就活や転職活動を成功させるためには、「業界研究」が欠かせません。業界について深く理解しておくことで、自分に合った企業を選び、面接で説得力のある志望動機を伝えることができます。
求人企業には同じ求人情報を見て書いた応募書類が集まり、志望動機や自己PRは似たような内容であることが珍しくありません。同じようなレベルのライバルたちに差をつけるのは、一歩踏み込んだ業界の情報です。
ですが、「業界研究って何をすればいいの?」とやり方がわからない人も少なくないでしょう。
ここでは、初めて業界研究をしようとする人にとっても実践しやすい業界研究の方法をご紹介します。
業界研究とは
産業は業種ごとに分類することができます。産業全体の業種分けは、多くの場合、「日本標準産業分類」を基準として行われています。
業種は事業の種類という意味であり、産業より細かい分類として使われています。
業界は業種や提供する商品・サービスの内容ごとに分類され、一般的に事業だけでなく、人々や取り巻く状況も含んだ意味で使われています。
業界研究の目的
就活・転職活動の第一歩は、働きたい業界を絞り込むことです。業界研究を通じて、各業界の特徴や働き方を知ることで、自分のスキルや価値観に合った業界を見つけることができます。
業界の現状や課題を把握しておくことで、「なぜこの業界で働きたいのか」を明確に伝えられます。また、業界に関する知識が深いほど、企業からの評価も高まります。
転職の場合は事前に業界の状況を理解しておくことで、入社後のミスマッチを減らすことができます。具体的には、業界特有の文化や働き方、将来性などを調べておくことが重要です。
業種の大分類(例)
- 水産・農林業
- 鉱業
- 建設業
- 製造業
- 電気・ガス業
- 運輸業
- 情報通信業
- 卸売業
- 小売業
- 金融・保険業
- 不動産業
- サービス業
業界研究のステップ
業界研究は、以下のステップで進めるとスムーズです。
自分の興味や希望を明確にする
まずは、自分の興味や価値観を整理しましょう。
- 興味がある分野や仕事は何か?
- どんな働き方をしたいか?
(例: チームでの仕事、個人プレーが多い仕事など) - どのようなスキルを活かしたいか?
業界の全体像を把握する
次に、業界全体の構造や特徴を理解します。これには以下のような情報が含まれます。
- 業界の規模(市場規模や売上など)
- 主なプレーヤー(主要企業)
- 業界の主な商品やサービス
- 業界の成長性や将来性
業界内のトレンドや課題を調べる
業界特有のトレンドや課題を把握することも重要です。例えば、以下のポイントを参考にするとよいでしょう。
- 業界内で注目されている技術や商品
- 法規制や社会的な変化による影響
- DX(デジタルトランスフォーメーション)などの外部要因
志望企業の詳細を調べる
業界全体を把握した後は、具体的な企業に焦点を当てます。その企業が業界内でどのようなポジションにいるのか、競合他社との違いなどを調べましょう。
情報をまとめて活用する
調べた情報を基に、自分の志望動機やキャリアプランを作成します。また、面接対策として、調査結果を具体的なエピソードや回答に活用しましょう。
情報収集のツール
業界の情報は様々な方法で収集することができます。情報収集の際には、信頼性の高い資料を活用することが重要です。
未経験からの転職であれば、必ず業界の基礎知識を身につけておきましょう。
新聞・ニュースサイト
新聞には業界や企業の情報が満載です。業界動向や成長企業がわかり、一般常識も身につきます。業界新聞からはさらに詳しい情報を収集することができます。
業界の最新動向を知るために、ニュースサイトを活用するのも有効です。
雑誌・書籍
ビジネス誌や業界誌、転職情報誌など何種類かの資料を読むことで、最新の話題や注目の商品、事業内容などがわかります。業界地図からは業界ごとに知りたい情報を収集することができます。
企業の公式サイト
志望する業界の企業サイトは要チェック。同業のウェブサイト情報を比較してみることも有効です。企業のビジョンや最新情報、採用ページは必見です。
業界団体のサイトには業界全体の概要や統計データが掲載されています。
セミナー・イベント
業界セミナーなど就活生や転職希望者向けのイベントでは、直接企業の担当者から話を聞くことができます。
店舗や展示会に行ってみる
志望する企業が店舗を持つ業種であれば、実際に支店やお店に行ってみることをおすすめします。
同業他社にも足を運んで比べてみると、求人広告からは読み取れない、違いがよくわかるはずです。
メーカーであればショールームや展示会・見本市などを巡ると企業の特色だけでなく、業界のトレンドをつかめます。
実際に訪れたという事実から行動力や入社の意欲を伝えることもできます。
店舗
店舗がある企業は、実際の店舗を見ることで、社内の活気や商品、サービスの内容がよくわかります。イメージやあこがれだけでなく、体感することで志望が明確になります。
