転職活動で求人企業に応募するときには、履歴書や職務経歴書などの応募書類を提出することが必要になります。
職歴1年未満で転職活動をする人は、「アピールできることがない」「何も書くことがない」と自信を失いがちです。
新卒とは違う職歴1年未満の人の応募書類は、どのように書けばよいのでしょうか。
書類選考を突破する書き方のコツをつかみましょう。
職歴1年未満の履歴書の書き方
履歴書とは
履歴書は採用選考で提出を求められるもっとも基本的な応募書類です。
添付されている写真や記載された内容、書き方などから、人物像、仕事への意欲、正確性などがチェックされています。
市販されている履歴書には、さまざまなタイプがありますので、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
履歴書の項目(例)
- 氏名(ふりがな)
- 生年月日、年齢、性別
- 住所、連絡先
- 学歴・職歴
- 免許・資格
- 志望動機
- 本人希望
履歴書のフォーム
市販の履歴書にはたくさんの種類があり、フォームにもそれぞれ特徴があります。
どれでもいいのではなく、応募企業に良い印象を与えられるものを選ぶのがコツです。
職歴1年未満におすすめのフォーム
学歴・職歴欄は左側のみで、右側に特技、性格、趣味など、自己紹介スペースを多くを割いているフォームがあります。
ヒューマンスキルや志望動機をアピールできるタイプが社会人経験が短い人にはおすすめです。
【例】コクヨ「一般用・B5判」、日本法令「自己紹介書付き」
職歴1年未満の履歴書は手書きが無難
パソコン作成による履歴書も増えていますので、IT企業や外資系企業であればパソコンもOKですが、一般企業では手書きが無難です。
職歴1年未満の転職であれば、特に手書きの文字のインパクトは履歴書の写真にも匹敵します。
社会人らしい文字が書けるか、丁寧で読みやすく書かれているかどうか、常識や基礎力が見られます。
履歴書の書き方
履歴書は採用が決まった際の雇用契約における本人情報確認のベースとなる書類です。
履歴書に虚偽の記述をすることは懲戒解雇や内定取消しの事由にもなりますので、間違いなく、丁寧に作成しましょう。
日付・氏名・連絡先
日付は提出日、郵送であれば投函する日を記載します。
氏名は戸籍に登録されている通りに正確に記入します。
連絡手段として携帯電話やメールを使う企業が増えましたので、記入欄がなくても空欄を利用して記入することをおすすめします。
学歴
中学卒業から記載することが一般的です。
高等学校以降の学歴は入学・卒業とも年次を記入します。
年次は間違えやすい項目ですので、しっかり確認して記載します。
間違えると経歴詐称とされることもありますので、注意しましょう。
職歴が短い人は、職歴を記入する行が少ない用紙を選び、学歴と職歴の間は一行空けるなど空白が目立たないように工夫します。
職歴
職歴は最も重視される情報です。
在籍した会社名と入退社の年月だけを記載するのではなく、簡単な事業内容、社員数などの基本的な情報を書き加えるとよいでしょう。
仕事の内容については、配属先や職種、具体的な担当業務を整理して簡潔にまとめます。
空白を作らないためには、「営業」「販売」などとまとめてしまうのではなく、取扱商品や担当顧客の件数などを記入するのがコツです。
在職中であれば「現在に至る」、離職中であれば「一身上の都合により退社」などと最後の行に記載します。
ビジネス研修も記入
社内研修で学んだビジネスマナーなどがあれば記入します。
社外講座の受講も志望職種に関連する知識・技術の習得は盛り込みましょう。
事務系職種であればPCの使用レベルも記載します。
免許・資格
免許や資格を書くのは、業務に役立つ知識や技術があることを伝えることが目的です。
取得時期が古い技能検定や関連のない資格を何でも書くと、志望動機や常識を疑われます。
志望動機に関係するもの、応用範囲の広い「簿記」「TOEIC」「運転免許」などを記載しましょう。
退職日・退職理由
在職中の場合、退職予定を入れておくと入社可能日が伝わります。
離職中の場合、詳細な退職理由を記載する必要はありません。
