介護福祉士は介護の専門家として認められる国家資格です。
これから介護業界を目指す人、介護職としてキャリアアップしたい人などにとって、採用選考や待遇面で有利になる資格といえます。
介護福祉士は誰でも目指すことができますが、国家試験を受験するためには条件となる資格があります。
20代・第二新卒の人はこれまでの実務経験や学歴をよく確認することが必要になります。
介護福祉士の国家試験を受けるには
介護福祉士の国家試験
介護福祉士の国家試験を受験するには、3年以上の実務経験か、養成施設の課程を修了するか、福祉系高等学校等を卒業することが必要となります。
実務経験ルートの受験には、実務者研修を修了していることが必須となっています。
受験資格
- 介護業務等3年以上の実務経験+実務者研修の修了
- 介護福祉士養成施設の卒業(修了)
- 福祉系高等学校の卒業 など
実務経験3年以上
実務経験(3年以上介護等の業務)と実務者研修で介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
受験資格となる施設・事業および職種での在職期間3年以上(1095日以上)と実際に介護等の業務に従事した日数540日以上の要件を満たすことが必要になります。
受験資格となる施設・事業で働いていても、職種により介護福祉士国家試験を受験するための要件を満たす実務経験とはならない場合もありますので、注意が必要です。
最新の受験資格は公益財団法人社会福祉振興・試験センターで確認してください。
児童分野
【受験資格となる施設・事業】
- 知的障害児施設
- 自閉症児施設
- 肢体不自由児施設
- 重症心身障害児施設
- 放課後等デイサービス
- 障害児入所施設
- 児童発達支援センター
- 保育所等訪問支援 など
【受験資格となる職種】
- 保育士
- 介助員
- 看護補助者
- 看護助手
- 指導員
- 児童指導員
- 障害福祉サービス経験者
- 訪問支援員 など
障害者分野
【受験資格となる施設・事業】
- 障害者支援施設
- 療養介護
- 生活介護
- ケアホーム
- グループホーム
- 自立支援
- 就労移行支援
- 知的障害者援護施設
- 身体障害者更生援護施設
- 福祉ホーム
- 訪問入浴サービス
- 地域活動支援センター
- 精神障害者社会復帰施設
- 居宅介護
- 重度訪問介護 など
【受験資格となる職種】
- 介護職員
- 介助員
- 寮母
- 生活支援員
- 指導員
- 世話人
- 訪問介護員
- ホームヘルパー など
高齢者分野
【受験資格の対象となる施設・事業】
- 老人デイサービスセンター
- 指定通所介護
- 指定地域密着型通所介護
- 指定介護予防通所介護
- 指定認知症対応型通所介護
- 指定介護予防認知症対応型通所介護
- 老人短期入所施設
- 養護老人ホーム
- 特別養護老人ホーム
- 指定介護老人福祉施設
- ケアハウス
- 有料老人ホーム
- 指定訪問入浴介護
- 介護老人保健施設
- 指定通所リハビリテーション
- 指定訪問介護
- 指定訪問看護 など
【受験資格の対象となる職種】
- 介護職員
- 介護従事者
- 介護従業者
- 介助員
- 支援員
- 訪問介護員
- ホームヘルパー
- 看護補助者
- 看護助手 など
その他の分野
【受験資格の対象となる施設・事業】
- 救護施設
- 更生施設
- 地域福祉センター
- 家政婦紹介所
- 訪問看護事業 など
【受験資格の対象となる職種】
- 介護職員
- 介助員
- 看護補助者
- 看護助手
- 家政婦 など
社会福祉施設で実務経験にならない職種
- 生活支援者(相談援助業務の担当者)
- 児童指導員(保育士の例外あり)
- 心理指導担当職員、作業指導員、職業指導員
病院または診療所で実務経験にならない職種
- 医師、看護師、准看護師
- 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの機能訓練担当職員
- 介護支援専門員、計画作成担当者
- 調理員、事務員、運転手
法人・施設で実務経験とならない職種
- 代表者
- 施設長
- 所長 など
