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病気やけがで働けなくなったらどうする?使える制度と手続き

病気やけがをして働くことができなくなったら?

「クビになってしまうのかな…」
「会社は辞めるしかないか…」

など不安に感じる人は多いでしょう。

病気やけがで働けなくなったとき、会社を辞めることだけが選択肢ではありません。病気やけがで働けなくなったときに使える制度や手続きを知っておきましょう。

働けなくなったときの制度

多くの企業には休職制度があります。まずは利用できる制度があるかどうかを確認してみましょう。また退職することになっても、受けられる給付・手当があります。

休職制度とは

休職制度とは、法定の休業や休暇以外で従業員が長期にわたり業務ができない場合に、企業との雇用関係を維持したまま、一定期間の業務を免除する制度のことです。

法律上義務付けられた制度ではありませんので、休職制度を導入していない企業もあります。

勤務先で休職制度を導入しているかどうかは就業規則などで確認することができます。

企業が任意に定める制度ですので、どのような理由で休職できるかは企業ごとに違っています。

私傷病休職

私傷病休職では、業務外の病気やけがで業務に従事できない状態にある場合に一定期間会社を休むことができます。

私傷病で会社を休んでいる場合、健康保険から傷病手当金を通算して1年6ヵ月間受け取ることができます。

休職期間が終了しても、復職することができなければ、期間満了と同時に自動退職や解雇になるのが一般的です。

自己都合休職

自己都合休職では、業務とは関係しない自分の都合により一定期間会社を休むことができます。

海外留学やボランティア活動、公職に就いた場合などが該当します。

業務上の病気・けがで対象となる制度

業務上に理由による病気やけがで業務ができない期間は解雇されません。

健康保険より手厚い給付を労災保険から受けることができます。

業務中の災害

業務中に災害が発生すれば基本的に業務災害となります。

  • 業務作業中
  • 作業の中断中
  • 作業に必要な行為中
  • 作業の準備や後片づけの行為中
  • 緊急業務中

事業施設内での災害

業務中ではなくても、事業施設内での災害で業務災害となるものがあります。

  • 休憩時間中
  • 事業施設の利用中
  • 事業施設内の行動中

出張中の災害

出張中の災害は仕事と関係のない私的な行為と認められるもの以外は、業務災害となります。

通勤途中の災害

通勤の途中で起きた災害は通勤災害となります。

  • 災害が通勤によるものであること
  • 通勤の経路を逸脱・中断していないこと

解雇の制限

業務上の病気やけがにより休業している期間と復帰後の30日間は解雇が制限されています。

休業期間が3年を経過しても治らない場合、打切補償の支給で解雇が認められます。

傷病保障年金を受給している場合は打切補償をしたものと同様に扱われます。

労災保険

業務上の理由または通勤による負傷、疾病、障害、死亡等に対しては、労災保険の給付が行われます。

  1. 療養(補償)給付
    業務災害や通勤災害による傷病を労災指定病院、労災指定医療等以外の病院で療養するとき
  2. 休業(補償)給付
    業務災害や通勤災害による傷病の療養のため労働ができずに賃金を受けられない日が4日以上になるとき
  3. 障害(補償)給付
    業務災害や通勤災害による傷病が治った後に障害等級が1~14級のいずれかにあてはまる障害が残ったとき
  4. 傷病(補償)年金
    業務災害や通勤災害による傷病が療養開始後1年6ヵ月を経過した日あるいは同日後に次のいずれにもあてはまるとき
    ・傷病が治っていない
    ・障害の程度が傷病等級の1~3級にあてはまる
  5. 介護(補償)給付
    障害(補償)年金または傷病(補償)年金の受給権者で、その支給事由となっている一定の生涯の程度に該当し、常時または随時介護を必要とすると
  6. 遺族(補償)給付
    業務災害や通勤災害により死亡したとき
  7. 葬祭(料)給付
    業務災害や通勤災害で死亡した人の葬祭を行うとき
  8. 二次健康診断等給付
    過労死等の防止のため、脳および心臓の状態を把握するための検査や医師による健康診断や保健指導を受けるとき

