介護福祉士の資格を実務経験ルートで取得するには、実務者研修が必須となっています。実務者研修は介護福祉士を目指す人はもちろん、介護業界で働きたい人、介護職員としてステップアップしたい人などに有利な資格です。
実務者研修は指定を受けた養成施設で受講でき、教育訓練給付制度対象の講座もありますので、積極的な活用をおすすめします。
実務者研修の資格取得
実務者研修とは
複雑だった介護職のキャリアパスを明確にして、資質の向上を図るために実務者研修が導入されました。ホームヘルパーと介護職員基礎研修は2012年で廃止され、実務者研修に一本化されています。
実務者研修は介護福祉士養成施設の実務経験だけでは修得できない知識や技術を中心に450時間で構成されています。
介護職のキャリアパス
実務者研修の概要
実務者研修は、幅広いニーズに対応するための基本的な介護提供能力の修得を目標としています。通信教育を活用した通信・通学併用コースが多く、働きながらでも受講しやすい環境が整備されています。
受講資格
学歴・実務経験などの制限はありませんが、初任者研修の修了を前提としている講座もあります。
受講内容
実務者研修のカリキュラムは20科目、450時間です。「医療的ケア」については50時間の学習内容とは別に演習を修了する必要があります。
受講期間
カリキュラムは決まっていますが、通学や通信、保有資格による免除科目により受講期間は異なります。通学では6ヵ月、通信では1ヵ月程度の講座が標準的になっています。
介護福祉士試験を受験する場合、申込みの際に実務者研修修了書(修了見込書含む)を提出しなければなりませんので、それまでに研修を修了する必要があります。
実務者研修の科目免除
実務者研修はこれまでに取得した資格や受講した研修を実務者研修に読み替え、受講時間を短縮することができます。
研修科目と受講時間
- ―の科目:実務者研修で免除になる科目
- ○の科目:実務者研修で受講が必要な科目
科目 | 時間数 | 介護職員 初任者研修 | ヘルパー 1級 | ヘルパー 2級 | ヘルパー 3級 | 介護職員 基礎研修 |
人間の尊厳と自立 | 5 | ― | ― | ― | ― | ― |
社会の理解Ⅰ | 5 | ― | ― | ― | ― | ― |
社会の理解Ⅱ | 30 | ○ | ― | ○ | ○ | ― |
介護の基本Ⅰ | 10 | ― | ― | ― | ○ | ― |
介護の基本Ⅱ | 20 | ○ | ― | ― | ○ | ― |
コミュニケーション技術 | 20 | ○ | ― | ○ | ○ | ― |
生活支援技術Ⅰ | 20 | ― | ― | ― | ― | ― |
生活支援技術Ⅱ | 30 | ○ | ― | ― | ○ | ― |
介護過程Ⅰ | 20 | ― | ― | ― | ○ | ― |
介護過程Ⅱ | 25 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
介護過程Ⅲ(スクーリング) | 45 | ○ | ― | ○ | ○ | ― |
発達と老化の理解Ⅰ | 10 | ○ | ― | ○ | ○ | ― |
発達と老化の理解Ⅱ | 20 | ○ | ― | ○ | ○ | ― |
認知症の理解Ⅰ | 10 | ― | ― | ○ | ○ | ― |
認知症の理解Ⅱ | 20 | ○ | ― | ○ | ○ | ― |
障害の理解Ⅰ | 10 | ― | ― | ○ | ○ | ― |
障害の理解Ⅱ | 20 | ○ | ― | ○ | ○ | ― |
こころとからだのしくみⅠ | 20 | ― | ― | ― | ○ | ― |
こころとからだのしくみⅡ | 60 | ○ | ― | ○ | ○ | ― |
医学的ケア | 50 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
実務者研修受講時間数 | 450 | 320 | 95 | 320 | 420 | 50 |
実務者研修の受講メリット
実務者研修を受講することで、より専門的な知識が身につき、仕事の質が向上しますので、介護職としてのスキルアップが認められます。
✔介護福祉士の受験資格を得られる
実務経験ルートで介護福祉士の資格を取得する場合には、実務者研修の修了が必須となりました。介護福祉士の実技試験は免除されます。
✔サービス提供責任者になれる
実務者研修の修了者は、実務経験に関わらず、サービス提供責任者になることができます。サービス提供責任者は訪問介護事業所に必ず配置しなければなりませんが、資格者は不足していますので、転職・就職、キャリアアップなどにも有効です。
✔収入アップが期待できる
資格手当や好待遇など条件のよい求人が多く、収入アップが期待できます。
実務者研修の受講方法
実務者研修は、指定を受けた養成施設の通学・通信講座で受講できます。実技講習などは通学が必要になりますが、研修の大部分は通信講座で受講できますので、働きながらでも受講しやすい内容になっています。
養成施設が実施する実務者研修講座のなかから自分に合ったコースを選ぶことができます。
実務者研修の通学・通信講座
介護職員実務者研修を受講できるスクール案内
実務者研修の講座は、カリキュラムは同じでも、養成機関によってさまざまなコースが用意されています。それぞれのコースには特徴がありますので、自分に合った講座の受講をおすすめします。
指定を受けたスクールの資料を無料で一括請求することができますので、内容を比較して、自分に合ったスクールを選びましょう。
まとめ
実務者研修は学歴や実務経験の制限なく受講でき、実務者研修を修了することで「サービス提供責任者」や「施設長候補」になることが可能です。
未経験や無資格から介護業界へのキャリアチェンジ、介護職としてのステップアップにおすすめの資格です。


