不動産業界は国民総生産の大きな比率を占める重要な産業です。
住宅や建設業界とも関わりが深く、内需に大きく貢献しています。
転職・就職で押さえておきたい不動産業界の動向、採用市場をご紹介します。
不動産業界の最新動向(2024年)
不動産業とは
不動産業とは、主に不動産の「開発」「売買」「賃貸」「流通(仲介)」「管理」を行う事業のことです。
不動産には土地と建物、その土地に定着する工作物が含まれます。
開発分野
宅地開発、都市開発、オフィスビル開発、マンション開発、戸建て開発、商業施設開発、ホテル開発、リゾート開発などがあります。
分譲分野
宅地分譲と住宅分譲があり、住宅分譲にはマンション、戸建て、リゾートマンション、別荘などが含まれます。
賃貸分野
賃貸物件には、オフィスビル、商業施設、マンション・アパート、戸建て、別荘、駐車場などがあります。
流通(仲介)分野
不動産販売代理や不動産賃貸代理などの「不動産代理業務」と不動産売買仲介や不動産賃貸仲介の「不動産仲介業務」があります。
管理分野
土地管理、ビル管理、マンション管理、別荘管理、駐車場管理などがあります。
デベロッパー
不動産業界は、大規模開発を手掛ける「デベロッパー」、土地・住宅を販売する「不動産販売会社」、売買・賃貸の「仲介会社」、建物管理を代行する「管理会社」などで構成されています。
円安が進み、海外からの投資意欲が高く、不動産取得が続く可能性があります。
国内の人口減少の影響が避けられないと見られているため、海外展開にも力を入れています。
三井不動産
国内最大手の総合デベロッパー。三井グループ。
東京・日本橋、日比谷などで再開発を推進しています。
- 売上高:2兆2,691億円
- 従業員数:24,706人
- 平均年齢:40歳
- 三井不動産レジデンシャル
- 三井不動産リアルティ
- 三井ホーム
- 東京ドーム
- 三井不動産アメリカ
三菱地所
東京・丸の内のオフィス街が地盤の総合デベロッパー。三菱グループ。
「大手町・丸の内、有楽町」の大型再開発プロジェクトを進めています。
- 売上高:1兆3,778億円
- 従業員数:10,658人
- 平均年齢:40歳
- 三菱地所レジデンス
- 三菱地所・サイモン
- サンシャインシティ
- メックグループインターナショナル
住友不動産
東京都心のオフィスビルを多数保有。住友グループ。
分譲マンション開発でも大手です。
- 売上高:9,399億円
- 従業員数:12,957人
- 平均年齢:43歳
- 住友不動産販売
- 住友不動産建物サービス
- 住友不動産ベルサール
- 住友不動産ヴィラフォンテーヌ
東急不動産ホールディングス
住宅分譲、ビル賃貸、レジャー施設など多角展開。
東急電鉄と渋谷駅周辺を再開発中です。
- 売上高:1兆58億円
- 従業員数:21,614人
- 平均年齢:42歳
- 東急
- 東急コミュニティー
- 東急リバブル
- 東急不動産リゾーツ&ステイ
野村不動産ホールディングス
住宅事業の比率が高く、分譲マンションが主力。
オフィスビルにも力を入れています。
- 売上高:6,547億円
- 従業員数:7,695人
- 平均年齢:42歳
- 野村ホールディングス
- 野村不動産ソリューションズ
- 野村不動産パートナーズ
東京建物
オフィスビルとマンション分譲が主力。芙蓉グループ。
東京・八重洲地区を再開発中です。
- 売上高:3,499億円
- 従業員数:5,878人
- 平均年齢:42歳
森ビル
大型複合施設の開発を推進。
複合開発を手掛ける総合デベロッパーですが、上場はしていません。
オフィスビル開発・賃貸
- ヒューリック:旧富士銀行のビル管理からスタート
- NTT都市開発:東京・大手町などで大規模再開発
- 日鉄興和不動産:東京・赤坂の大規模再開発
- 森トラスト:東京都港区の再開発
不動産仲介・投資
不動産取引の市場は法人・個人向けともに好調です。
個人向けでは中古住宅の売買が伸びています。
リノベーション住宅販売を拡大する動きも見られます。
売買仲介
- 三菱不動産リアルティ
- 住友不動産販売
- 東急リバブル
賃貸開発・管理
- 大東建託
- レオパレス21
- 東建コーポレーション
- スターツコーポレーション
不動産管理
不動産管理は、ビル・マンションの所有者に代わって建物・賃貸管理を行います。
デベロッパーなど大手不動産会社の系列企業が多くなっています。
ビルメンテナンス業では、設備機器メーカーの系列企業が多いですが、独立系も参入しています。
マンション管理
- 東急コミュニティ―
- 日本ハウズイング
- 大京アステージ
- 長谷工コミュニティ
- 三菱地所コミュニティ
- 大和ライフネクスト
- 合人社計画研究所
- 三井不動産レジデンシャルサービス
- 住友不動産建物サービス
- 野村不動産パートナーズ
不動産業界の採用市場
不動産業界の求人・転職
不動産業界の求人は高水準が続いています。
資格者は特にチャンスが豊富です。
営業系求人は第二新卒の採用にも積極的で、大手各社も未経験者を採用しています。
入社後の研修や専門資格の取得支援も整っていますので、業界経験がなくてもチャレンジしやすい環境といえます。
不動産業界で求められるのは、コミュニケーション力や顧客志向の提案力です。
不動産・金融などの専門知識やスキルは転職後も幅広く活用できます。
不動産賃貸・管理業の給与
区分 | 20~24歳 | 25~29歳 | 45.8歳 (平均) |
所定内労働時間 | 163時間 | 162時間 | 162時間 |
残業 | 11時間 | 17時間 | 10時間 |
月収 | 246,500円 | 269,300円 | 349,600円 |
年間賞与等 | 779,100円 | 1,115,000円 | 1,371,900円 |
年収 | 3,737,100円 | 4,346,600円 | 5,567,100円 |
(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より)
不動産業界の転職活動
エージェントサービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアアドバイザーのサポートを受けることができます。
好条件・非公開の求人紹介だけでなく、書類作成や面接対策のアドバイスなどで選考通過率のアップが期待できます。
不動産業界では、専門家のニーズが高まっていますので、資格を取得することは、転職や就職で有効なアピール材料になります。
まとめ
不動産業界の活躍のフィールドは、土地開発、販売、仲介、リフォーム、建物管理、資産価値向上を担うプロパティマネジメントなど多彩です。
仲介では未経験から店舗マネージャーを育成する企業が増えています。
若手でも実績次第でスピーディな昇給・昇格を実現しやすいことが、不動産業界の魅力のひとつでもあります。
【参考】
・国土交通省ウェブサイト
・一般社団法人不動産協会ウェブサイト
・各企業公式サイト
・日本経済新聞出版『日経業界地図2024年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2024年版』