キーワード解説
既卒者
既卒者とは、「既に卒業した人」のことで、学校を卒業するときには就職せず、卒業後に就職を希望している社会人経験・実務経験のない人などを指して使われています。
学校を既に卒業した人は、すべて既卒者だともいえますが、一般的に社会人経験が3年程度まである求職者は「第二新卒」、アルバイトなどをして生活している人は「フリーター」と表現されています。
職歴がないという点では、既卒も新卒と同じですが、希望する就職が決まらなかった学生が、卒業せずに留年して、翌年新卒として就職活動を行うケースも多くあります。
就職を希望する学生を保護する目的で、3年以内の既卒者は新卒枠で応募受付するよう厚生労働省からの指針が出ています。
既卒の場合は、通常、新卒とほぼ同じ条件で選考されます。
また職歴の有無に関係なく30歳未満までを新卒枠として、同じ条件で採用するという企業もあります。
採用市場では、学生の新卒だけでなく、既卒、第二新卒の採用に意欲的な企業が増えています。
経営環境や就業意識の変化を反映して、新卒の定期採用方式にこだわらない通年採用方式の導入など採用方法の多様化が進んでいます。
定期採用方式が中心であった大企業においても、従来の方法を見直す動きが出てきています。
通年採用方式
通年採用方式とは、新卒の定期採用にこだわらず、年間を通じて、人材を採用することです。
通年採用方式は、年間を通じて、募集・採用を行いますので、新卒一括採用では難しかった外国の大学卒業者や留学生、既卒、第二新卒などの就職にも有利です。
通年採用方式が一般化するようになると、海外に留学したり、アルバイトなどを経験して自分の適性を見出すなど、卒業してすぐに就職するのではなく、多様な経験をしてから就職することが可能になります。
多様な経験をした人材を採用することは、企業にとっても、新しい価値や考え方を生み出す効果があると期待されています。
新卒一括採用の見直し
これまで就職・採用活動の日程等に関するルールが毎年定められ、新卒一括採用が広く定着してきました。
新卒一括採用は、学生が学業に専念しやすい、学生や大学が計画的に就職活動に対応できる、といったプラス面がある一方で、グローバル化やIT化が進展するなかにおいて、そのルールが必ずしも遵守されていないという指摘もありました。
今後について、経団連は企業の活動時期などを定めていた「採用選考に関する指針」を策定しない方針を示すなど、新卒一括採用の見直しについて議論が高まっています。
若者雇用促進法
若者雇用促進法に定められた「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」では、募集や採用にあたって事業主が行うべき措置が示されています。
- 労働条件の明示などに関する事項を遵守すること
- 固定残業代に関する金額や計算方法を明示すること
- 採用内定取り消しを防止するため最大限の経営努力をすること
- 既卒者についても、新規学校卒業予定者の採用枠に応募できるような募集条件を設定し、既卒者が卒業後少なくとも3年間は応募できるものとするなどの措置を講じるよう努めること
ユースエール認定制度
ユースエール認定制度では、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を「ユールエール認定企業」として厚生労働大臣が認定しています。
育成型派遣
卒業3年程度までの既卒者を研修や職業訓練などでスキルアップして、派遣する若年層向けの人材派遣サービスが増加しています。
既卒者を自社で採用して、スキルアップ後に派遣する派遣会社もあります。
若者の就職支援
厚生労働省では、若者を対象とした支援窓口として主に3つの施設を用意しています。
- 新卒応援ハローワーク
- わかものハローワーク
- 地域若者サポートステーション(サポステ)
都道府県が運営する若者の就職支援施設としては「ジョブカフェ」があります。
ジョブカフェの施設にはハローワークが併設されるなど、国と自治体が連携して若者の就職支援を行っています。
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス