IT業界では、基本的に資格より経験やスキルが重視されます。
それでも20代の就職やキャリアチェンジ、同業他社への転職には実務経験とセットで資格も力を発揮します。
他の応募者をリードして、転職・就職を有利に進めるIT系資格を知っておきましょう。
IT・コンピュータ系の資格
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験は、情報処理に関する代表的な試験です。
情報処理技術者としての知識・技能が一定の水準以上であることを経済産業省が認定しているIT業界では数少ない国家試験です。
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験の区分
試験区分 | 知識・技能 | レベル |
ITパスポート試験 | 共通的知識 | 1 |
情報セキュリティマネジメント試験 | 基本的知識・技能 | 2 |
基本情報技術者試験 | 基本的知識・技能 | 2 |
応用情報技術者試験 | 応用的知識・技能 | 3 |
ITストラテジ試験 | 高度な知識・技能 | 4 |
システムアーキテクト試験 | 高度な知識・技能 | 4 |
プロジェクトマネージャ試験 | 高度な知識・技能 | 4 |
ネットワークスペシャリスト試験 | 高度な知識・技能 | 4 |
データベーススペシャリスト試験 | 高度な知識・技能 | 4 |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | 高度な知識・技能 | 4 |
ITサービスマネージャ試験 | 高度な知識・技能 | 4 |
システム監査技術者試験 | 高度な知識・技能 | 4 |
情報処理安全確保支援士試験 | 高度な知識・技能 | 4 |
ITパスポート試験
ITパスポート試験は、すべての社会人に求められる情報技術に関して、共通的な基礎知識を証明できる試験です。
情報技術に携わる業務に就くか、担当業務に対して情報技術を活用していこうとする人が最低限身につけておきたいレベルです。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティを確保して、脅威から組織を守るための基本的なスキルを認定する試験です。
業種、職種を問わず、また、営業・企画・製造・総務・人事・経理などの部門を問わず、幅広くアピールできます。
基本情報技術者試験
ITエンジニアとしての登竜門で、プログラミングに関する基本的な開発能力を証明できる試験です。
高度なIT人材となるために求められる基本的な知識・技能レベルです。
キャリアチェンジでIT業界への転職を目指すような場合にアピールできます。
応用情報技術者試験
ITエンジニアとして開発するプロジェクトの中心メンバーになるような人材が想定される試験です。
高度なIT人材となるために求められる応用的な知識・技能レベルです。
入社5年目くらいまでの人が取得すると転職でスキルアップをアピールできます。
ITストラテジスト試験
高度IT人材として専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいてITを高度に活用した事業革新、業務改革、最適化の戦略策定・提案・推進ができる知識を証明できます。
コンサルティング会社やシンクタンクへの転職で活用できます。
システムアーキテクト試験
システム開発の上流工程を主導する立場で、豊富な業務知識に基づいて的確な分析を行い、業務ニーズに適した情報システムのグランドデザインを設計し完成に導く、上級エンジニアを目指す人に最適です。
IT企業でSEや上流設計者として転職したい人に有利な資格です。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクト全体の意思決定を実行し、品質・コスト・納期に全責任をもち、前提・制約条件の中でプロジェクトを確実に成功に導き、プロジェクトメンバーを成長させるマネージャを目指す人に最適な試験です。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークの固有技術からサービス動向まで幅広く精通し、目的に適合した大規模なネットワークシステムを構築し運用できるネットワークエンジニアやインフラ系エンジニアを目指す人に最適な試験です。
SI企業だけでなく、ケーブルテレビ会社、インターネット・サービス・プロバイダー、携帯電話会社などでも高く評価されます。
データベーススペシャリスト試験
企業活動を支える膨大なデータ群を管理し、パフォーマンスの高いデータベースシステムを構築して、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供するデータベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す人に最適な試験です。
