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放送局の業界研究【概要・動向】

放送業界を取り巻く環境はテレビとインターネットの融合を軸として大きく変化しています。

各局は動画配信サービスに力を入れるようになっています。

転職・就職で押さえておきたい放送業界の概要と動向についてご紹介します。

放送業界の最新動向(2023年)

放送とは

放送とは「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信」と放送法で定義されています。

主に無線電波を使用する放送として基幹放送、それ以外を一般放送と区分しています。

放送の種類によって、利用する周波数帯が異なります。

放送の種類

  • 公共放送
  • 民間放送
    ・テレビ放送
    ・ラジオ放送
    ・衛星放送
  • 有線放送
    ・有線テレビ放送
    ・有線ラジオ放送

送信方法の違いによる分類

  • 地上放送:NHK、民間放送
  • 衛星放送:BS・CS放送
  • 有線放送:ケーブルテレビ
  • IP放送:IPTV

地上テレビ放送

地上テレビ放送には、受信料が収益源のNHKと広告収入がメインの民間地上テレビ放送局(民放)があります。

民放では、東京を拠点とするテレビ局が、全国のネットワーク系列を通じて番組を提供しています。

テレビ広告の伸びは限定的で、ネット広告へシフトしています。

日本テレビホールディングス(日本テレビ)

日本テレビは1953年に民放テレビ局として初めて放送をスタートしました。

視聴率、収益ともにトップです。

  • 従業員数:5,096人
  • 平均年齢:48歳
  • 全国紙:読売新聞グループ本社
  • 読売テレビ放送、中京テレビ放送などNNN30局
  • BS日本、CS日本
  • 日テレテクニカルリソーシズ
  • 日テレアックスオン
  • バップ
  • 日本テレビ音楽など

テレビ朝日ホールディングス(テレビ朝日)

テレビ朝日の開局は1959年で、開局当時は日テレとTBSを追う形でした。

番組コンテンツの強化に取り組み、視聴率の獲得には成功したものの、増収には結びついていない状況です。

  • 従業員数:5,332人
  • 平均年齢:42歳
  • 全国紙:朝日新聞社
  • 朝日放送グループHD、名古屋テレビ放送などANN26局
  • ビーエス朝日、シーエス・ワンテン
  • AbemaTV、AbemaNewsなど

TBSホールディングス(TBS)

東京放送は首都圏をエリアにするラジオ局のラジオ東京を前身として、1955年に開局しました。

経営的には厳しい状況がありますが、不動産事業が貢献しています。

  • 従業員数:6,454人
  • 平均年齢:49歳
  • 全国紙:毎日新聞グループホールディングス
  • 毎日放送、中部日本放送などJNN28局
  • TBSラジオ、BS-TBS
  • 日音、TBSサービス
  • 緑山スタジオ・シティなど

フジ・メディア・ホールディングス(フジテレビ)

フジテレビはラジオ局の文化放送やニッポン放送が中心となり設立し、1959年に放送を開始しました。

不動産開発など事業の多角化を進めています。

  • 従業員数:6,492人
  • 平均年齢:45歳
  • 全国紙:産業経済新聞社
  • 関西テレビ放送、東海テレビ放送などFNN28局
  • ニッポン放送、ビーエスフジ
  • フジクリエイティブコーポレーション
  • ポニーキャニオン
  • サンケイリビング新聞社、ディノス、セシール
  • サンケイビルなど

テレビ東京ホールディングス(テレビ東京)

テレビ東京ホールディングスは地上放送事業、放送周辺事業、BS放送事業、インターネット・モバイル事業を展開しています。

  • 従業員数:1,634人
  • 平均年齢:48歳
  • 全国紙:日本経済新聞社
  • テレビ大阪、テレビ愛知などTXN6局
  • BSテレビ東京、AT-X
  • テレビ東京制作
  • テレビ東京メディアネット
  • テレビ東京コミュニケーションズなど

日本放送協会(NHK)

日本放送協会(NHK)は受信料収入を経営基盤とした公共放送事業です。

NHKの規模は強大で、事業収入も民放と比べて大きく上回っています。

  • BS1、BSプレミアム
  • NHKエンタープライズ
  • NHKグローバルメディアサービス
  • NHKビジネスクリエイト
  • NHKテクノロジー
  • NHKアート
  • NHKエデュケーショナル
  • NHK出版など

衛星放送

衛星放送は人工衛星を用いて宇宙から電波を送信して、広い範囲に放送を提供します。

有料の衛星放送は民間地上放送と異なり、広告収入に頼らないビジネスモデルです。

WOWOW

日本衛星放送(WOWOW)は初の民間衛星放送として1990年に放送を開始しました。

映画、音楽ライブ、スポーツに強みがあります。

  • 従業員数:619人
  • 平均年齢:41歳

スカパーJSATホールディングス

スカパーJSATが衛星基幹放送および衛生一般放送のプラットフォーム事業者になっています。

プラットフォーム事業者としてスカパー!とスカパー!プレミアムのサービスを提供しています。

  • 従業員数:846人
  • 平均年齢:50歳

ケーブルテレビ

ケーブルテレビはテレビ電波が届かない地区に有線ケーブルで放送を配信するシステムとして導入されました。

その後、自主放送や都市型ケーブル事業者が登場し、多チャンネルに対応したシステムとして成長しています。

JCOM(旧ジュピターテレコム)

