ケアマネジャーは、介護保険の利用者の状況から適切なサービスを提案して、調整する介護支援専門員のことです。
ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取得するためには、保健・医療・福祉分野の実務経験が必要となります。
特に介護福祉士の実務経験を活かせるキャリアアップの資格として人気があります。
ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格についてご紹介します。
介護支援専門員(ケアマネジャー)とは
介護支援専門員とは、介護保険制度において利用者が状況に合った適切な介護サービスを利用できるように、ケアプランを作成したり、サービス事業者や施設との連絡調整を行うための公的資格です。
一般的にはケアマネージャーと呼ばれています。
【ケアマネジャーの業務内容】
居宅における業務と施設などにおける業務に大きく分けられます。
- 居宅における業務
要介護者や要支援者の人の相談を受け、ケアプランを作成するとともに、居宅サービス事業者等との連絡調整や、入所を必要とする場合の介護保険施設への紹介などを行う - 施設などにおける業務
施設等のサービスを利用している利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援するため、解決すべき課題の把握などを行ったうえで、施設サービス計画等を作成する
【ケアマネジャーになる流れ】
- 保健・医療・福祉分野で5年以上かつ900日以上の実務経験
- 介護支援専門員実務研修受講試験に合格
- 介護支援専門員実務研修を修了
- 修了証明書、登録証明書の交付
- 介護サービス計画作成等の業務に従事
介護支援専門員実務研修受講試験
ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには、都道府県が実施する介護支援専門員実務研修受講試験に合格して、介護支援専門員実務研修を修了することが必要となります。
受験資格
以下の資格・実務経験者
- 介護福祉士、社会福祉士、医師、看護師、理学療法士、作業療法士等の国家資格を持ち、その業務に従事する者
- 所定の福祉施設等での相談援助業務に従事する者
いずれも保健・医療・福祉の分野で通算5年以上、かつ従事した日数が900日以上の実務経験が必要となります。
受験者の半数以上は介護福祉士の資格者です。
試験日
年1回(10月)
試験地
各都道府県の指定した試験会場
試験内容
- 介護支援分野
・介護保険制度の基礎知識
・要介護認定などの基礎知識
・居宅・施設サービス計画の基礎知識 など - 保健医療福祉サービス分野
・保健医療サービスの基礎知識
・保健医療サービスの総合知識
・福祉サービスの知識 など
合格率(全国)
年度 | 受験者数 (人) | 合格者数 (人) | 合格率 (%) |
2019年度 | 41,049 | 8,018 | 19.5 |
2020年度 | 46,415 | 8,200 | 17.7 |
2021年度 | 54,290 | 12,662 | 23.3 |
2022年度 | 54,406 | 10,328 | 19.0 |
2023年度 | 56,494 | 11,844 | 21.0 |
職種別合格者割合(2023年度)
順位 | 職種 | 構成比 (%) |
1 | 介護福祉士 | 62.4 |
2 | 看護師、准看護師 | 16.3 |
3 | 社会福祉士 | 8.0 |
4 | 理学療法士 | 5.2 |
5 | 相談援助業務等従事者 | 2.3 |
6 | 保健師 | 2.1 |
6 | 作業療法士 | 2.1 |
8 | あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師 | 1.5 |
8 | 柔道整復師 | 1.5 |
10 | 栄養士(管理栄養士を含む) | 1.3 |
(厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」より)
問い合わせ
各都道府県の介護支援専門員実務研修受講試験担当課
介護支援専門員実務研修
介護支援専門員実務研修受講試験の合格者は、介護支援専門員実務研修(実務研修)を修了した後、所定の手続きを経て、介護支援専門員としての業務に就くことができます。
実務研修では、ケアプランの作成など、介護支援専門員として業務を行う上で基礎となる知識及び技能について87時間で学びます。
厚生労働省が研修ガイドラインを定めていますが、具体的な実施方法や日数は都道府県が決めることになっています。
受講対象
各都道府県の介護支援専門員実務研修受講試験の合格者
研修課目
- 介護保険制度の理念・現状及びケアマネジメント
- ケアマネジメントに係る法令等の理解
- 地域包括ケアシステム及び社会試験
- ケアマネジメントに必要な医療との連携及び多職種協働の意義
- 人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理
- ケアマネジメントのプロセス
- 実習オリエンテーション
- 自立支援のためのケアマネジメントの基本
- 相談援助の専門家としての基本姿勢及び相談援助技術の基礎
- 利用者、多くの種類の専門職等への説明及び合意
- 介護支援専門員に求められるマネジメント(チームマネジメント)
- ケアマネジメントに必要な基礎知識及び技術
- 実習振り返り
- ケアマネジメントの展開
- アセスメント、居宅サービス計画等作成の総合演習
- 研修全体を振り返っての意見交換、講評及びネットワーク作り
- ケアマネジメントの基礎技術に関する実習
資格取得の勉強法
ケアマネジャー(介護支援専門員)の試験を受けるためには、一定の資格と一定の実務経験が必要になりますので、多くの人が仕事を続けながら勉強をしています。
試験対策としては、独学や資格・通信講座などで勉強する方法があります。
それぞれメリット・デメリットがありますので、自分の状況やかけられる時間、費用に合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。
テキストや過去問題集が市販されていますので、独学でも合格を目指すことができます。
独学に不安があったり、働きながら効率的に学習を進めたい人は資格・通信講座を上手に活用することをおすすめします。
資格の取得期間
試験を受けるには5年以上の実務経験が必要ですが、試験勉強を始めてから試験に合格するまでの準備期間としては半年程度が標準的とされています。
学習のポイント
過去問題集を繰り返し学習して、試験問題に慣れておくことが大切です。
ケアマネジャーのおすすめテキスト
ケアマネジャーの過去問題集
ケアマネジャーの受験対策講座
ユーキャンのケアマネジャー講座は、働きながら合格を目指すカリキュラムになっています。
初学者にもわかりやすい教材で、高い合格実績があります。
- 標準学習期間:6ヵ月
- 教材:メインテキスト6冊
- 副教材:過去問題集等
- 添削・質問:あり
- WEB学習:対応
資格のダブル取得
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、それだけで専門性の高い資格ですが、ダブル取得することで、さらにキャリアアップにつなげられる資格があります。
キャリアの方向性に合わせて、チャレンジすることをおすすめします。
福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員は、福祉用具の選び方などについて適切なアドバイスを行うための資格です。
厚生労働大臣指定の講習会を受講して資格を取得します。
福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障がい者のために住環境を整えるアドバイザーの資格です。
まとめ
医療と介護の連携が進み、ケアマネジメントの重要性が高まっています。
これからも高い専門性をもつ介護支援専門員のニーズは続くことが見込まれます。
【参考】
・厚生労働省「介護職員・介護支援専門員」
・試験実施機関ウェブサイト
・資格スクールウェブサイト