自己都合であれば「一身上の都合により退職」、倒産や解雇などであれば「会社都合により退職」、契約社員などであれば「契約満了につき退職」と記載します。
希望欄
「特に給料・職種・勤務時間・勤務地・その他について希望などがあれば記入」といった説明がありますが、正直に希望する年収や勤務地を書くのはNGです。
本当に譲れない条件、条件が折り合わなければ内定辞退につながるような特別な事情がある場合以外は「特になし」としておきましょう。
希望職種や出社可能日(在職者)は記入しましょう。
履歴書の志望動機
退職(転職)理由と整合性のある志望動機を記入します。
将来の目標などを通じて、仕事への意欲や長く働く意思があることを示します。
不満が理由の退職であっても、今後の目標に切り替えて、前向きに表現することが大切です。
会社は社員に仕事を学ばせるところではありません。
受け身な姿勢は不評です。
また自分の事情が志望動機になっている書き方もNGです。
自分を採用することで、会社がメリットになること、自分が貢献できることを記載するのが志望動機です。
NGフレーズ
- 「(経験が浅いので)仕事を通して、学ばせていただきたい。」
- 「働きやすそうな会社なので、長く働きたい。」
志望動機の例
「前職での接客経験と学生時代に学んだマーケティングの知識を、今後は(応募先の)営業の場面で活かしていきたいと考えています。」
職歴1年未満の職務経歴書の書き方
職務経歴書とは
職務経歴書は履歴書より職務内容を詳細に記載した応募書類です。
実務能力を重視する転職の採用選考では、多くの場合、履歴書と職務経歴書で書類審査が行われます。
一般的に書類審査を通過した人に対してのみ、面接が行われますので、転職の採用選考における職務経歴書の重要度は高いといえます。
職務経歴書の役割
- 求められている経験やスキルがあることを伝える
- 未経験や不足しているスキルは勉強中であることを示す
- 伝えたいことをわかりやすくまとめる
職務経歴書を書く準備
職務経歴書を作成するには、これまでの職務経験を振り返り、応募企業にアピールできることをピックアップして、まとめることが大切です。
経歴を振り返る
学校を卒業してから、どんな状況で、どんな仕事をして、どんな変化があったのかを書き出します。
入社日、ビジネスマナー・社内研修の期間や内容、配属先、部署の社員数、担当した業務内容(できるだけ具体的に細かく)、異動、転勤など。
実績、成果を振り返る
売上、受賞歴、コスト削減、業務改善、顧客満足度など、できるだけ具体的な数字を用います。
数値化できる実績のほか、仕事でどんな工夫をしたか(その結果、どんな効果があったか、周囲の評価など)、もっとも印象に残る仕事は何かなどを書き出します。
成長度を振り返る
これまで経験した仕事で、ここまで成長したということを具体的に書き出します。
- 担当顧客が増えた
- 入社した当初は10件だった処理件数が、現在は30件までできるようになった
- 先輩のサポートだった仕事をひとりでするようになった
専門知識、資格、スキル
仕事を通して得た商品知識やスキル、使用パソコンソフト、語学力などを書き出します。
職務経歴書のフォーマット
職務経歴書には主に「編年体式」と「キャリア式」がありますが、経験が浅い職歴1年未満の職務経歴書はベーシックな「編年体式」がよいでしょう。
編年体式
経歴を古いものから順に時系列にまとめる書き方です。
基本的な構成は入社、配属、異動などの見出しと見出しに沿った職務内容、実績を記載する形式です。
古い方から書くのが一般的ですが、最新のものから書く形式(逆編年体式)もあります。
キャリア式
時系列ではなく、職務内容ごとに経歴をまとめる書き方です。
基本的な構成は、経歴の要約と職歴を職種別、プロジェクト別、取扱商品別などキャリア(同じ業務)ごとにまとめて記載する形式です。
プロジェクトごとに、業務内容や規模、担当が異なるエンジニアなどに向いています。
職務経歴書の書き方
職務経歴書は自分をアピールする書類です。
応募企業が求めていることを理解して、アピールできる経歴を強調しましょう。