ジェイコムはグループケーブルテレビ局を全国に有する日本最大のMSO(多施設所有事業者)です。

関東や近畿など中心に事業展開しています。

  • 従業員数:16,699人

イッツ・コミュニケーションズ

東急の子会社で、東急沿線に強みがあります。

IPTV

IPTVはインターネット・プロトコルを用いて放送や映像配信を行います。

4K・8K対応が着実に進んでいます。

ひかりTV

NTTドコモが提供する「ひかりTV」はIPTV最大手です。

自主放送やビデオ・オン・デマンドについてはすでに4Kに対応しています。

動画配信サービス

ビデオ・オン・デマンドのサービスが動画配信として急速に普及しています。

定額制による動画配信サービスの競争は激化しています。

サイバーエージェント

AbemaTVはテレビ朝日とサイバーエージェントが共同で始めた無料動画配信サービスです。

スマホ専用アプリを利用して、ニュースや音楽、ドラマ、アニメなどが視聴できます。

  • 従業員数:6,129人
  • 平均年齢:34歳

テレビ系動画配信

  • TVer
  • Paravi
  • FOD
  • テレ東BIZ
  • NHKプラス

ラジオ放送

民間ラジオ放送には、FM局は3系列、AM局は2系列のネットワークがあります。

ラジオ各局の放送をインターネットを通じて配信するサイマルラジオ「ラジコ」の利用者が増加しています。

FM

  • JFN系列:エフエム東京など
  • JFL系列:J-WAVEなど
  • MEGA-NET

AM

  • NRN系列:文化放送、ニッポン放送など
  • JRN系列:TBSラジオなど

ネットラジオ

radico(ラジコ)は、ラジオ各局の放送をネットで配信しています。

放送業界の収入高ランキング

地上波テレビ放送

順位企業名収入高
(百万円)
1日本放送協会(NHK)705,776
2日本テレビ放送網300,729
3フジテレビジョン238,240
4テレビ朝日225,533
5TBSテレビ217,450
6テレビ東京110,969
7朝日放送グループホールディングス85,100
8MBSメディアホールディングス64,563
9讀賣テレビ放送64,106
10関西テレビ放送55,049
11中京テレビ放送31,482
12CBCテレビ24,366
13RKB毎日ホールディングス23,196
14名古屋テレビ放送22,241
15九州朝日放送16,818
16福岡放送15,140
17札幌テレビ放送14,804
18テレビ西日本13,913
19北海道テレビ放送12,640
20テレビ大阪12,432

衛星放送・CATV・ラジオ放送

順位企業名収入高
(百万円)
1JCOM324,902
2ジェイコム東京133,060
3ジェイコムウエスト132,232
4スカパーJSAT112,662
5WOWOW79,657
6ジェイコム埼玉・東日本79,191
7イッツ・コミュニケーションズ30,543
8ジェイ・スポーツ18,131
9BSテレビ東京17,176
10BS-TBS16,424
11BS日本16,294
12BS朝日15,729
13スカパー・エンターテイメント15,665
14ビーエスフジ14,866
15ニッポン放送13,919
16エフエム東京10,695
17TBSラジオ8,743
18文化放送5,758
19J-WAVE4,697

(帝国データバンク『業界動向2023-Ⅰ』より)

放送業界の採用市場

放送業界の求人・転職

放送業界の募集は限られていますので、求人の人気は高く、競争率が高くなります。

放送業界の転職では、自分だけで活動するよりも、業界に強いエージェントサービスを上手に活用することをおすすめします。

自分だけでは見つけられない求人に出会える可能性が高まります。

放送業の給与

区分20~24歳25~29歳42.6歳
(平均)
所定内労働時間158時間160時間157時間
残業24時間29時間14時間
月収285,800円386,800円543,000円
年間賞与等530,500円1,507,900円2,053,500円
年収3,960,100円6,149,500円8,569,500円

(厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より)

マスコミの転職活動

エージェントサービスを利用すると、業界や職種に精通したサポートを受けることができます。

マスメディアンは、マスコミ職種で業界トップクラスの求人数を保有し、専門性の高い転職支援サービスを提供しています。

テレビプロデューサー/ディレクター/アシスタントディレクター/広告営業/編成/技術/テロップデザイナー/インターネット推進/イベント推進など

マスコミ職種なら

まとめ

変化する放送業界のなかで、今後も拡大が見込まれる定額動画配信サービスは業界の競争を激化させると予想されます。

放送業界はテレビだけでない、新たなメディアとして総合力が問われる時代になっています。

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業界天気図一覧(2025年)
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【参考】
・総務省ウェブサイト
・一般社団法人日本民間放送連盟ウェブサイト
・東洋経済新報社『四季報業界地図2023年版』
・日本経済新聞出版『日経業界地図2023年版』