公務員の種類は、国家機関の職員である国家公務員と地方自治体の職員である地方公務員に大きく分けられます。
公務員になるために、統一の試験があるわけではなく、採用される機関ごとに実施される公務員試験に合格する必要があります。
公務員の種類と採用試験についてご紹介します。
公務員の種類
国家公務員と地方公務員
公務員には国家公務員と地方公務員があり、仕事の種類によって特別職と一般職に分かれます。
特別職は内閣総理大臣や都道府県知事などで採用試験ではなく、選挙で公務員になります。
ほとんどの公務員は一般職の職員です。
特別職と一般職
総理大臣や知事などの特別職公務員と一般職公務員は区別されています。
公務員試験で採用されるほとんどの職員は一般職公務員です。
国家公務員の種類
国家公務員は事務などの業務を行う行政職と特定の職種に分けられます。
採用試験は総合職、一般職、専門職に分かれています。
総合職はいわゆるキャリア職員を採用する試験です。
同じ「大学卒業程度」の試験であっても、総合職、一般職、専門職の内容は異なります。
国家公務員の職種
- 行政職
- 専門行政職
- 税務職
- 公安職
- 海事職
- 教育職
- 研究職
- 医療職
- 福祉職
- 専門スタッフ職
- 指定職
- 特定任期付職員
- 任期付研究員
地方公務員の種類
地方公務員は一般行政に従事する職員が多くを占めています。
職種は事務系、技術系、資格系、公安系に分けられます。
地方公務員の職種
- 事務系職種:一般行政事務、学校事務、警察事務
- 技術系職種:土木職、建築職、電気・電子職、機械職、化学職、農業・農学職
- 資格・免許職種:医療、保健、衛生、福祉、教育・文化
- 公安系職種:警察官、消防官、
公務員の採用試験
公務員採用試験の種類
公務員採用試験は、公務員となるための能力や知識を評価するために、択一式の教養試験・専門試験と記述式試験、論文・作文試験、適性検査、面接試験などを組み合わせて実施されています。
公務員採用試験は、「大学卒業程度」「短大卒業程度」「高校卒業程度」など試験内容により分類されています。
学歴は試験レベルの目安であり、受験資格になっているわけではありません。
準備さえすれば、学歴や専攻に関わらず、合格することができます。
国家公務員試験
- 総合職試験
- 一般職試験
- 専門職試験
- 経験者採用試験
地方公務員試験
- 地方上級試験
- 地方中級試験
- 地方初級試験
- 警察官試験
- 市役所試験
教養試験(基礎能力試験)
教養試験は、公務員の業務遂行のために必要となる基礎的な知識や知能をもっているかを見極める試験です。
教養試験は、あらゆる程度や区分の試験で実施されていて、主に「一般知識分野」と「一般知能分野」の2つの分野があります。
一般知識分野
一般知識分野は、出題科目が非常に多く、出題範囲も広いのが、特徴です。
一定の問題数を自由に選んで解答できる選択解答制を導入しているところもあります。
- 社会科学
政治、経済、社会学、思想、時事、法律など - 人文科学
日本史、世界史、地理、思想、文学・芸術など - 自然科学
数学、物理、化学、生物、地学など
一般知能分野
一般知能分野は、身につけた知識の応用力が問われる内容です。
短時間で答えを導き出す能力も必要となります。
- 文章理解
現代文・古文・英文の長文読解 - 判断推理
論理的思考力、推理力、判断力など - 数的推理
数的処理能力、計算力など - 資料解釈
数表・グラフなどの読み取り
公務員教養試験の問題集
専門試験(択一式)
専門試験(択一式)は、試験区分に応じて、出題科目や内容が決められています。
公務員としての専門的な知識が問われます。
専門試験がないものもあります。
事務系職種
- 行政系科目
- 法律系科目
- 経済系科目
- 商学系科目
技術系職種
- 土木
数学・物理、構造力学、水理学、土質力学、測量、土木材料、土木設計、土木施工、土木計画、都市計画、環境工学、衛生工学など - 建築
数学・物理、構造力学、建築構造、建築材料、建築施工、環境工学、建築設備、建築士、建築計画、都市計画など - 電気
数学・物理、電磁気学、電気回路、電気工学、電子工学、電子回路、通信工学、情報工学など - 機械
数学・物理、材料力学、機械力学、熱工学、流体力学、機械設計、機械工作、機械材料など - 化学
数学・物理、物理化学、分析化学、無機化学、有機化学、興行化学、生物化学、化学工学など - 農業
栽培学汎論、作物学、園芸学、育種遺伝学、植物病理学、昆虫学、土壌肥料学、植物生理学、畜産一般、農業経済一般など
専門試験(記述式)
専門試験(記述式)は、専門科目に関するテーマについて、文章で記述させる形式の試験です。
基本的に大学卒業程度の採用試験で実施されます。
地方公務員の採用試験での実施は少数です。
実施例
- 国家総合職:第二次試験
- 外務省専門職員:第一次試験
- 法務省専門職員:第一次試験
- 国税専門官:第一次試験
