社会福祉士は介護福祉士、精神保健福祉士とともに福祉系三大国家資格です。
福祉や医療の相談援助において重要な役割を担う社会福祉士は、今後ますます必要性が高まると考えられています。
社会福祉士の資格の取り方と勉強法についてご紹介します。
社会福祉士の資格
社会福祉士とは
社会福祉士は、身体や精神に障がいのある人や日常生活を送ることが難しい人の福祉に関する相談に応じ、医療や福祉サービスを受けられるよう相談援助を行う専門職です。
「ソーシャルワーカー」は人気の職種で、社会福祉施設や医療施設、行政施設などで活躍しています。
キャリアの活かし方
- 高齢者や障がい者などの社会福祉施設
- 病院などの医療施設
- 地域支援センターなどの行政施設
- 独立・開業 など
社会福祉士の資格を取るには
社会福祉士になるルート
社会福祉士になるには、国家試験に合格する必要があります。
社会福祉士国家試験を受けるには、受験資格があります。
受験資格を満たすには、福祉系大学・短大等で指定科目を履修した人以外は、福祉系大学・社会福祉士養成施設で学ぶことが必要になります。
社会福祉士養成施設に入学する
高校を卒業後の学歴に応じて必要なカリキュラムに対応している養成施設(専門学校等)に入学します。
養成施設には通信課程や夜間コースがありますので、働きながら資格取得を目指すことができます。
- 福祉系大学等で基礎科目を履修した人:短期養成施設等(6ヵ月以上)
- 一般大学等:一般養成施設等(1年以上)
- それ以外:福祉系大学等
社会福祉士国家試験に合格する
社会福祉士国家試験の受験資格を取得して、試験に合格すると社会福祉士として登録できるようになります。
社会福祉士の資格を取得する
社会福祉士として所定の登録をすると、社会福祉士の資格を取得することができます。
社会福祉士養成施設の種類
社会福祉士の短期養成施設と一般養成施設には、私立大学や専門学校があります。
国家試験の実施機関である公益財団法人社会福祉振興・試験センターのウェブサイトに養成施設の一覧が掲載されています。
養成施設の情報収集
全国の大学、短期大学、専門学校など幅広い学校が掲載されている情報サイトでは資格や所在地など希望の条件で学校を検索して、資料請求をすることができます。
学校の特徴や出願・入試情報、学費・奨学金情報など役立つ情報をまとめて収集できて便利です。
社会福祉士の国家試験
社会福祉士国家試験の概要
社会福祉士の資格を取得するには、国家試験に合格して、所定の登録をすることが必要となります。
社会福祉士国家試験は、社会福祉士として必要な知識および技能について筆記試験を行います。
学歴により受験できる条件が変わってきます。
受験資格
- 福祉系4年制大学で指定科目を履修して卒業
- 福祉系短大等で指定科目を履修+指定施設での相談援助実務
- 福祉系大学等+社会福祉士短期養成施設等(6ヵ月以上)
- 一般大学等+社会福祉士一般養成施設等(1年以上)
試験日
年1回(2月)
試験地
北海道、青森県、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、鹿児島県、沖縄県
試験内容
筆記試験
- 人体の構造と機能及び疾病
- 心理学理論と心理的支援
- 社会理論と社会システム
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 福祉行財政と福祉計画
- 社会保障
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 保健医療サービス
- 権利擁護と成年後見制度
- 社会調査の基礎
- 相談援助の基盤と専門職
- 相談援助の理論と方法
- 福祉サービスの組織と経営
- 高齢者に対する支援と介護保険制度
- 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
- 就労支援サービス
- 更生保護制度
※精神保健福祉士が受験する場合、科目免除あり
合格率
30%程度
問い合わせ
公益社団法人 社会福祉振興・試験センター
相談援助実務
受験資格の実務経験の対象となる施設・事業、職種は指定されています。
指定された施設、職種以外の経験は実務経験となりませんので、よく確認する必要があります。
児童分野
- 児童相談所
・児童福祉司
・受付相談員
・相談員
・電話相談員
・児童心理司
・児童指導員
・保育士 - 母子生活支援施設