展示会
商品展示会や見本市などでは、同業種の企業が一同に集まり、競合の実態など業界のトレンドがわかります。直接、従業員に質問することもできますので、新たな発見があるかもしれません。
知人に話を聞く
志望する業界や企業で働いていたり、目指している職種に就いている家族や友人、知人などがいれば、詳しい話を聞いてみましょう。
仕事の内容ややりがいなどから、求められる能力や適性、知識が具体的になるだけでなく、業界の習慣や社風、文化などがつかみやすくなります。
既に働いている知人
社内の様子や仕事内容をもっともよく知ることができる方法です。中途採用で社員紹介を積極的に行う企業が増えていますので、情報収集をしながら、転職まで決まる可能性もあります。
商品やサービスを使ってみる
志望する企業の商品やサービスで、実際に使ってみることのできるものがあれば、体験してみることをおすすめします。
志望する企業の商品やサービスの特色がわかり、事業内容への理解が深まります。具体的な感想や提案があれば、入社意欲の説得力がアップします。
取扱商品
取扱商品の種類や価格、売れ行きなどから企業のポジションや強みがわかります。実際に利用してみることで、より深く理解することができます。
顧客
個人消費者が顧客であるBtoCと企業が顧客であるBtoBの企業に分かれます。BtoBの企業には、一般的な知名度は高くなくても、優良企業がたくさんあります。
就業体験をしてみる
知識だけでなく体験を通じて業務の理解を深めることも重要です。
特に未経験の職種への転職では、職種ついて理解していることが大きなアピールになります。
インターン・ボランティア
数日でもインターンシップやボランティアなど体験すると、仕事の理解が深まり、アピールすることが明確になります。書類選考でも有利です。
業界ごとの実践例
業界ごとに特徴がありますので、特徴を理解してポイントを確認すると理解が深まります。
メーカー
製造業には自動車や電機・機械、食品、化学など数多くの業界があります。業界が違うと同じ職種でも仕事の内容や進め方などが大きく変わってきます。それぞれの特徴を知っておくことが有効です。
自動車
- 業界全体の動向と同業他社の事業内容を調べる
- ショールームでパンフレットを集めたり、メーカーの特徴を聞く
- 業界誌やビジネス誌、一般誌から情報を収集する
機械・電機
- 量販店やショールームで実際の製品に触れたり、評判を聞いてみる
- ウェブサイトなどで各社の製品を比較してみる
- 工場や専門店、問屋などで話を聞いてみる
食品・飲料
- 各社のヒット商品や新商品を比較してみる
- 業界シェアや人気商品などをチェックする
- 販売店などで評判を調べてみる
IT業界
次々と新しい技術やサービスが登場するIT業界では、最新の動向やトレンドに注目です。
ソフトウエア
- パッケージソフトがあれば比較してみる
- システム開発の受注業界や企業をウェブサイトで調べてみる
情報サービス
- 各社の情報サイトや広告を比較してみる
- コンテンツの種類や新しいサービスをチェックする
流通業界
流通業界では全体の構造・仕組みや役割を理解したうえで、それぞれの業界研究を進めることが大切です。
卸・商社
- ウェブサイトなどから事業領域や成長分野を調べる
- 卸・商社の取扱商品の種類、価格、輸入国などから強みを調べる
- 同業他社と比較する
小売・専門店
- 百貨店・コンビニエンスストア・ドラッグストア・家電量販店など
- ウェブサイトから店舗、展開地域などを比較する
- 実店舗に行き、店員の対応、サービス、商品などを実際に見てみる
サービス業界
サービス業界には幅広いサービスや職種がありますので、志望する業界や職種との接点から深めると効果的です。
ホテル
- ホテルの宿泊プランやイベント情報を比較してみる
- ホテルへ行き、フロントやポーターなどの接客を観察する
- ホテルを利用した知人などに話を聞いてみる
医療・福祉
- 医療施設や介護施設などを見学させてもらう
- 医療機器メーカーのショールームで製品に触れたり、ウェブサイトを比較する
金融業界
金融業界では全体の動向からそれぞれの業種・職種の方向性を見極めることが大切です。
銀行・保険・証券
- 同じ地域の銀行・保険・証券の各支店で顧客サービスを比較してみる
- 支店でパンフレットや資料を集めて、商品や強みを調べる
- ウェブサイトの情報やシステムを比較する
まとめ
自分に合った業界を見つけるためには、まずは全体像を把握し、具体的なトレンドや課題、企業の詳細を調べることが大切です。
同じレベルの応募者に差をつけるのはリアルな志望動機や自己PRしかありません。誰もが目にする求人情報だけでなく、自分なりに業界や企業の研究をして、キラッと光る応募書類を作成しましょう。


【参考】
日本経済新聞出版『日経業界地図』
東洋経済新報社『四季報業界地図』