転職・就職に役立つ医療機器の業界研究


医療機器は先進医療を支えています。

国内では専門化した独自の製品や技術をもとにオンリーワン企業が多く、安定的な成長が期待されています。

転職・就職で押さえておきたい医療機器業界の動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。

医療機器業界の最新動向(2023年)

医療用機械器具・医療用品とは

医療機器とは、人もしくは動物の診断や治療、予防で使用されること、または人もしくは動物の身体の構造や機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等で、政令で定められているもののことです。

医療機器は、使用目的などから「診断系医療機器」「治療系医療機器」「その他医療機器」に分類されています。

日本標準産業分類では、主に外科用、内科用、眼科用、耳鼻咽喉科用、その他の医療用機械器具を製造する事業を医療用機械器具製造業としています。

また、主に手術用品、外科用品、整形外科用品、放射線関連用品、眼科用品、耳鼻咽喉科用品を製造する事業を医療用品製造業としています。

高齢化や医療水準の向上に伴い、医療機器業界は世界的な成長が見込まれています。

医療費削減に向けては、性能だけでなく、IT活用による早期診断を可能にする技術に期待が高まっています。

診断系医療機器

画像診断システム、画像診断用X線関連措置および用具、生体現象計測・監視システム、医用検体検査機器、施設用機器が分類されます。

  • 画像診断:CT、MRI、X線、超音波診断装置
  • 生体現象計測:内視鏡、心電計、体温計、血圧計
  • 検体検査:血液検査、免疫測定装置、遺伝子検査 など

治療系医療機器

処置用機器、生体機能補助・代行機器、治療用または手術用機器、鋼製器具が分類されます。

  • カテーテル
  • 注射器
  • 人工心肺装置
  • 人工透析装置
  • ペースケーカー など

その他医療機器

歯科用機器、歯科材料、眼科用品および関連製品、衛生材料、衛生用品および関連製品、家庭用医療機器が分類されます。

画像診断

X線やCT、MRI、PET、それらの複合機も登場しています。

日本企業が強い分野で、世界でも一定のシェアがあります。

キヤノン

子会社キヤノンメディカルシステムズがCTやX線診断装置などで国内首位。

画像診断装置を中心に超音波診断装置や臨床検査装置も手がけています

  • 従業員数:184,034人
  • 平均年齢:44歳

コニカミノルタ

X線装置、超音波診断装置など。

  • 従業員数:39,121人
  • 平均年齢:47歳

島津製作所

X線撮影装置や血管撮影装置など。

  • 従業員数:13,499人
  • 平均年齢:43歳

内視鏡

内視鏡は観察・治療する部位により種類が分かれます。

消化器内視鏡など世界市場で存在感を発揮している分野です。

オリンパス

消化器内視鏡で世界シェア7割。

内視鏡・治療機器に注力しています。

  • 従業員数:31,557人
  • 平均年齢:43歳

富士フイルムホールディングス

内視鏡や超音波診断など。

日立製作所の画像診断関連事業を買収し、製品を拡充しています。

  • 従業員数:75,474人
  • 平均年齢:46歳

HOYA

内視鏡やコンタクトレンズなど。

  • 従業員数:38,376人
  • 平均年齢:47歳

生体情報モニター

心電図・心拍数、血圧、体温などのバイタルサインを継続的に測定して記録する装置です。

小型化が進み、多様なアプリケーションで活用されています。

日本光電

生体情報モニター国内首位。

AEDや人工呼吸器、ペースメーカーなども扱っています。

  • 従業員数:5,639人
  • 平均年齢:42歳

フクダ電子

生体情報モニター、心電計など。在宅医療支援。

  • 従業員数:3,348人
  • 平均年齢:43歳

オムロン

生体情報モニターや血圧計、電子体温計など。

家庭用血圧計は、世界でも高いシェアを占めています。

  • 従業員数:29,020人
  • 平均年齢:45歳

検体検査機器

臨床検査機器、血液検査機器、遺伝子検査装置などが分類されます。

シスメックス

臨床検査機器で国内首位。

血球分析分野に強みがあります。

  • 従業員数:8,771人
  • 平均年齢:42歳

日本電子

血液分析装置など。

  • 従業員数:3,291人
  • 平均年齢:45歳

日立ハイテク(旧日立ハイテクノロジーズ)

血液分析装置など臨床検査機器。

PHCホールディングス

血糖値測定器など。

米投資ファンドの傘下です。

  • 従業員数:9,374人
  • 平均年齢:48歳

生体機能補助・代行機器

人工心臓やペースメーカー、人工呼吸器、人工関節、透析装置などがあり、医療機器産業の最先端技術を担っています。

テルモ

心臓血管領域のカテーテル向け機器に強み。

注射、透析向け機器も手がけています。

  • 従業員数:28,294人
  • 平均年齢:41歳

ニプロ

人工腎臓、透析用品、注射針、カテーテルなど。

透析関連製品を中心に事業を展開しています。

  • 従業員数:36,259人
  • 平均年齢:40歳

日機装

人工腎臓、透析装置など。

  • 従業員数:8,762人
  • 平均年齢:42歳

東レ

透析器、血液浄化器など。

  • 従業員数:48,842
  • 平均年齢:39歳

JMS

輸液セットや透析関連、医療用品。

  • 従業員数:5,359人
  • 平均年齢:40歳

メディキット

人工透析用など留置針の製造。

  • 従業員数:954人
  • 平均年齢:39歳

SBカワスミ(旧川澄化学工業)

