ビルメンテナンスの仕事は、ビルなどの建築物を維持管理することです。
ビルメンテナンス業界には、衛生、設備、警備など幅広い業務があり、関連する資格もたくさんあります。
ビルメンテナンス業界で有利なおすすめ資格をご紹介します。
ビルメンテナンスに役立つ資格
ビルメンテナンスとは
ビルメンテナンスとは、ビルなどの建築物・設備を維持管理することです。
ビルメンテナンス業界は環境衛生・清掃、設備、警備、エネルギーなど管理業務の内容は幅広く、関連する法規も多岐にわたります。
そのためビルメンテナンスに必要とされる知識や関連する資格にはさまざまなものがあります。
都市部を中心として大規模な建築物が増加し、建築技術は進化しています。
ビルメンテナンスには高い専門性が求められるようになっています。
ビルメンテナンス業務
- 環境衛生管理業務
・清掃管理
・衛生管理 - 設備管理業務
・運転保守 - 建物・設備保全業務
・点検整備 - 警備・防災業務
- その他の管理業務
・管理サービス
・ビルマネジメント - 建築物のエネルギー管理
・建築物のエネルギー管理
ビルメンテナンスに関する資格
- 環境衛生
・建築物環境衛生管理技術者
・ビルクリーニング技能士 - 設備管理
・ビル設備管理技能士 - 電気通信設備
・電気主任技術者
・電気工事士 - 空気調和設備
・ボイラー技士
・冷凍機械責任者 - 消防用設備
・消防設備士
・消防設備点検資格者 - 昇降機設備
・昇降機等検査資格者 - 警備・防災・駐車場
・警備員指導教育責任者
・機械警備業務管理者
・警備員検定
・危険物取扱者 - ビルマネジメント
・ファシリティマネジャー
・ビル経営管理士 - エネルギー
・エネルギー管理士 など
ビルメンテナンス会社
- ゼネコン系列
- メーカー系列
- 不動産会社系列
- 鉄道会社系列
- 独立系 など
危険物取扱者
危険物取扱者は、消防法にもとづく危険物を取り扱う際に必要となる国家資格です。
危険物取扱者には、甲種・乙種・丙種の3種類があり、それぞれ扱うことのできる危険物が異なります。
「乙種第4類」は社会的ニーズが高く、受験制限がないので人気です。
受験資格
- 甲種:大学などにおいて、化学に関する学科などを修めた卒業者など
- 乙種・丙種:制限なし
試験日
各都道府県および試験区分により異なります。
- 前期:4月~9月
- 後期:10月~翌年3月
試験地
各都道府県の指定された会場
試験内容
- 甲種
危険物に関する法令、物理学及び化学、危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 - 乙種
危険物に関する法令、基礎的な物理学及び基礎的な化学、危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 - 丙種
危険物に関する法令、燃焼及び消火に関する基礎知識、危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法
合格率
- 甲種:30%程度
- 乙種:40%程度
- 丙種:50%程度
問い合わせ
一般財団法人 消防試験研究センター
転職・就職情報
化学工場やガソリンスタントなど一定数量以上を貯蔵し、取り扱う施設では必ず危険物取扱者を置く必要がありますので、転職・就職で有利になります。
乙種第4類のおすすめテキスト&過去問
ボイラー技士
ボイラー技士は工場、ビル、船舶、病院、学校などで資格の必要なボイラーを取扱い、点検や安全管理を行う国家資格です。
特級、1級、2級の区分があります。
受験資格
- 特級:1級ボイラー技士免許を受けた者など
- 1級:2級ボイラー技士免許を受けた者など
- 2級:制限なし
試験日
毎月1~2回程度
試験地
全国の安全衛生技術センター
試験内容
- ボイラーの構造に関する知識
- ボイラーの取扱いに関する知識
- 燃料及び燃焼に関する知識
- 関係法令
合格率
- 特級:15~20%
- 1級:55~60%
- 2級:50%程度
問い合わせ
都道府県労働局長登録教習機関
転職・就職情報
資格を必要としないボイラーも普及していますが、資格取得者を求める傾向は強く、転職や就職で有利になります。
ボイラー技士のおすすめテキスト&問題集
第二種電気工事士
電気工事士は、一定範囲の電気工事の作業をするために必要となる国家資格です。
電気工事士には、第一種電気工事士と第二種電気工事士があり、扱う設備の範囲によって分かれています。
第二種電気工事士は600ボルト以下の設備を扱うことができます。
受験資格
制限なし
試験日
- 上期:【学科:CBT】4~5月【学科:筆記】5月【技能】7月
- 下期:【学科:CBT】9~10月【学科:筆記】10月【技能】12月
試験地
47都道府県で実施
試験内容
【学科試験】筆記方式(マークシート)またはCBT方式の四肢選択式
- 電気に関する基礎理論
- 配電理論および配線設計
- 電気機器・配線器具ならびに電気工事用の材料および工具
- 電気工事の施工方法
- 一般用電気工作物の検査方法
- 配線図
- 一般用電気工作物の保安に関する法令