※介護等用務を兼務している場合は、その期間と日数が実務経験の対象となります。
実務者研修
介護福祉士の試験を受けるためには、2016年度から実務経験3年以上に加えて、450時間の実務者研修が必須条件となりました。
実務者研修は実務経験が3年以上なくても受講できますので、実務経験を積みながら、研修を進めることができます。
実務者研修は既に持っている資格や受講した研修により免除される科目があり、受講時間を短縮することができます。
実務者研修の科目
科目 | 免除有無 |
人間の尊厳と自立 | 免除なし |
社会の理解Ⅰ | 免除なし |
社会の理解Ⅱ | 免除あり |
介護の基本Ⅰ | 免除あり |
介護の基本Ⅱ | 免除あり |
コミュニケーション技術 | 免除あり |
生活支援技術Ⅰ | 免除なし |
生活支援技術Ⅱ | 免除あり |
介護過程Ⅰ | 免除あり |
介護過程Ⅱ | 免除あり |
介護過程Ⅲ(スクーリング) | 免除あり |
発達と老化の理解Ⅰ | 免除あり |
発達と老化の理解Ⅱ | 免除あり |
認知症の理解Ⅰ | 免除あり |
認知症の理解Ⅱ | 免除あり |
障害の理解Ⅰ | 免除あり |
障害の理解Ⅱ | 免除あり |
こころとからだのしくみⅠ | 免除あり |
こころとからだのしくみⅡ | 免除あり |
医療的ケア | 免除あり |
介護福祉士養成施設の課程修了
介護福祉士の養成施設で、所定の課程を修了すると受験資格を得ることができます。
※2026年度までに卒業する人は卒業後5年間の期限つきで国家試験を受験しなくても、または合格しなくても介護福祉士になることができます。
卒業後、5年間継続して介護等の業務に従事することで、5年経過後も介護福祉士としての登録を継続することができます。
2027年度以降に卒業する人からは、国家試験に合格しなければ介護福祉士になることができません。
養成施設ルート
- 介護福祉士養成施設2年以上
- 福祉系大学等+介護福祉士養成施設1年以上
- 社会福祉士養成施設等+介護福祉士養成施設1年以上
- 保育士養成施設等+介護福祉士養成施設1年以上
福祉系高等学校専攻科の卒業
福祉系高等学校などに入学して、福祉に関する科目を修め、卒業(見込み者を含む)すると、介護福祉士試験の受験資格を得ることができます。
学校教育法による高等学校または中等教育学校において、社会福祉士介護福祉士学校指定の教科目・単位数を修めて卒業した人は、実技試験が免除されていますので、介護技術講習の受講は不要です。
特例高等学校等
福祉系高等学校に比べて、福祉に関する科目の履修単位が少ない特例高等学校等などに入学した場合は、国家試験を受験する前に卒業後9ヵ月以上の実務経験が必要になります。
実技試験は、介護技術講習を修了しておけば、免除になります。
実技試験の免除
介護福祉士の実技試験
介護福祉士の国家試験には、筆記試験と実技試験がありますが、受験ルートにより実技試験が免除されます。
実務者研修の修了
3年以上の実務経験者は、実務者研修の修了と合わせて受験資格となり、この場合、実技試験免除となります。
介護技術講習の終了
介護技術講習の修了者で、「特例高校(専攻科を含む)を卒業し、9ヵ月以上介護等の業務の従事者」、「福祉系高校(専攻科を含む)の卒業者(平成20年以前の入学者)」、「経済連携協定(EPA)として来日した人」は実技試験が免除されます。
介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修の修了
実務経験3年以上で、「介護職員基礎研修(2012年度に廃止)」と「喀痰吸引等研修」の両方を修了している場合、実務者研修の修了と同様に受験資格となります。
まとめ
介護福祉士の国家試験は、複数のルートで幅広くどんな人でも挑戦できますが、実務者研修の免除科目や実技試験免除など、さまざまな条件の違いがあります。
すでに介護業界で働いている人も、未経験の人も条件をしっかり確認して、自分に最適なルートで受験資格を得ることが大切になります。
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・公益財団法人社会福祉振興・試験センター