数:109,700人
- 平均年齢:42歳
- 平均年収:1,044万円
ファウンドリー(受託生産会社)
サムスン、インテルなどの大手メーカーは自社で半導体を製造する場合もありますが、設計と製造を分業して、半導体受託製造(ファウンドリー)に委託する企業もあります。
TSMC(台)
ファウンドリー世界最大手。日本に新工場を建設することが発表されました。
半導体製造装置
半導体製造装置の日本メーカーに対する評価は高く、世界トップレベル
半導体メーカーの設備投資が追い風となり、当面、好調が続く見通しです。
東京エレクトロン(日)
半導体製造装置の国内最大手。
エッチング装置、成膜装置に注力しています。
- 従業員数:14,479人
- 平均年齢:44歳
- 平均年収:1,179万円
SCREENホールディングス(日)
洗浄装置や塗布装置など世界シェアトップクラス。
- 従業員数:5,982人
- 平均年齢:43歳
日立ハイテク(日)
計測装置やエッチング装置など。日立製作所の完全子会社になりました。
- 従業員数:12,276人
アドバンテスト(日)
半導体検査装置で世界シェアトップクラス。
- 従業員数:5,261人
- 平均年齢:46歳
- 平均年収:980万円
成膜・エッチング・洗浄など
- アプライドマテリアルズ(米):半導体製造装置世界最大手
- ラムリサーチ(米):エッチング装置
- KLAテンコール(米):検査装置
露光装置
- ASML(蘭):露光装置で首位
- ニコン(日):露光装置で世界2位
- キヤノン(日):ナノインプリント技術を開発中
半導体業界の売上高ランキング
半導体製造
順位 | 企業名 | 売上高(百万円) |
1 | ソニーグループ | 8,999,360 |
2 | パナソニック | 6,698,794 |
3 | 三菱電機 | 4,191,433 |
4 | 東芝 | 3,054,375 |
5 | シャープ | 2,425,910 |
6 | キオクシアホールディングス | 1,178,500 |
7 | 富士電機 | 875,927 |
8 | ルネサスエレクトロニクス | 715,673 |
9 | ローム | 359,888 |
10 | 日亜化学工業 | 357,478 |
11 | 日本サムスン | 300,133 |
12 | インテル | 206,262 |
13 | 新光電気工業 | 188,059 |
14 | サンケン電気 | 156,795 |
15 | 浜松ホトニクス | 140,251 |
16 | 三井ハイテック | 97,351 |
17 | インフォニオンテクノロジーズジャパン | 93,177 |
18 | 三益半導体工業 | 92,075 |
19 | メガチップス | 83,814 |
参考 | 富士通 | 3,589,702 |
半導体・FPD製造装置製造
順位 | 企業名 | 売上高(百万円) |
1 | 東京エレクトロン | 1,399,102 |
2 | ニコン | 451,223 |
3 | 日立ハイテク | 400,000 |
4 | アドバンテスト | 312,789 |
5 | SCREENセミコンダクターソリューションズ | 208,485 |
6 | アルバック | 186,402 |
7 | ディスコ | 182,857 |
8 | 東京応化工業 | 117,585 |
9 | キヤノントッキ | 110,807 |
10 | 日本電子 | 110,439 |
11 | CKD | 106,723 |
12 | 東京精密 | 97,105 |
13 | 日立国際電気 | 63,486 |
14 | 芝浦メカトロニクス | 44,794 |
15 | レーザーテック | 42,572 |
16 | 日本マイクロニクス | 40,130 |
17 | ギガフォトン | 37,171 |
18 | SDREENファインテックソリューションズ | 30,601 |
19 | TOWA | 29,706 |
20 | 東朋テクノロジー | 26,508 |
(帝国データバンク『業界動向2022-Ⅰ』より)
半導体業界の採用市場
半導体業界の求人・転職
自動車や産業機械メーカーの影響を受けますが、半導体業界の求人は堅調に推移していくことが見込まれます。
技術革新や再編が激しい業界の変化に柔軟に対応できることが転職市場での評価を高める上で、重要になります。
半導体の研究開発
半導体の研究開発では、製品化のために、製品カテゴリーや材料、回路、パッケージなど担当する論理設計や回路設計、レイアウト設計などを行います。
技術系の基礎知識や専門性が求められます。
半導体の営業職
半導体業界の営業職には、製品の販売だけでなく、技術的にもサポートできるだけの知識が求められます。
マーケティングや製品企画のための情報収集機能も担っていますので、高度な技術知識が必要となります。
デバイス・電子回路製造業の給与
区分 | 20~24歳 | 25~29歳 | 43.3歳(平均) |
所定内労働時間 | 162時間 | 163時間 | 163時間 |
残業 | 11時間 | 16時間 | 13時間 |
月収 | 229,100円 | 280,800円 | 364,600円 |
年間賞与等 | 538,100円 | 773,100円 | 1,306,600円 |
年収 | 3,287,300円 | 4,142,700円 | 5,681,800円 |
(厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」より)
半導体業界の転職活動
転職エージェントの転職支援サービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアコンサルタントが転職をサポートしてくれます。
非公開・好条件の求人紹介だけでなく、専任のキャリアコンサルタントによる企業に応じた書類作成や面接対策などのサポートで、選考通過率のアップが期待できます。
キャリアごとの転職支援
まとめ
半導体はあらゆる用途で需要が拡大し、世界的な不足となっています。
5GやAI、自動運転など社会を支える半導体の重要性は高まり、市場は長期的に拡大する見通しです。