【技能試験】作業用工具により配線図で与えられた問題を一定時間内に完成させる
合格率
40%程度
問い合わせ
一般財団法人 電気技術者試験センター
転職・就職情報
電気設備の工事をするために必要となる資格ですので、電気工事会社やビル管理会社など電気関係の転職や就職、キャリアアップに有利です。
資格手当も期待できます。
第二種電気工事士のおすすめテキスト
第三種冷凍機械(高圧ガス製造保安責任者)
高圧ガス製造保安責任者は、高圧ガスの製造過程において危険を回避し、安全を確保するための国家資格です。
免状には9種類あり、第三種冷凍機械は主に小型冷凍空調機器を備えている施設等において総括的な業務を行うことができます。
受験資格
制限なし
試験日
年1回(11月)
試験地
47都道府県
試験内容
初歩的な保安管理の技術について択一式で行われます。
- 法令
- 保管管理技術
合格率
25%程度
問い合わせ
高圧ガス保安協会 試験センター
転職・就職情報
冷凍空調設備のある施設、倉庫、工場などの管理業務で活かすことができます。
たくさんあるビル資格のなかでも重要な資格のひとつで、転職や就職、キャリアアップに有利です。
第三種冷凍機械の過去問題集
消防設備士
消防設備士は、劇場、デパート、ホテルなどの建物の用途や規模に応じて消防設備等の工事・設備・点検を行うための国家資格です。
建築物の着工件数の増加に伴い、需要が増えています。
受験資格
- 甲種
大学等指定学科・課程の卒業者、実務経験者、資格者(技術士、電気工事士など) - 甲種特類
甲種1~3類のうち1つと、甲種4類と甲種5類の3つの免状の交付を受けている者 - 乙種
制限なし
試験日
各都道府県により異なります。
試験地
各都道府県
試験内容
【筆記試験】甲種・乙種(四肢択一式)
- 1類:屋内・屋外消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備
- 2類:泡消火設備
- 3類:不活性ガス・ハロゲン化物・粉末消火設備
- 4類:自動火災報知設備
- 5類:金属製避難はしご、救助袋、緩降機
- 6類:消火器
- 7類:漏電火災警報器
【実技試験】甲種・乙種
- 写真・イラスト・図面などによる記述式
- 製図(甲種のみ)
合格率
- 甲種:30%程度
- 乙種:40%程度
問い合わせ
一般財団法人 消防試験研究センター
転職・就職情報
消防設備士を必要とする施設は法律で義務づけられているため、建築や工事、整備等が増えれば、消防設備士の資格者の需要も増加します。
消防設備士のおすすめテキスト&問題集
建築物環境衛生管理技術者
建築物環境衛生管理技術者はビルなどの建築物を維持管理するための国家資格です。
「ビル管理士」や「ビル管理技術者」などと呼ばれています。
試験を受験するには、特定建築物において環境衛生上の維持管理に関する実務経験が必要となります。
受験資格
次の用途に供されている建築物の当該用途部分において、環境衛生上の維持管理に関する実務に2年以上従事した人
【建築物の用途】
- 興行場(映画館、劇場等)、百貨店、集会場(公民館、結婚式場、市民ホール等)、図書館、博物館、美術館、遊技場(ボーリング場等)
- 店舗、事務所
- 学校(研修所を含む)
- 旅館、ホテル
- その他類似する用途
【環境衛生上の維持管理に関する実務】
- 空気調和設備管理
- 給水、給湯設備管理
- 排水設備管理
- ボイラ設備管理
- 電気設備管理(電気事業の変電、配電等のみの業務を除く)
- 清掃および廃棄物処理
- ねずみ、昆虫等の防除
試験日
年1回(10月)
試験地
札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、福岡市
試験内容
学科試験(マークシート方式)
- 建築物衛生行政概論
- 建築物の構造概論
- 建築物の環境衛生
- 空気環境の調整
- 給水および排水の管理
- 清掃
- ねずみ、昆虫等の防除
合格率
20%程度
問い合わせ
公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター
転職・就職情報
ビル管理会社などでのニーズが高く、業界でのキャリアアップに有利です。
ビルを所有する企業の管理部門や総務部門で活かすこともできます。
ビル管理士試験の過去問題集
まとめ
「危険物取扱者乙種4類」、「2級ボイラー技士」、「第二種電気工事士」、「第三種冷凍機械」は、ビル資格4点セットといわれています。
ビルメンテナンス業界のキャリアに有利な資格とされていますので、まずはこれらの資格を取得し、さらに他の資格でステップアップしていくことをおすすめします。
ビルメンテナンスは資格と経験があれば、学歴や年齢にかかわらずキャリアアップしやすい業界といえます。
建築物は年々増加し、慢性的な人材不足ですので、資格を取得することで転職や就職のチャンスを広げることができるでしょう。
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・全国ビルメンテナンス協会ウェブサイト
・試験実施機関ウェブサイト