A4サイズ1枚にまとめる
パソコン作成が主流ですので、基本的なビジネススキルを示すためにもパソコンで作成しましょう。
文章を長々と続けるのではなく、箇条書きを使い、文字の量と余白のバランスを考えて、読みやすく1~2枚にまとめます。
タイトル
冒頭の中央に「職務経歴書」と他の部分より大きめに入れます。
日付、氏名
会社に持参する場合は持参する日にちを、郵送の場合はポストに投函する日にちを右上に記入します。
履歴書の日にちと揃えましょう。日付の下には氏名を入れるのが基本スタイルです。
ビジネスマナー・社内研修
キャリアの短い人にとっては、「ビジネスの基本が身についていること」がアピールのひとつになりますので、必ず記載しましょう。
職務経歴
正社員として勤務した会社の入社、退社、配属先はすべて書きます。
応募企業へのアピールになるアルバイト経験や派遣社員経験も記載して大丈夫です。
会社名だけでは事業内容などがわかりにくい場合には、簡単な会社概要を付記しましょう。
職務内容
「電話応対」「取引先訪問」などのように単語だけでまとめてしまうのではなく、仕事の内容がわかるように具体的に書きましょう。
同じ「電話応対」でも1日の対応件数など実際の業務は、企業や職場によって違うはずです。
- 期間
- 商材、サービス、プロジェクト
- 顧客、取引先
- チーム体制、個人
- 方法、ノウハウ など
実績、仕事への取り組み方
「売上目標達成」など実績がある場合には、必ず記載します。
また自分なりに工夫したことや努力したことなど、業務にどのように取り組んできたかを具体的に書きましょう。
数字で示せる実績がなくても仕事への積極的な取り組みは評価されます。
資格・スキル
応募条件になっている資格やスキルはもちろん、応募企業へのアピールになるものは必ず書きます。
PCスキルのように無資格で実力の判定が難しいものは、使用ソフト、操作レベルなどまで記載することが大切です。
応募する仕事に関連のある勉強中の資格やスキルは記入しておきましょう。
仕事に関係のない資格やスキルは、難易度の高いものであっても書かないのが基本です。
自己PR
応募企業で貢献できること、その理由となる強み、セールスポイントを具体的なエピソードを盛り込んで伝えます。
志望動機(転職理由)と関連させて「今後は(前職ではできなかった)こういう仕事で貢献したい」という前向きな姿勢で意欲を伝えることが大切です。
職歴1年未満の書類作成サポート
早期離職の転職活動
作成した応募書類に自信が持てなかったり、応募する前に添削してもらいたい、という人も多いのではないでしょうか。
エージェントサービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアアドバイザーのサポートを受けることができます。
サービスのメリット
- キャリアの可能性を広げるカウンセリング
- 自分だけでは見つけられない求人紹介
- 書類作成や面接対策のサポート など
まとめ
Webによる応募フォームで情報を提供していても、多くの場合、履歴書や職務経歴書の提出も求められます。
応募書類は、応募者のなかから、自分が選ばれる理由を伝えるつもりで作成するのがポイントです。
職歴1年未満でも社会人経験は大きな財産。
応募先で貢献できることをしっかりアピールして、いち早く戦力となることを伝えましょう。
参考:職務経歴書の基本構成
職務経歴書
20××年×月×日
氏名○○ ○○
【職務内容】
具体的な仕事内容や実績を伝えます。アピールになるアルバイト経験や派遣社員経験は記載して大丈夫です。
- 勤務先、入社・退社年月、所属、職種
- 経験した業務の詳細・実績
- 勤務先での評価、表彰、受賞、昇格、後輩指導など
【資格・スキル】
応募企業に役立つ知識や技能を伝えます。
- 免許・資格・スキルレベル
- 業務に関連する学歴、自己啓発
【転職理由・自己PR】
入社意欲や求人ニーズに合った適性や強みを伝えます。
- 転職(退職)理由
- 自己PR
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス