作業療法士はリハビリテーションの国家資格です。
理学療法士は基本的動作能力の回復を図るための治療を行いますが、作業療法士はそれらの動作を日常生活に応用できるようにサポートします。
作業療法士とは
作業療法士(OT)は、身体または精神に障害のある人に対し、日常生活の作業を組わせて行うことで社会復帰の支援を行います。
作業療法は、基本的な動作能力から応用的な動作能力、社会的な適応能力までを維持・改善し、「その人らしい」生活をすることを目標としています。
作業療法士の資格
作業療法士の資格を取得するには、指定された作業療法士養成施設で学び、作業療法士の国家試験に合格する必要があります。
キャリアでの活かし方
- 医療分野
・病院、クリニック
・訪問看護ステーション - 介護・福祉分野
・介護施設
・児童発達支援センター - 労働分野
・ハローワーク
・就業・生活支援センター - 保健分野
・保健所
・地域包括支援センター - 教育分野
・特別支援学校
・教育委員会 - 司法分野
・刑務所
・保護観察所
作業療法士になるルート
作業療法士になるためには、作業療法士養成施設に入学する必要があります。養成施設には4年制大学、専門学校(4年制・3年制)、短大(3年制)などがあります。
作業療法士養成施設の半数以上で社会人入試が実施されています。実際に3割近くを大学卒業者や社会人経験者が占める養成校クラスもあり、作業療法士はいろいろな経験を仕事で活かすことができる資格だといえます。
理学療法士の資格を持っている人は、養成施設で2年以上学べば作業療法士国家試験の受験資格を得ることができます。
働きながら通学したい人には、夜間部のある養成施設もあります。
3年制と4年制の学校がありますが、臨床実習は昼間に行われますので、仕事との調整は必要になります。
作業療法士養成施設に入学する
作業療法士養成施設で作業療法士として求められる知識や技術を修得します。
養成施設は自分の希望や方向性に合った大学、専門学校などから選ぶことになります。
作業療法士国家試験に合格する
作業療法士養成施設を卒業すると、作業療法士国家試験の受験資格を得ることができます。
作業療法士として働くためには、国家試験に合格しなければなりません。
作業療法士の資格を取得する
国家試験に合格すると厚生労働大臣から作業療法士の免許が与えられます。
作業療法士は、病院や介護施設、福祉施設、教育現場など幅広い分野で活躍しています。
作業療法士養成施設の種類
作業療法士養成施設の半数以上で、社会人を対象とした入学試験が実施されています。
社会人入試では、一般入試と比べて面接や小論文が重視される傾向にあります。
また学習意欲や人間性を考慮して選考を行う総合型選抜(AO入試)も増えています。
医療福祉などの分野に勤務経験があり、勤務先の推薦を受けられる人が対象の社会人推薦制度がある学校もあります。
4年制大学
作業療法に関する専門科目だけでなく、教養科目なども学び、卒業すると学士号が取得できます。
技術と知識を総合的に学べるので、応用力が身につきます。
大学院に進み、研究者を目指すこともできます。
専門学校
養成施設でもっとも多いのが専門学校です。
3年制と4年制があり、現場に出るための実践的な技術を習得する専門教育が中心です。
卒業後に大学院に進学することも可能です。
短期大学
大学と専門学校の間くらいの内容で、3年制です。
専門科目を集中的に学びます。
学校の数は少なく、全国でも数校です。
作業療法士養成施設の選び方
志望校の入試要項を入手して、募集定員、出願資格、出願期間、出願書類、入学試験科目、入学試験日程、推薦試験制度の有無、学費、奨学金などの情報を確認します。
選考方法は変更される場合がありますので、必ず最新の要項を確認しましょう。
学費は養成施設によって大きな差があります。
授業料、入学金の他に、施設費、実習費や実習場所に行く交通費、宿泊費などもかかります。
一般入試の試験科目の例
- 国語 + 英語 + 数学・生物・化学・物理から選択
- 面接 + 国語・数学・英語から選択
- 大学入学共通テスト など
社会人の面接でよくある質問
- これまでの仕事のこと
- なぜ方向転換しようと思ったのか
- なぜ作業療法士になりたいのか など
予備校の活用
医療系の受験コースが設けられている予備校があります。
予備校には通信教育もあり、受験対策として模擬試験を受けてみるものよいでしょう。
作業療法士養成施設の情報収集
自分に合った養成施設を見つけるには、情報収集が必要です。
大学、短期大学、専門学校など幅広い学校が掲載されている情報サイトでは、資格や所在地など、希望する条件で学校を検索し て、資料請求、願書請求、オープンキャンパス予約が簡単にできます。
学校の特徴や学部・学科 の詳細、オープンキャンパス情報、出願・入試情報、学費・奨学金情報など学校選びに役立つ情報をまとめて収集できて便利です。
作業療法士養成施設のカリキュラム
作業療法士養成施設では、リハビリテーション医学に必要な知識を技術を身につけます。
実際の学習内容や科目の設定は、学校ごとに特色があります。
養成施設を決める際には、作業療法士として、どのような職場で、どのような仕事がしたいかを考えて、希望に合った学習内容や実習先を設定している学校を選ぶとよいでしょう。
基礎分野
- 科学的思考の基盤
- 人間と生活
専門基礎分野
- 人体の構造と機能及び心身の発達
- 疾病と障がいの成り立ち及び回復過程の促進
- 保健医療福祉とリハビリテーションの理念
専門分野
- 基礎作業療法学
- 作業療法評価学
- 作業治療学
- 地域作業療法学
- 臨床実習
作業療法士試験の概要
作業療法士国家試験は年1回、2月に実施されます。
受験申込期間や試験日はその年によって違います。
詳細は試験前年に官報で公示されます。
受験資格
- 高校卒業以上で、指定の作業療法士養成施設において、3年以上、作業療法士として必要な知識・技能を修得した人
- 外国の作業療法に関する学校もしくは養成施設の卒業者、または外国で作業療法士免許に相当する免許を取得した人で、厚生労働大臣が1と同等以上の知識・技能があると認定した人など
試験日
年1回(2月)
試験地
- 筆記試験:北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県
- 口述試験及び実技試験:東京都
試験内容
【筆記試験】
一般問題と実地問題に区分して行われます。
- 一般問題:解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む。)、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法
- 実地問題:運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法
※実地問題は実技試験ではなく、現場を想定した「実地」に基づく知識を問う筆記試験です。
【口述試験及び実技試験】
重度視力障害者に対して、実地問題に代えて口述試験と実技試験が行われます。
合格率
75%程度
問い合せ
作業療法士国家試験運営本部事務所
作業療法士の採用市場
作業療法士など医療従事者の有効求人倍率は他の職種と比較して高い水準を継続しています。
作業療法士は医療業界だけでなく、介護業界におけるニーズも増加しています。
作業療法士の活躍の場は、今後も新しい分野へ広がっていくと考えられます。
作業療法士の転職活動
エージェントサービスを利用すると、業界や職種に精通した専門のアドバイザーのサポートを受けることができます。

まとめ
作業療法士の多くは、医療職として病院で働いていますが、医療と介護の連携が進み、病院以外にも介護施設や福祉施設などで働く作業療法士も増えています。
これからもさまざまな分野で作業療法士のニーズが高まっていくでしょう。
社会人経験者も多く、さまざまな実務経験を活かせる作業療法士には、20代・第二新卒の転職、キャリアチェンジの道が開かれています。



【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・一般社団法人日本作業療法士協会