国家公務員には幅広い職種や仕事があります。
基本的には、採用試験に合格して、各省庁での面接を受けて、採用が決まります。
国家公務員の採用試験は、一部を除いて日本の国籍をもち、年齢条件などを満たしていれば誰でも受けることができます。
20代であれば、ほぼすべての試験が受けられ、さまざまな採用方法がありますので、自分に合った試験を見つけることができるはずです。
国家公務員とは
公務員は大きく国家公務員と地方公務員に分けられます。
国家公務員は国の機関のうち、国会、裁判所、中央官庁およびその地方支分局などで立法事務、司法事務、行政事務を行います。
国の業務に従事する国家公務員は、特別職と一般職に分かれ、さらに一般職は総合職と一般職に分けて採用されます。
特別職は大臣や知事、裁判所職員、国会職員、防衛省職員などで、各府省庁で働く行政官や外交官、税務職員など、ほとんどは一般職の国家公務員に分類されます。
行政機関
- 会計検査院
- 内閣
- 人事院
- 内閣府
- 宮内庁
- 公正取引委員会
- 国家公安委員会
- 金融庁
- 復興庁
- 総務省
- 法務省
- 外務省
- 財務省
- 文部科学省
- 厚生労働省
- 農林水産省
- 経済産業省
- 国土交通省
- 環境省
- 防衛省
採用試験の種類
国家公務員の採用試験には、仕事の種類や受験資格などにより、さまざまな種類があります。
総合職試験
政策の企画および立案または調査および研究に関する事務をその職務とする係員の採用試験です。
- 院卒者試験
- 大卒程度試験
一般職試験
定型的な事務をその職務とする係員の採用試験です。
- 大卒程度試験
- 高卒者試験
- 社会人試験(係員級)
専門職試験
専門的な知識または技能に基づく業務に従事する係員の採用試験です。
- 大卒程度試験
- 高卒者試験
経験者採用試験
民間企業などの経験者を採用する試験です。
国家公務員になるには
国家公務員になるためには、採用試験を受ける必要があります。
採用試験には仕事内容や受験資格などにより、さまざまな種類があり、人事院で実施されるものと、各省庁で実施されるものがあります。
どの試験を受験するかは、仕事内容や出題科目などを考慮して、決定することになります。
試験日が重ならなければ、第一志望以外に併願することができます。
国家公務員総合職
国家公務員総合職は、国家政策の企画・立案、調査・研究に関する事務をその職務とする係員のことです。
いわゆる「キャリア」と呼ばれる各府省庁の幹部候補生として採用されます。
受験資格
- 院卒者試験
30歳未満で、大学院修士課程または専門大学院の課程を修了した人および修了見込みの人、ならびに人事院が同等の資格があると認める人 - 大卒程度試験
①21歳以上30歳未満の人
②21歳未満で、大学を卒業した人および卒業見込みの人、ならびに人事院がそれと同等の資格があると認める人
院卒者試験
- 試験区分
①行政②人間科学③工学④数理科学・物理・地球科学⑤化学・生物・薬学⑥農業科学・水産⑦農業農村工学⑧森林・自然環境 ※法務区分(司法試験合格者) - 第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
・専門試験(多肢選択式) - 第2次試験
・専門試験(記述式)
・政策課題討議試験
・人物試験 - 英語試験
英語能力の程度に応じて加算
大卒程度試験
- 試験区分
①政治・国際②法律③経済④人間科学⑤工学⑥数理科学・物理・地球科学⑦化学・生物・薬学⑧農業科学・水産⑨農業農村工学⑩森林・自然環境 ※教養区分(専攻分野の学生など) - 第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
・専門試験(多肢選択式) - 第2次試験
・専門試験(記述式)
・政策論文試験
・人物試験 - 英語試験
英語能力の程度に応じて加算
合格率
8%程度(大卒程度試験)
国家公務員総合職の採用情報
人事院・国家公務員試験採用情報NAVI
国家公務員一般職
国家公務員一般職は、主として事務などの定型的な業務に従事する係員です。
各省庁や出先機関など幅広い勤務先があり、さまざまな業務に関われることがやりがいのひとつです。
受験資格
- 大卒程度試験
①21歳以上30歳未満の人
②21歳未満で、大学を卒業した者および卒業見込みの人、ならびに人事院がそれと同等の資格があると認める人
③21歳未満で、短大または高等専門学校を卒業した人および卒業見込みの人、ならびに人事院がそれと同等の資格があると認める人 - 高卒者試験
