キーワード解説
コース別人事制度
コース別人事制度とは、役割や職務範囲などにより区分して処遇する制度のことです。
総合職と一般職、全国勤務と地域限定勤務、職種の違いなどによって、それぞれ別の人事制度を設けることで、効率的な人事管理を行うことを目的としています。
社員にとっては、キャリアパスが提示されることで、社内での期待や目標が明確になります。
労働市場の変化、雇用や価値観の多様化などが進み、個人の希望に配慮したコース別人事制度が求められるようになっています。
多様な人材を確保し、企業が成長していくためにも、柔軟な人事制度の構築や運用を検討する企業が増えています。
- コースの変更ができること
- 社員に選択する機会があること
- 能力、適性の見直しを行うこと
- コースに応じた採用、処遇を実施すること
総合職・一般職
男女雇用均等法が制定されると、幹部候補となる総合職(幹部社員コース)と、幹部登用がなく転勤もない一般職(一般社員コース)に分ける人事制度を多くの企業で採用してきました。
コース別人事制度が公平に実施されていれば、男女雇用均等法の問題は生じませんが、女性が一般職しか選択できないような運用は、差別的取り扱いに該当します。
男女雇用均等法の改正により、これまでの総合職・一般職の区分や運用を見直す動きが進んでいます。
一定の条件を満たせば、一般職から総合職、総合職から一般職への変更も行われるようになっています。
- 一般職
・定型業務を正確に行う
・上司の指導のもとで業務を行う
・原則として転勤はなし - 総合職
・非定型業務を行う
・役職者の業務の一部を委任される
・管理職を目指す
・職種や勤務地の変更がある
全国勤務・地域限定勤務
勤務地や転勤の可能性により社員を区分する制度です。
海外赴任をして世界中で勤務する社員、全国転勤で勤務する社員、転居はするが特定のエリアで勤務する社員、転居せず通勤可能な範囲で勤務する社員などがあります。
本人の事情により勤務地を限定する地域限定正社員制度を導入する企業も増えています。
- 一般職
・原則として転勤はしない
・一般職のリーダーなどに就くことがある - エリア総合職(地域限定正社員)
・原則として転居を伴う異動はしない
・管理職を目指す - 総合職
・国内、海外どこでも転勤する
・経営幹部を目指す
職種別人事制度
職種別人事制度とは、職種の特性に応じて、職種別に人事管理を行う制度のことです。
職種別人事制度では、営業、技術、管理・スタッフ、製造などの職種ごとに、適性のある社員を採用して、処遇していきます。
それぞれの職種の特性や戦略、方針を踏まえて、採用、配置、能力開発、昇進・昇格、人事評価などの方法や内容を決定します。
職種別人事制度では、職種の専門性を高度化すること、職種の実態に合った処遇をすること、職種ごとの給与についてバランスをとることなどを目的としています。
職種ごとに専門性を高めていきますので、基本的に職種変更は予定していません。
ゼネラリスト・スペシャリスト
統括的・管理的業務を行うことが期待される社員をゼネラリストコース、高度な専門性を活かして、最先端の研究・開発などを行う社員をスペシャリストコースに分けて、処遇する制度もあります。
一定規模以上の企業で導入されています。
- ゼネラリスト
・統括的業務、管理的業務、基幹的業務を行う
・部下の育成を行う
・管理職を目指す - スペシャリスト
・高度な専門的業務を行う
・原則として管理的業務以外の専門性を高める
・専門職の役職に就く - アソシエイト
・実務的業務を行う
・リーダーに就くことがある
ジョブ型雇用・メンバーシップ型雇用
ジョブ型雇用とは、職務内容に基づいて、職務やスキルに対応した人材を採用する制度のことです。
ジョブ型雇用は欧米では一般的でしたが、日本企業においても導入が進んでいます。
一方、新卒一括採用、終身雇用、年功序列などに代表される日本の従来からの雇用制度はメンバーシップ型雇用と呼ばれています。
メンバーシップ型雇用は、会社に就職して、業務命令に従って、どのような業務にも従事するという働き方です。
- ジョブ型雇用
・職務に基づく
・ポストに応じて通年採用
・実績重視 - メンバーシップ雇用
・人に基づく
・新卒などの定期採用
・勤続重視
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・経済産業省ウェブサイト
- コース別人事制度は、働く人の能力を十分に発揮させるためのシステム
- 運用における差別的な取り扱いは男女雇用機会均等法に違反