業務外の病気・けがで対象となる制度

業務外での病気やけがで働けない状態が続き、休職制度を利用できなかったり、休職期間が満了して退職することになる場合があります。

最近ではメンタルヘルス不調で休職や退職する人が増えています。

うつ病などは業務上の理由によるものかを判断することは難しく、労働災害と認められなければ業務外の病気として扱われます。

業務外での病気やけがで退職する場合には、経済的にも厳しい状態になる可能性があると考えられます。

必要な手続きをして、対象となる給付・手当があれば必ず受け取るようにしましょう。

雇用保険

病気やけがで退職したときは、基本手当(いわゆる失業保険)の給付制限がありません。

退職したら速やかに手続きを進めましょう。

すぐに求職活動ができなくても、基本手当の代わりに傷病手当を受給することができます。

健康保険から傷病手当金の支払いがあるときは支給されません。

健康保険

退職後には国民健康保険に加入するか健康保険の任意継続を利用することになります。

配偶者などの扶養家族になる場合には、保険料はかかりません。

扶養される家族の会社を通じて手続きをします。

健康保険の傷病手当金は退職日までに支給要件を満たしていれば、退職後も引き続き受け取ることができます。

傷病手当金を請求するには、医師に意見を記入してもらい、「傷病手当金支給申請書」をけんぽに提出します。

  • 業務外の病気やけがの治療中であること
  • 業務に従事できないこと
  • 連続して3日以上休んでいること
  • 給与の支払いがないこと

年金

会社を退職すると厚生年金の加入資格はなくなりますので、国民年金に加入することになります。

失業中で保険料を支払うことができないときは、免除申請をすることができます。

配偶者がいて扶養家族となる場合には、国民年金の保険料を支払う必要はありません。

扶養される配偶者の会社を通じて種別変更の手続きをします。

失業保険の手続き

病気やけがを理由として退職する場合、すぐには求職活動ができないことも多いでしょう。

求職活動ができない場合には、失業保険(基本手当)の受給期間を延長したり、傷病手当を受け取ることができます。

代理人や郵送で手続きできるものもありますので、ハローワークへ行くことが難しい場合には申請窓口に相談してみましょう。

受給期間の延長

基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。

病気やけがなどの理由で引き続き30日以上、働くことが難しい場合には基本手当の代わりに受給期間を延長することができます。

求職活動ができない期間が15日未満

求職活動ができない期間が15日未満であれば、延長などの手続きはなく、そのまま基本手当を受け取ることができます。

体調不良などで失業認定日にハローワークに行くことができない場合は、認定日を変更することができます。

求職活動ができない期間が15日以上30日未満

求職活動ができない期間が15日以上30日未満であれば、基本手当に代わって傷病手当が支給されます。

傷病手当の支給額は基本手当と同じです。

健康保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付を受け取る場合には、雇用保険の傷病手当は支給されません。

求職活動ができない期間が30日以上

求職活動ができない期間が30日以上になるときは、傷病手当を受給するか、受給期間を延長するかのどちらかを選択することになります。

いずれもハローワークへ申請書を提出する必要があります。

まとめ

病気やけがで退職することになったら、体調だけでなく、経済的な不安も大きいでしょう。

また体調が良くない状態で、さまざまな手続きを進めなければならないこと自体にストレスを感じることがあるかもしれません。

自分で手続きすることが難しい状態であれば、そのままにするのではなく、周囲や申請窓口に相談してみることをおすすめします。

失業保険の受け取り方
失業保険を受け取るには退職後に自分で手続きを行わなければなりません。失業保険の手続きをしっかりして就職活動に活用しましょう。

 

【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス
・全国健康保険協会