福祉業界には、専門的なスキルを求められる仕事が多くあります。
「福祉の資格を取って、仕事にしたい」
「福祉施設で働いているので、資格を取って、スキルアップしたい」
など、福祉業界で資格取得を目指す人は、資格を仕事に活かしたいと考えているでしょう。
高齢化が進み、資格を採用条件とする求人ニーズは高まっています。
福祉業界で役立つ資格をご紹介します。
福祉系の資格
介護福祉士
介護福祉士は、福祉系で代表的な国家資格です。
「介護のプロ」としての資格は、採用条件とする求人が今後も増えていくことが予想され、福祉・介護業界での求人は豊富です。
受験資格
- 実務経験ルート:3年以上の実務経験+実務者研修
- 養成施設ルート:介護福祉士養成施設を卒業
- 福祉系高校ルート:福祉系高校を卒業
試験日
- 筆記試験:1月
- 実技試験:3月
試験地
- 筆記試験:全国の35試験地
- 実技試験:東京都、大阪府
試験内容
【筆記試験】
- 人間の尊厳と自立
- 人間関係とコミュニケーション
- 社会の理解
- 介護の基本
- コミュニケーション技術
- 生活支援技術
- 介護過程
- こころとからだのしくみ
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- 医療的ケア
- 総合問題
【実技試験】
介護等に関する専門技能
合格基準
問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上。
筆記試験合格者のみ実技試験(指定の要件を満たせば実技試験が免除されます)
合格率
70%程度
問い合わせ
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
転職・就職情報
介護老人保健施設やデイサービスセンターなどの福祉施設、病院などの医療施設などで高いニーズがあります。
福祉・介護業界のキャリアアップに有利な資格です。

介護福祉士国家試験の過去問題集
社会福祉士
社会福祉士は、介護福祉士、精神保健福祉士とともに福祉系の三大国家資格のひとつです。
医療・福祉・教育・行政機関などで日常生活を営むのに問題がある人からの相談に対して助言や指導、援助を行なう専門職です。
受験資格
- 福祉系4年制大学で指定科目を履修して卒業
- 福祉系短大等で指定科目を履修して卒業+相談援助の実務経験
- 社会福祉士短期養成施設等(6月以上)を卒業
- 社会福祉士一般養成施設等(1年以上)を卒業 など
試験日
年1回(2月)
試験地
全国の24試験地
試験内容
- 人体の構造と機能及び疾病
- 心理学理論と心理的支援
- 社会理論と社会システム
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 福祉行財政と福祉計画
- 社会保障
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 保健医療サービス
- 権利擁護と成年後見制度
- 社会調査の基礎
- 相談援助の基盤と専門職
- 相談援助の理論と方法
- 福祉サービスの組織と経営
- 高齢者に対する支援と介護保険制度
- 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
- 就労支援サービス
- 更生保護制度
合格率
30%程度
問い合わせ
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
転職・就職情報
医療系ソーシャルワーカーが人気ですが、福祉、保健、教育など幅広い分野で専門性を活かすことができます。
転職や就職、キャリアアップで非常に有利です。

社会福祉士国家試験の過去問題集
精神保健福祉士
精神保健福祉士は、福祉系の国家資格です。
精神障がい者の社会復帰を援助するのが主な仕事です。
受験資格
- 福祉系4年制大学で指定科目を履修して卒業
- 福祉系4年制大学以外は養成施設等(最終学歴と実務経験年数により異なる)を卒業
試験日
2月の2日間
試験地
北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、福岡
試験内容
- 精神疾患とその治療
- 精神保健の課題と支援
- 精神保健福祉相談援助の基盤
- 精神保健福祉の理論と相談援助の展開
- 精神保健福祉に関する制度とサービス など17科目
合格率
60%程度
問い合わせ
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
転職・就職情報
ストレスの多い現代社会で、精神疾患からの社会復帰を目指す人を支援する専門家として、重要度が高まっています。
精神保健福祉士国家試験の過去問題集
実務者研修
実務者研修は、実務経験ルートで介護福祉士の国家試験を受験するために、必須となる資格です。
介護職員初任者研修のステップアップ資格といえますが、受講資格の制限はないので、はじめから実務者研修を受講することもできます。
介護職員初任者研修を受講していれば、実務者研修の受講料と受講時間の一部が免除となります
受講資格
誰でも受講することができます。
研修内容
研修は、「通学」または「通信+スクーリング」で受講できます。
講義と演習で、合計450時間です。
- 人間の尊厳と自立
- 社会の理解Ⅰ・Ⅱ
- 介護の基本Ⅰ・Ⅱ
- コミュニケーション技術
- 生活支援技術Ⅰ・Ⅱ
- 介護過程Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
- 発達と老化の理解Ⅰ・Ⅱ
- 認知症の理解Ⅰ・Ⅱ
- 障害の理解Ⅰ・Ⅱ
- こころとからだのしくみⅠ・Ⅱ
- 医療的ケア
問い合わせ
各都道府県の福祉担当課
転職・就職情報
介護職員としてのキャリアアップに有利な資格です。
介護福祉士を目指す人は早めに受講することをおすすめします。

