技術士は科学技術の応用に携わる技術者にとって最も権威のある国家資格です。
技術部門ごとに行われる国家試験(技術士第二次試験)に合格・登録することで技術士になることができます。
技術士第一次試験は技術士補の試験を兼ねていて、技術士への第一歩となります。
技術士・技術士補の資格の取り方と勉強法をご紹介します。
技術士・技術士補の資格
技術士は産業経済、社会生活の科学技術に関するほぼ全ての分野(21の技術部門)をカバーしています。
技術士制度
技術士制度は日本の産業に必要な技術者育成のために発足しました。
「科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた技術者」の育成を図るための国による資格認定制度です。
技術士とは
技術士は科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者の国家資格です。
技術士第二次試験に合格して、必要な登録をすることで技術士になることができます。
技術士の業務は、「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務」とされています。
技術士補とは
技術士補は技術士となるために必要な技能を修習するため、技術士の業務について技術士の補助を行います。
技術士第一次試験に合格するか、指定された教育課程を修了して、国家登録を行うことで技術士補になることができます。
技術士試験の実施
技術士試験は、第一次試験、第二次試験に分けて、文部科学省で定める技術部門ごとに実施されます。
- 機械部門
- 船舶・海洋部門
- 航空・宇宙部門
- 電気電子部門
- 化学部門
- 繊維部門
- 金属部門
- 資源工学部門
- 建設部門
- 上下水道部門
- 衛生工学部門
- 農業部門
- 森林部門
- 水産部門
- 経営工学部門
- 情報工学部門
- 応用理学部門
- 生物工学部門
- 環境部門
- 原子力・放射線部門
- 総合技術監理部門(第二次試験のみ)
年代別試験結果
総数 | 10代 以下 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 以上 | |
受験者数(人) | 17,225 | 731 | 7,904 | 3,457 | 3,048 | 2,490 | 298 | 33 |
合格者数(人) | 7,264 | 257 | 3,714 | 1,478 | 1,059 | 619 | 130 | 7 |
合格率(%) | 42.2 | 35.2 | 47.0 | 42.8 | 34.7 | 35.3 | 43.6 | 21.2 |
(日本技術士会「令和4年度技術士第一次試験統計」より)
キャリアでの活かし方
技術士の多くが一般企業や官公庁に所属し、高度な技術を活かして業務を行っています。
技術コンサルタントとして活動することもできます。
第一次試験
技術士第一次試験は技術士になるための第1段階の試験と位置付けられています。
技術士補試験を兼ねていて、合格すると技術士補になる資格を得ることができます。
試験では技術士補となるために必要な技術部門についての専門的学識を有するかどうかが判定されます。
受験資格
年齢・学歴・実務経験などの制限なし
試験日
10月
試験地
北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県
試験方法
基礎科目、適性科目、専門科目についての筆記試験(択一式試験)
試験内容
大学のエンジニアリング課程の修了程度です。
- 基礎科目:科学技術全般にわたる基礎知識を問う問題
1.設計・計画に関するもの
2.情報・論理に関するもの
3.解析に関するもの
4.材料・化学・バイオに関するもの
5.環境・エネルギー・技術に関するもの - 適性科目:技術士等の義務の規定の遵守に関する適性を問う問題
- 専門科目:選択する1技術部門に係る基礎知識及び専門知識を問う問題
合格率
40%程度
試験免除
指定された教育課程の修了者は第一次試験の合格と同等とみなされるため、第一次試験が免除されます。
指定された教育課程とは「大学その他の教育機関における課程であって科学技術に関するもののうち、その修了が第一次試験の合格と同等であるものとして文部科学大臣が指定したもの」のことです。
第二次試験
技術士第二次試験に合格することで技術士になる資格を得ることができます。
技術士となるために必要な技術部門についての専門的学識及び専門的応用能力を有するかどうかが判定されます。
受験資格
第二次試験を受験するには、技術士補となる資格(技術士第一次試験の合格または指定教育課程の修了)があることと、実務経験が必要となります。
- 技術士補として登録し、指導技術士の下で4年を超える実務経験
- 修習技術者(技術士補の有資格者)となった後、職務上の監督者の下で4年を超える実務経験
- 科学技術に関する7年を超える実務経験(修習技術者となる前の経験も含む)
試験日
- 筆記試験:7月
- 口頭試験(筆記合格者のみ):11月~翌年1月のうち指定された日
試験地
北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県
※口頭試験は東京都のみ
試験方法
筆記試験と口頭試験が行われ、筆記試験の合格者のみに口頭試験が行われます。
口頭試験では、技術士としての適格性等が問われます。
試験内容
①総合技術監理部門を除く技術部門
- 必須科目
技術部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの - 選択科目
・選択科目についての専門知識及び応用能力に関するもの
・選択科目についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
②総合技術監理部門
- 必須科目
安全管理/社会環境との調和/経済性(品質・コスト・生産性)/情報管理/人的資源管理に関する課題解決能力及び応用能力 - 選択科目
上記①の必須科目及び選択科目と同一の問題
合格率
10%程度
問い合わせ
公益社団法人 日本技術士会技術士試験センター
技術士の試験対策
技術士の資格は、技術士第二次試験に合格して、必要な登録をすることで取得することができます。
第一次試験、第二次試験ともにテキストや問題集が市販されていますので、独学でも合格を目指すことができます。
また日本技術士会のウェブサイトでは、過去の試験問題が公開されています。
第二次試験に合格するためには、筆記試験の対策をしっかりすることが重要です。
専門知識には自信があっても、文章力には課題があるという人もいるでしょう。
正しい書き方を繰り返し練習することが必要になります。
基礎・適性科目のテキスト
社会人におすすめの第二次試験対策
第二次試験対策として、独学では不安のある人や論文対策などを効率よく進めたい人には、通信講座を上手に組み合わせることをおすすめします。
オンライン資格講座のスタディングは、短期合格者の勉強法を研究して開発された講座を提供しています。
技術士試験合格コースでは、技術士第二次試験の合格に向けて受験申込書から論文、口頭試験まで効率よく対策することができます。
まとめ
技術士の第一歩となる技術士第一次試験は20代の合格者が半数を占めています。
技術士の資格は国から認められた優れた技術者の証ですので、20代の若手が技術士を目指すことは、キャリアを築くうえで大いに役立つでしょう。
参考:公益社団法人 日本技術士会ウェブサイト