介護福祉士は介護職で唯一の国家資格です。介護業界におけるキャリアパスの仕組みが整備され、介護福祉士の資格取得の重要性が高まっています。
介護福祉士の国家試験に合格するには、試験問題の傾向を把握して、効率よく勉強することが大切です。
介護福祉士の国家試験
介護福祉士の試験内容
介護福祉士の国家試験では、筆記試験と実技試験が実施されます。筆記試験はマークシートの択一式です。
実技試験は筆記試験合格者のみが対象ですが、福祉系高校ルートと経済連携協定(EPA)ルートの受験者以外は実技試験が免除されています。
受験資格
- 3年以上介護等の業務に従事した実務者研修の修了者
- 介護福祉士養成施設の卒業者
- 福祉系高等学校の卒業者
試験日
- 筆記:1月
- 実技:3月
筆記試験
- 人間と社会
・人間の尊厳と自立
・人間関係とコミュニケーション
・社会の理解 - 介護
・介護の基本
・コミュニケーション技術
・生活支援技術
・介護過程 - こころとからだのしくみ
・発達と老化の理解
・認知症の理解
・障害の理解
・こころとからだのしくみ - 医療的ケア
・医療的ケア - 総合問題
・総合問題
実技試験
介護等に関する専門技能(筆記合格者のみ)

介護福祉士試験の出題範囲
人間と社会
人間と社会の領域からは法制度や基礎知識が中心に出題されます。
①人間の尊厳と自立
人間の尊厳と自立からの試験出題数は2問程度で、学習する内容は他の科目でも触れられる内容です。
- 人間の尊厳と自立
- 介護における尊厳の保持・自立支援
②人間関係とコミュニケーション
人間関係とコミュニケーションからの試験出題数は2問程度で、難易度はそれほど高くなく、学習しやすい科目といえます。
- 人間関係の形成
- コミュニケーションの基礎
③社会の理解
この科目の試験出題数は12問程度と多く、難易度も高くなっています。
- 生活と福祉
- 社会保障制度
- 介護保険制度
- 障害者自立支援制度
- 介護実践に関連する諸制度
介護
介護の領域からは介護の実践的な内容が中心に出題されます。
④介護の基本
介護の基本からの試験出題数は10問程度で、他の科目と関連する内容が多く含まれていて、難易度はそれほど高くありません。
- 介護福祉士を取り巻く状況
- 介護福祉士の役割と機能を支えるしくみ
- 尊厳を支える介護
- 自立に向けた介護
- 介護を必要とする人の理解
- 介護サービス
- 介護実践における連携
- 介護従事者の倫理
- 介護における安全の確保とリスクマネジメント
- 介護従事者の安全
⑤コミュニケーション技術
コミュニケーション技術からの試験出題数は8問程度で、難易度はそれほど高くありませんので、得点しやすい科目といえます。
- 介護におけるコミュニケーションの基本
- 介護場面における利用者・家族とのコミュニケーション
- 介護におけるチームのコミュニケーション
⑥生活支援技術
生活支援技術からの試験出題数は20~26問程度で、難易度はそれほど高くありませんが、学習量は多い科目です。
- 生活支援
- 自立に向けた居住環境の整備
- 自立に向けた身じたくの介護
- 自立に向けた移動の介護
- 自立に向けた食事の介護
- 自立に向けた入浴・清潔保持の介護
- 自立に向けた排泄の介護
- 自立に向けた家事の介護
- 自立に向けた睡眠の介護
- 終末期の介護
⑦介護過程
介護過程からの試験出題数は8問程度で、難易度はそれほど高くありませんので、得点しやすい科目といえます。
- 介護過程の意義
- 介護過程の展開
- 介護過程の実践的展開
- 介護過程とチームアプローチ
こころとからだのしくみ
こころとからだのしくみの領域からは、医学・心理学的な内容が中心に出題されます。
⑧発達と老化の理解
発達と老化の理解からの試験出題数は8問程度ですが、内容が深く、学習量は多い科目です。
- 人間の成長と発達の基礎的理解
- 老年期の発達と成熟
- 老化に伴うこころとからだの変化と日常生活
- 高齢者と健康
⑨認知症の理解
認知症の理解からの試験出題数は10問程度で、認知症についてしっかり理解していないと対応できない科目す。
- 認知症を取り巻く状況
- 医学的側面から見た認知症の基礎
- 認知症に伴うこころとからだの変化と日常生活
- 連携と協働
- 家族への支援
⑩障害の理解
障害の理解からの試験出題数は10問程度で、学習量はそれほど多くありませんが、重要な科目です。
- 障害の基礎的理解
- 障害の医学的側面の基礎的知識
- 連携と協働、家族への支援
⑪こころとからだのしくみ
こころとからだのしくみからの試験出題数は12問程度ですが、学習量は多い科目です。
- こころのしくみの理解
- からだのしくみの理解
- 身じたくに関連したこころとからだのしくみ
- 移動に関連したこころとからだのしくみ
- 食事に関連したこころとからだのしくみ
- 入浴、清潔保持に関連したこころとからだのしくみ
- 排泄に関連したこころとからだのしくみ
- 睡眠に関連したこころとからだのしくみ
- 死にゆく人のこころとからだのしくみ
医療的ケア
医療的ケアの領域からは医療的な内容が中心に出題されます。
⑫医療的ケア
医療的ケアは2016年度から新たに追加された科目で、試験出題数は5問程度です。
- 医療的ケア実施の基礎
- 喀痰吸引(基礎的知識・実施手順)
- 経管栄養(基礎的知識・実施手順)
総合問題
総合問題はすべての領域から事例形式で出題されます。
総合問題
総合問題からの試験出題数は12問で、学習内容の応用的な科目です。
介護福祉士試験の勉強法
介護福祉士の受験対策
介護福祉士の試験は出題範囲が広く、暗記が必要な内容も多く含まれています。国家試験に合格するためには、出題傾向を押さえて国家試験のための対策をする必要があります。
試験対策は独学や資格・通信講座で勉強する方法があります。自分の状況やかけられる時間、費用に合わせて選択することになります。
準備期間
国家試験の勉強は、独学でも可能ですが、働きながら目指す人も多く、効率的に勉強を進めるのであれば、資格・通信講座の利用をおすすめします。1ヵ月~半年程度のカリキュラムになっています。
効率的な勉強法
過去問題集を中心に勉強を進めることがポイントです。過去問題集を繰り返し解き、試験問題に慣れることが大切です。間違えた問題など疑問点はテキストで解決して、理解を深めるようにします。
介護福祉士のおすすめテキスト
介護福祉士の過去問題集
介護福祉士の試験対策講座
介護福祉士の受験には、介護職員実務者研修
が必須となっています。まだ受験資格のない人は、まず研修の受講をおすすめします。
国家試験の受験を予定している人は、受験対策講座の受講がおすすめです。
まとめ
介護福祉士は働きながら目指す人が多い試験ですので、仕事と勉強を両立させることが重要になります。
限られた時間で効率的に合格を目指すには、過去問を繰り返し解くことがポイントになるといえるでしょう。