介護支援専門員(ケアマネジャー)
ケアマネジャーは、福祉や医療の実務経験者が取得できる資格です。
要支援・要介護認定者およびその家族からの相談を受け、介護サービスの給付計画(ケアプラン)を作成し、他の介護サービス事業者との連絡、調整等を行う仕事です。
受験資格
- 保健、医療、福祉系の国家資格に基づく業務の従事者
- 生活相談員、支援相談員、相談支援専門員
など、原則5年以上の実務経験者。
現状では試験合格者の半数弱は、介護福祉士です。
試験日
年1回(10月)
試験地
各都道府県が指定する試験会場
試験内容
- 介護支援分野
・介護保険制度の基礎知識
・要介護認定などの基礎知識
・居宅・施設サービス計画の基礎知識など - 保健医療福祉サービス分野
・保健医療サービスの知識など(基礎/総合)
・福祉サービスの知識など
合格率
20%程度
問い合わせ
各都道府県の介護支援専門員実務研修受講試験担当課
転職・就職情報
ケアマネジャーの資格を取得する人の約半数は介護福祉士ですが、医療・福祉系の資格者も多く受験しています。
介護保険施設だけでなく、介護に関連する業界で幅広く資格を活かすことができます。

ケアマネジャー試験の過去問題解説集
公認心理師
公認心理師は心理職として唯一の国家資格です。
医療・保健、福祉、教育、産業・労働、司法・犯罪などの分野で心理学に関する専門的知識および技術をもって心理に関する支援を行います。
受験資格
- 大学で指定科目を履修+大学院で指定科目を履修
- 大学で指定科目を履修+認定施設での実務経験 など
試験日
- 2023年:5月
- 2024年:3月(予定)
試験地
北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、岡山県、福岡県
試験内容
筆記試験
- 公認心理師としての職責と自覚
- 問題解決能力と生涯学習
- 多職種連携・地域連携
- 心理学・臨床心理学の全体像
- 心理学における研究
- 心理学に関する実験
- 知覚及び認知
- 学習及び言語
- 感情及び人格
- 脳・神経の働き
- 社会及び集団に関する心理学
- 発達
- 障害者(児)の心理学
- 心理状態の観察及び結果の分析
- 心理に関する支援
- 健康・医療に関する心理学
- 福祉に関する心理学
- 教育に関する心理学
- 司法・犯罪に関する心理学
- 産業・組織に関する心理学
- 人体の構造と機能及び疾病
- 精神疾患とその治療
- 公認心理師に関係する制度
- その他
合格率
60%程度
問い合わせ
一般財団法人 日本心理研修センター
転職・就職情報
幅広い分野でニーズのある資格です。
医療・福祉系では病院・クリニック、保健所、福祉施設などで活かすことができます。

福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは高齢者や障がい者の居住空間を提案するための資格です。
検定試験は3級から1級まで設定されていて、全国の商工会議所が年2回、実施しています。
受験資格
制限なし
試験日
- 1級:12月
- 2・3級: 7月、11月
試験地
- 1級:全国各地のテストセンター(CBT方式・統一試験)
- 2級・3級
・IBT方式:自宅や会社など
・CBT方式:全国各地のテストセンター
試験内容
- 1級
2級で得た知識をもとに、新築や住宅改修の具体的なプランニングができ、さらに安全で快適なまちづくりへの参画など幅広い活動ができる能力 - 2級
3級レベルの知識に加え、福祉と住環境等の知識を実務に活かすために、幅広く確実な知識を身につけていること - 3級
福祉と住環境の関連分野の基礎的な知識についての理解度
合格率
- 1級:10%
- 2級:30%程度
- 3級:60%程度
問い合わせ
東京商工会議所 検定センター
転職・就職情報
福祉と建築をつなぐ将来性のある資格として、医療・福祉業界で活用できます。
他の福祉系の資格とセットでアピールするのがおすすめです。

福祉住環境コーディネーターの公式テキスト
まとめ
福祉業界の仕事は高度な専門性が必要とされますので、資格を取得することは大きな強みになります。
資格なしで働いている人も、福祉・介護の仕事を続けるのであれば、資格取得を目指すことをおすすめします。

【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・公益財団法人社会福祉振興・試験センター