SI企業だけでなく、一般企業のIT部門などへの転職でもアピールできます。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
組込みエンジニアやIoTエンジニアを目指す人に最適な試験です。
自動車、家電、モバイル機器などに搭載する組込みシステムを、ハードウェアとソフトウェアを適切に組み合わせて構築し、要求される機能、性能、品質、セキュリティなどを実現できる知識と実践能力が求められます。
ITサービスマネージャ試験
顧客ニーズを踏まえ、日々の継続的改善を通じて高品質なITサービスを最適なコストで安定的に提供し、IT投資効果を最大化できるITサービスマネージャを目指す人に最適な試験です。
システム運用企業などへの転職でアピールできます。
システム監査技術者試験
情報システムを監視し、リスクとコントロールを評価することによって、組織の情報システムの適切な活用を促進し、ITガバナンス向上やコンプライアンス確保に貢献できる情報システム責任者などを目指す人に最適な試験です。
ITコンサルティング会社への転職や監査法人のシステム監査部門なども可能性があります。
情報処理安全確保支援士試験
情報システムや組織に対する脅威や脆弱性を評価し、技術面・管理面での有効な対策を遂行できるセキュリティエンジニアや情報システム管理者を目指す人に最適な試験です。
情報セキュリティの重要性はますます高まっていて、最も旬なエンジニアです。
ITベンダーや企業のセキュリティ部門などへの転職で活用できます。
各種ベンダー資格
開発元企業(ベンダー)が自社製品に関する知識や技術を認定するための民間資格です。
コンピューター業界では、国家資格より実用的と評価されています。
ネットワーク系
LANなどを利用したシステム設計、構築、運用、保守のネットワークエンジニアのスキルはコンピューター技術者必須となっています。
【例】シスコ技術者認定:CCNA、CCNP、CCIE
データベース系
情報をコンピューター上でやりとりするためには、インフラとして情報がデーターベース化されていることが前提となります。
データベースに関するスキルはコンピューター技術者の基礎です。
【例】オラクルマスター
OS・プラットフォーム系
OSに関する知識はネットワークエンジニアはもちろん、エンドユーザーのサポート担当、システムの保守管理者、セールスエンジニアなど幅広く必要なスキルです。
【例】Linux技術者認定試験(LinuC)、マイクロソフト認定資格
言語・プログラミング系
ソフトの研究開発、Web構築において、もっとも基本的な知識として必要となる言語の知識です。
【例】PHP技術者認定試験、オラクル認定Javaプログラマ
クラウド系
クラウドに関する専門知識やベンダーが開発したツールや機能を扱うスキルです。
【例】AWS認定ソリューションアーキテクト、Google Cloud認定資格
IT人材の入門資格・基本情報技術者試験
基本情報技術者試験
情報処理技術者試験のなかで、ITエンジニアを目指す人の基礎資格といえます。
プログラミングの設計・開発からテストまでのプロセスを担当する人のための試験です。
理系の資格ではありますが、文系の受験者も多く、IT業界で最大級の人気資格です。
受験資格
制限なし
試験日
随時(CBT方式)
試験地
全国のCBT試験会場
試験内容
①科目A:四肢択一の多肢選択式(90分)
- テクノロジ系:基礎理論、コンピュータシステム、技術要素、開発技術
- マネジメント系:プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント
- ストテラジ系:システム戦略、経営戦略、企業と法務
②科目B:多肢選択式(100分)
- プログラミング全般に関すること
- プログラミング処理の実装に関すること
- データ構造およびアルゴリズムに関すること
- 情報セキュリティの確保に関すること
合格率
30%程度
取得の難易度
コンピューターの基礎知識があれば、基本情報技術者試験は独学で合格を目指すことができます。
初学者が仕事をしながら勉強をする場合、参考書や通信講座を利用するなどして、準備期間は半年間くらい必要となるでしょう。
過去問題集で試験に慣れることがマストです。
まとめ
IT業界にはエンジニアだけでなく、営業職やコンサルタントなど幅広い職種の仕事があります。
この業界でキャリアを積むのであれば、IT系資格を取得して、一定の知識やスキルをアピールすることが有利になります。
また、ミスマッチを防ぐためにもIT系資格を取得することは、適性を示す有効な方法といえます。
【参考】
・独立行政法人情報処理推進機構サイト
・各種ベンダー資格試験サイト