将来的に独立・開業を目指したいと考える人にとって、資格を取得することはひとつの有力な選択肢です。
試験に合格して資格を取得すれば、独立・開業すること自体はできますが、独立・開業で成功することは資格取得だけで約束されるわけではありません。
時代のニーズはもちろんのこと、営業力や人脈が大きく影響します。
資格取得後に、独立・開業で成功につながりやすい資格をご紹介します。
独立開業に強い資格
税理士
税理士は独立・開業の国家資格として高い人気があります。
試験は簡単ではありませんが、資格を取得すれば自分の事務所を開業することも可能です。
学識による受験資格
- 大学または短大を卒業した人で、法律学または経済学を1科目以上履修した人
- 大学3年次以上で、法律学または経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した人
- 一定の専修学校の専門課程を修了した人で、法律学または経済学を1科目以上履修した人
- 司法試験合格者
- 公認会計士試験の短答式試験に合格した人
資格による受験資格
- 日商簿記検定1級合格者
- 全経簿記検定上級合格者
職歴による受験資格
- 法人または事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した人
- 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した人
- 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した人
試験日
年1回(8月)
試験地
全国の各国税局、国税事務所の所在地
試験内容
- 会計学
①簿記論
②財務諸表論 - 税法
①所得税法
②法人税法
③相続税法
④消費税法
⑤酒税法
⑥国税徴収法
⑦住民税
⑧事業税
⑨固定資産税
※試験は会計学の2科目と税法のうち選択する3科目について行われます。
科目合格制になっていて、一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。
合格基準
合格基準点は各科目とも満点の60パ-セントです。
合格率
15%程度
問い合わせ
国税局
取得方法
税理士の資格を取得するには、独学や資格・通信講座を利用するなどの勉強方法があります。
試験合格までの期間は2~5年間が標準的といえますが、3~7年程度かけて合格する人も多いようです。

税理士のテキスト&問題集
行政書士
行政書士は官公署に提出する許認可等の申請書類の作成や提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成などを行う国家資格です。
独立・開業を主な目的とする人気資格です。
司法書士、社労士などとのダブルライセンス効果が大きく、仕事の幅を広げることができます。
受験資格
制限なし
試験日
年1回(11月)
試験地
全国都道府県の試験会場
試験内容
- 法令等:基礎法学、憲法、民法、行政法、商法
- 一般知識等:政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護法、文章理解
合格基準
- 法令等の得点:満点の50%以上
- 一般知識等の得点:満点の40%以上
- 試験全体の得点:満点の60%以上
合格率
10%程度
問い合わせ
一般財団法人 行政書士試験研究センター
取得方法
行政書士の資格を取得するには、独学や資格・通信講座で勉強する方法があります。
6ヵ月から1年程度の準備期間が標準的です。

行政書士のおすすめテキスト
司法書士
司法書士は商業登記や不動産登記を行うための国家資格です。
身近な法律のプロフェッショナルとして独立・開業にも有利な資格です。
多くは勤務司法書士として経験を積んで、独立・開業を目指します。
行政書士や土地家屋調査士などとのダブルライセンスで強みが増します。
受験資格
制限なし
試験日
- 筆記試験:7月
- 口述試験:10月
試験地
- 筆記試験:札幌、仙台、東京、横浜、さいたま、千葉、静岡、大阪、京都、神戸、名古屋、広島、高松、福岡、那覇
- 口述試験:札幌、仙台、東京、大阪、名古屋、広島、高松、福岡
筆記試験
- 憲法、民法、商法(会社法その他の商法分野に関する法令を含む)及び刑法に関する知識
- 不動産登記及び商業(法人)登記に関する知識(登記申請書の作成に関するものを含む)
- 供託並びに民事訴訟、民事執行及び民事保全に関する知識
- その他司法書士法第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力
口述試験
筆記試験合格者のみ
- 不動産登記に関する知識
- 商業(法人)登記に関する知識
- 司法書士法第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力
合格率
3~4%程度
問い合わせ
各法務局等
取得方法
司法書士の資格を取得するには、独学、資格・通信講座を利用して勉強する方法があります。
範囲が広いので、効率的に学習を進めるには、試験に対応した講座の利用をおすすめします。
取得までの期間は、法律の基礎知識の有無などで大きく異なります。
最短でも1年半程度の準備期間は必要になります。
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ネイリスト技能検定試験
ネイリスト技能検定はプロのネイリストとして働くために有利な資格です。
1級から3級までの設定があり、1級合格者はトップレベルのネイリストとして認められ、独立・開業の道も開けます。
受験資格
- 1級:2級資格取得者
- 2級:3級資格取得者
- 3級:義務教育修了者
試験日
- 1級:【春期】4月【秋期】10月
- 2・3級:【冬期】1月【春期】4月【夏期】7月【秋期】10月
試験地
札幌、盛岡、仙台、東京、名古屋、新潟、金沢、大阪、広島、高松、福岡、沖縄
試験内容
実技試験と筆記試験が行われます。
- 1級
トップレベルのネイリストとして必要とされる総合的な技術及び知識 - 2級
サロンワークで通用するネイルケア、リペア、チップ&ラップ、アートに関する技術及び知識 - 3級
ネイリストベーシックのマスター。ネイルアートに関する基本的な技術及び知識
合格率
- 1級:40%程度
- 2級:40~55%
- 3級:85%程度
問い合わせ
公益財団法人 日本ネイリスト検定試験センター
取得方法
ネイリストの資格を取得するには、独学も可能ですが、スクールや講座を上手に活用した方がよいでしょう。
スクールの学習内容には実技と学科がありますので、試験対策だけでなく、実務でも活かせます。

ネイリスト技能検定のテキスト
鍼灸あん摩マッサージ指圧師
「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」はそれぞれ別の資格ですが、同時取得する人がほとんどです。
知名度が高い医術の国家資格で、資格取得者の多くは独立・開業を目指しています。
受験資格
高校卒業後、国が認定する養成学校で3年以上の学習など
試験日
年1回(2月)
試験地
北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県
※視覚障がい者は各都道府県
試験内容
医療概論、東洋医学概論など12科目と、はり理論、きゅう理論、あん摩マッサージ指圧理論
合格率
80%程度
問い合わせ
公益財団法人 東洋療法研修試験財団
取得方法
資格を取得するには、実務経験は必要ありませんが、養成施設を修了する必要があります。
近代医学からの転向や社会人経験者も多く在籍しています。

独立開業の資格を取るには
資格取得の勉強法
資格を取得するには、独学や資格・通信講座などで勉強する方法があります。
目指す資格やかけられる時間・費用など自分の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
プロとして独立・開業できる資格は簡単ではありません。
独学に不安がある人や効率的に学びたい人は、試験に対応した通信講座などを上手に活用することをおすすめします。
ダブルライセンス
独立・開業に強い資格は、それだけでも有効ですが、他の資格をダブル取得することで業務の幅を広げることができます。
まとめ
独立・開業はスタートしてからも営業や経営の課題、努力をし続ける必要があります。
20代から明確な目的と目標をもって、目指すのであれば、資格を取得しての独立開業は、チャレンジする価値がある比較的確実な方法だといえるでしょう。

【参考】
・経済産業省ウェブサイト
・厚生労働省ウェブサイト
・試験実施団体ウェブサイト