キーワード解説
早期退職制度
早期退職制度とは、定年に達する前の従業員に対して、退職金加算などの優遇措置を行い、退職を促す制度のことです。
早期退職制度は、企業の人員構成を最適化し、組織活性化を図ることを目的としています。原則的には制度として常設されます。
定年の引き上げや雇用延長を行う一方で、従業員本人の希望により本来の定年よりも相当に早い一定の時期に、特別の割増退職金の支給を受けて、退職することを選択できるようにする企業が増えています。
早期退職制度を導入する企業は増え、対象とする従業員の年齢は低くなる傾向があります。
早期退職制度の運用は、企業に広く裁量が認められています。
従業員からの応募に対して、企業側の承認がなければ早期退職制度の適用はないという条件が設けられていることが多いですが、企業には平等・公平な取扱いが求められます。
早期退職制度は、定年退職制の画一的な運用ではなく、年齢にこだわらない働き方の実現のため、個人の自由な意思を尊重する制度として活用することが期待されています。
早期退職優遇措置の例
- 退職金の割り増し
- 再就職の相談・あっせん
- 特別な有給休暇の付与
- 教育プログラムの提供
- 開業資金等の提供 など
希望退職
早期退職制度に希望退職を含める考え方もあります。
希望退職は、業績不振など企業経営の必要性から余剰人員を削減するために緊急的に行われる一時的な措置です。
整理解雇を回避するための措置のひとつとして行われます。
一時的な措置である希望退職に対して、早期退職制度は、原則として常設の制度です。
定年退職
正社員など雇用期間の定めがない従業員が、就業規則などに定められた退職年齢に達したときに、自動的に労働契約が終了することを「定年退職」といいます。
定年退職の退職日は、「定年に達する誕生日当日」「定年に達する誕生日が属する月末」などに設定されます。
定年は60歳を下回ることはできません。
さらに、希望者全員について65歳まで雇用の機会を与えなければならなくなっています。
退職年齢に達すると自然と退職となる定年退職では、基本的に退職願の提出は必要ありませんが、定年後の継続雇用などについての意思確認は必要となります。
高年齢者雇用確保措置
定年は法令で60歳以上と定められていますが、公的年金の受給年齢の引き上げにともない、65歳まで雇用機会を与えることが企業に義務づけられています。
65歳未満の定年を定めている企業では高年齢者雇用確保措置を実施しなければなりません。
- 定年の引き上げ
- 定年の廃止
- 定年後の継続雇用制度の導入
・勤務延長制度
・再雇用制度
70歳までの就業確保措置を講じる「努力義務」
定年を65歳以上70歳未満に定めている企業、65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く)を導入している企業は、次のいずれかの措置を講じるよう努める必要があります。
- 70歳までの定年引き上げ
- 定年制の廃止
- 70歳までの継続雇用制度、再雇用制度の導入
- 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
- 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
・事業主が自ら実施する社会貢献事業
・事業主が委託、出資、資金提供等する団体が行う社会貢献事業
参考:厚生労働省ウェブサイト
- 早期退職制度は、企業の人員構成を最適化し、組織を活性化する目的で常設される制度
- 希望退職は経営上の理由で人員を削減するために臨時的に行われる措置