・母子支援員、母子指導員
・少年指導員
・個別対応職員 - 児童養護施設
・児童指導員
・保育士
・個別対応職員
・家庭支援専門相談員
・職業指導員
・里親支援専門相談員 - 障害児入所施設
・児童指導員
・保育士
・心理指導担当職員
・児童発達支援管理責任者 - 知的障害児施設
・児童指導員
・保育士 - 知的障害児通園施設
・児童指導員
・保育士 - 盲ろうあ児施設
・児童指導員
・保育士 - 肢体不自由児施設
・児童指導員
・保育士 - 児童心理治療施設
・児童指導員
・保育士
・個別対応職員
・家庭支援専門相談員 - 重症心身障害児施設
・児童指導員
・保育士
・心理指導員 - 児童自立支援施設
・児童自立支援専門員
・児童生活支援員
・個別対応職員
・家庭支援専門相談員
・職業指導員 - 児童家庭支援センター
・相談員 - 障害児相談支援事業
・相談支援専門員 - 乳児院
・児童指導員
・保育士
・個別対応職員
・家庭支援専門相談員
・里親支援専門相談員 - 指定発達支援医療機関
・児童指導員
・保育士 - スクールソーシャルワーカー活用事業
・スクールソーシャルワーカー など
高齢者分野
- 介護保険施設
・生活相談員
・介護支援専門員
・支援相談員
・相談指導員 - 地域包括支援センター
・保健師等 - 指定特定施設入居者生活介護を行う施設
・生活相談員
・計画作成担当者 - 指定通所介護を行う施設
・生活相談員
・生活指導員 - 指定通所リハビリテーションを行う施設
・支援相談員 - 指定夜間対応型訪問介護を行う施設
・オペレーションセンター従業者 - 指定認知症対応型共同生活介護を行う施設
・介護支援専門員 - 介護予防支援事業を行っている事業所
・担当職員 - 養護老人ホーム
・生活相談員
・生活指導員 など
障害者分野
- 身体障害者更生相談所
・身体障害者福祉司
・心理判定員
・職能判定員
・ケースワーカー - 点字図書館
・相談援助業務を行っている職員 - 精神保健福祉センター
・精神保健福祉相談員
・精神保健福祉士
・精神科ソーシャルワーカー
・心理判定員 - 知的障害者更生相談所
・知的障害者福祉司
・心理判定員
・職能判定員
・ケースワーカー - 障害者支援施設
・生活支援員
・就労支援員
・サービス管理責任者 - 発達障害者支援センター
・相談支援を担当する職員
・就労支援を担当する職員 など
その他の分野
- 保健所
・精神保健福祉相談員
・精神保健福祉士
・精神科ソーシャルワーカー
・心理判定員 - 病院・診療所
・相談員(医療ソーシャルワーカー等)
・退院後生活環境相談員 - 婦人相談所
・相談指導員
・判定員
・婦人相談員 - 更生保護施設
・補導主任
・補導員
・福祉職員
・薬物専門職員 - 地域福祉センター
・相談援助業務を行っている職員 など
社会福祉士の資格勉強
資格取得の勉強法
社会福祉士の資格を取得するには、大学・専門学校、資格・通信講座、独学で勉強する方法があります。
学歴や実務経験などによって学び方は変わってきます。
受験資格の有無や学習の状況、かけられる時間・費用に応じて自分に合った最適な方法を選ぶことが大切です。
試験対策としては、テキストや過去問題集が市販されていますので、独学で合格を目指すことができます。
独学に不安があったり、効率的に学習を進めたい人は、試験に対応した通信講座などを上手に活用することをおすすめします。
資格の取得期間
試験を受けるには学歴や実務経験などの要件があります。
まずは資格取得ルートの条件を満たしているかどうかを確認する必要があります。
受験資格のある人が試験に合格するためには、10ヵ月程度の準備期間が必要となるでしょう。
学習のポイント
社会福祉士の試験範囲は広く、問題数も多いので、試験問題に慣れることが重要です。
過去問題集などで出題傾向を把握して、実践に近い形で問題を解く練習をしておきましょう。
社会福祉士のテキスト
社会福祉士の過去問題集
まとめ
社会福祉士は高度な専門的知識と技能を活かし、福祉や医療の相談援助の場で活躍しています。
社会が多様化、複雑化するなかで、適切に相談者の課題を解決するために社会福祉士の援助が必要とされる場面は増えていくでしょう。
転職や就職、キャリアアップに役立つ資格として注目度の高い資格です。



【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・公益財団法人社会福祉振興・試験センター