- 財務専門官:第一次試験
- 労働基準監督官:第一次試験
- 食品衛生監視員:第一次試験
適性試験
適性試験は、国家公務員一般職(高卒)試験など、主に高校卒業程度の事務系職種の試験で実施されます。
事務の適性を見極める内容です。
この適性試験は、性格検査のような適性検査とは異なります。
受験する試験で実施される内容を事前によく確認しておく必要があります。
実施例
- 国家一般職(高卒):第一次試験
- 国家一般職(社会人):第一次試験
- 市役所初級:第一次試験
公務員適性試験の問題集
論文・作文試験
論文・作文試験では、課題に対する理解力や文章の構成・表現力、一般常識、思考などが評価されます。
論文試験は大学卒業程度、作文試験は高校卒業程度の試験で実施されることが多く、作文試験の方が、より日常的な課題がテーマとなり、字数が少ないという傾向があります。
実施例
- 論文試験:国家一般職(大卒)、地方上級
- 作文試験:国家一般職(高卒)、地方初級
公務員試験論文・作文の対策書
面接試験(人物試験)
面接試験は、人物試験として実施されています。
人柄や意欲、態度など公務員として仕事に取り組める人かどうかが評価されます。
個別面接
個別面接は、1人の受験者に対して、面接官3~5人程度で行われます。
ほとんどの公務員試験で実施されています。
集団面接
集団面接は、3~5人の受験者に対して、面接官3~5人程度で行われます。
通常、個別面接と併用して実施されています。
集団討論
集団討論は、5~12人程度の受験者で与えられたテーマについて討論します。
面接官は討論の状況から受験者の知識や課題解決力、協調性などを観察します。
公務員試験面接の参考書
適性検査
適性検査は性格検査で、受験者の性格傾向や不適応傾向を明らかにするものです。
面接試験を補完する目的で実施されています。
適性検査では、検査方法を知っておき、落ち着いて回答できるよう準備しておくことが大切です。
SCOA
SCOA総合適性検査は、「知」「情」「意」という3つの側面から個人をとらえていくものです。
知的側面から情意的側面まで多面的に測定・評価します。
Y-G式性格検査
Y-G式性格検査は、自分の性格や行動に関する項目の質問に対して、「はい」「いいえ」「どちらでもない」など少ない選択肢から回答を選ぶものです。
性格傾向別に分類され、性格特性を分析します。
適性検査の参考書
公務員採用試験の対策
公務員採用試験の併願
公務員採用試験は、試験日が重ならなければ、複数受験することができます。
第一志望以外に、いくつか併願するのが一般的といえます。
必ず最新の試験情報を確認して、受験する試験を決めましょう。
試験の出題科目
公務員採用試験の出題科目は、比較的共通していますが、試験によって多少の違いがあります。
試験構成や出題科目に共通点が多い試験を併願する方が、効率的に勉強を進めることができます。
公務員採用試験の準備期間
受験する試験のレベルや専門試験の出題科目と専攻などにより、準備にかける期間は異なりますが、半年から2年程度かけて合格するケースが多いようです。
合格までのステップ
- 基礎固め:基礎的な知識を身につける時期
- 実戦演習:過去問を解き、実戦力をつける時期
- 直前確認:模試など実際の試験レベルで実力を確認する時期
公務員採用試験の勉強法
公務員採用試験に合格するためには、独学や通信講座、予備校等で勉強する方法があります。
自分の状況やかけられる時間、費用などに合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。
学習を進める過程で、使い分けたり、組み合わせたりするのもよいでしょう。
公務員試験の対策・通信講座
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伊藤塾 | 法律資格・公務員試験のスクール【伊藤塾】では、幅広い併願対策に対応したカリキュラムで、複数の試験を視野に入れての対策が可能です。 |
リンクアカデミー | 大栄の公務員受験対策講座では、公務員試験合格をトータルでバックアップ。1次試験から2次試験までをサポートする戦略的な試験対策指導に力を入れています。 |
資格の大原 | 大原の公務員講座では、多彩な各種講義・コースが用意されていて、筆記試験対策・面接試験対策・個別指導を受けることができます。 |
まとめ
公務員採用試験は、幅広い範囲から出題されますので、出題科目の特徴を理解して、出題数、配点、自分の専攻・得意分野などから効率的に勉強を進めることが大切です。
一方で、出題科目の多様化や選択制の導入が進んでいますので、自分の得意分野でチャレンジできる試験も増えています。
公務員採用試験に合格するチャンスは多くの人に広がっているといえます。
【参考】
・人事院「国家公務員試験採用情報NAVI」
・総務員「地方公務員制度等」
・地方自治体の採用情報ページ
・各試験実施機関ウェブサイト