人工腎臓、透析用品、血管内治療器具など。

住友ベークライトの完全子会社化。

処置・治療機器

チューブ・カテーテル類、放射線治療装置など、さまざまな機器が開発されています。

カネカ

カテーテル、検査機器など。

  • 従業員数:11,335人
  • 平均年齢:41歳

朝日インテック

血管用カテーテルなど。

  • 従業員数:10,435人
  • 平均年齢:36歳

コンタクトレンズ

眼科用の代表的な医療用品としてコンタクトレンズがあります。

メニコン

日本初の角膜コンタクトレンズを開発。

  • 従業員数:3,908人
  • 平均年齢:38歳

シード

1日使い捨てコンタクトレンズが主力。

  • 従業員数:985人
  • 平均年齢:35歳

世界の医療機器メーカー

世界の医療機器業界では、欧米メーカーが売上高の上位を占めています。

メドトロニック(アイルランド)

世界最大の医療機器メーカー。

心臓・血管などの分野で最先端の治療機器を多く取り扱っています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(米)

医療機器や医療品、日用品などヘルスケア関連の世界大手。

手術関連の機器を中心に取り扱っています。

シーメンス・ヘルシニアーズ(独)

画像診断機器の世界大手。

画像診断関連を中心に、その他の診断機器も展開しています。

フィリップス(蘭)

画像診断・超音波診断装置の世界大手。

電機メーカーからスタートしましたが、集中と選択を進め、ヘルスケア企業になっています。

GEヘルスケア(米)

GEの医療機器事業部門(分社化の予定)。

CTやMRIなど画像診断装置を中心に幅広い製品を扱っています。

医療機器業界の売上高ランキング

医療機器製造

順位企業名売上高
(百万円)
1オリンパス868,867
2島津製作所428,175
3シスメックス363,780
4キヤノンメディカルシステムズ321,976
5日本光電工業205,129
6フィリップス・ジャパン135,000
7フクダ電子132,098
8GEヘルスケア・ジャパン129,977
9富士フイルムメディカル116,266
10PHC103,864
11シーメンスヘルスケア77,913
12オムロンヘルスケア74,130
13ナカニシ44,857
14ニデック41,990
15に立ちハイテクマニファクチャ&サービス34,900
16泉工医科工業22,480
17マニー17,190
18サクラ精機14,248
参考日立製作所10,264,602
参考コニカミノルタ911,426

医療用品製造

順位企業名売上高
(百万円)
1テルモ703,303
2ニプロ494,789
3ジョンソン・エンド・ジョンソン251,081
4日機装167,759
5日本メドトロニック103,153
6メニコン100,172
7ボストン・サイエンティフィックジャパン83,134
8アボットメディカルジャパン78,129
9ジンマー・バイオメット71,000
10ジーシー70,547
11日本アルコン68,371
12スリーエムジャパンイノベーション67,869
13旭化成メディカル63,942
14朝日インテック61,507
15エドワーズライフサイエンス59,500
16ジェイ・エム・エス58,169
17日本ベクトン・ディッキンソン45,100
18東レ・メディカル42,700
19ホギメディカル36,778
20日本産業30,091

(帝国データバンク『業界動向2023-Ⅰ』より)

医療機器業界の採用市場

医療機器業界の職種

医療機器業界では、どの職種においても医学や法律的な理解が必要となります。

研究開発

臨床ニーズに基づき、新たな技術や試作品を開発します。

エンジニアとしての専門性と医師や医療機関との関係構築も重要となります。

臨床開発

試作品の有効性や安全性を検証します。

契約や倫理検査など医療機関とのやり取りが多くなります。

薬事

薬事部門では、最新の情報を把握して、規制を遵守するための支援を行います。

法令の知識だけでなく、幅広い業務に関しての理解が必要となります。

製造

医療機器の製造工程を担当します。

機械・電気系のエンジニアが求められます。

品質保証

品質マネジメントを担当します。

医療機器には高い品質基準が求められ、部門には経験を積んだ人が配属されることが多くなります。

サービスエンジニア

医療機器を納入したあとのアフターフォローを担当します。

医療機関を訪問して、修理やメンテナンスなどを行います。

営業

医師や医療機関へ営業活動を行います。

医療の現場に自社の医療機器の価値を伝えて、購入につなげることが主な役割です。

医療機器業界の求人・転職

医療機器業界では営業職の採用が活発です。

未経験者の採用にも積極的ですが、MR経験者が医療機器営業に転職する事例などが目立つようになっています。

異業界からの参入やヘルスケア分野を強化する企業が多く見られ、医療機器業界や製薬会社などの経験者が求められています。

業務用機器製造業の給与

区分20~24歳25~29歳43.7歳
(平均)
所定内労働時間166時間164時間162時間
残業10時間14時間10時間
月収215,800円262,400円341,100円
年間賞与等468,800円719,800円1,047,200円
年収3,058,400円3,868,600円5,140,400円

(厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より)

20代の転職活動

転職エージェントなどの転職支援サービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアアドバイザーが転職をサポートしてくれます。

非公開・独自案件の求人紹介だけでなく、企業に応じた書類作成や面接対策のサポートなどで、選考通過率のアップが期待できます。

キャリアごとの転職支援

まとめ

医療機器業界では専門特化した企業による住み分けが確立されていますので、比較的安定した業界といえます。

今後は国際競争力の強化が課題になっています。

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工場・製造現場で有利なおすすめ資格
工場・製造現場では技術と経験の積み重ねが重視されます。経験の浅い人や未経験者であれば、資格を取得することでキャリアアップや収入アップの可能性が広がります。

 

【参考】
・厚生労働省WEBサイト
・一般社団法人日本医療機器産業連合会
・日本経済新聞出版『日経業界地図2023年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2023年版』