①高校または中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して2年を経過していない人、および卒業見込みの人
②人事院が①に準ずると認める人 - 社会人試験(係員級)
40歳未満の人
大卒程度試験
- 試験区分
①行政②電気・電子・情報③機械④土木⑤建築⑥物理⑦化学⑧農学⑨農業農村工学⑩林学 - 第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
・専門試験(多肢選択式)
・一般論文試験
・専門試験(記述式) - 第2次試験
・人物試験
高卒者試験
- 試験区分
①事務②技術③農業土木④林業 - 第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
・適性試験(多肢選択式)
・作文試験
・専門試験(多肢選択式) - 第2次試験
・人物試験
社会人試験
- 試験区分
①技術②農業土木 - 第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
・適性試験(多肢選択式)
・作文試験
・専門試験(多肢選択式) - 第2次試験
・人物試験
合格率
20%程度(大卒程度試験)
国家公務員一般職の採用情報
人事院・国家公務員試験採用情報NAVI
外務省専門職員
外務省専門職員は、2~3年は国内外で研修を行い、研修終了後、外務省や在外公館に勤務します。
専門とする語学と各国の文化や社会、歴史に通じた専門家として活躍することになります。
受験資格
- 21歳以上30歳未満の人
- 21歳未満で、大学・短期大学・高等専門学校を卒業した者および卒業見込みの人
- 人事院が2.と同等の資格があると認める人
試験日
- 第1次試験:6月の2日間
- 第2次試験:7月
試験内容
- 第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
・専門試験(記述式)
・外国語試験(記述式)
・時事論文試験 - 第2次試験
・人物試験
・外国語試験
・身体検査
合格率
20%程度
外務省専門職員の採用情報
外務省ウェブサイト・採用情報ページ
財務専門官
財務専門官は、財務局などにおける国の予算の執行に関する実地調査や金融機関の検査などの業務を行います。
財政、金融等のプロフェッショナルとして活躍します。
受験資格
- 21歳以上30歳未満の人
- 21歳未満で、大学・短期大学・高等専門学校を卒業した者および卒業見込みの人
- 人事院が2.と同等の資格があると認める人
試験日
- 第1次試験:6月
- 第2次試験:7月
試験内容
- 第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
・専門試験(多肢選択式)
・専門試験(記述式) - 第2次試験
・人物試験(個別面接)
※参考として性格検査を実施
合格率
20%程度
財務専門官の採用情報
財務局財務局採用サイト
国税専門官
国税専門官は、国税庁や税務署において、税務の専門家として調査、徴収、査察などの業務を行う専門職です。
高い専門知識が要求されます。
受験資格
- 21歳以上30歳未満の人
- 21歳未満で、大学を卒業した者および卒業見込みの人
- 人事院が2.と同等の資格があると認める人
試験日
- 第1次試験:6月
- 第2次試験:7月
試験内容
- 第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
・専門試験(多肢選択式)
・専門試験(記述式) - 第2次試験
・人物試験
・身体検査
合格率
25%程度
国税専門官の採用情報
国税庁ウェブサイト・採用情報ページ
労働基準監督官
労働基準監督官は、法律に基づいて工場や事業所に立ち入り、労働条件の確保・向上の指導を行います。
働く人の安全や健康を守る社会的意義の高い仕事です。
受験資格
- 21歳以上30歳未満の人
- 21歳未満で、大学を卒業した者および卒業見込みの人
- 人事院が2.と同等の資格があると認める人
試験日
- 第1次試験:6月
- 第2次試験:7月
試験内容
- 第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
・専門試験(多肢選択式)
・専門試験(記述式) - 第2次試験
・人物試験
・身体検査
合格率
10%程度
労働基準監督官の採用情報
厚生労働省ウェブサイト・採用情報ページ
経験者採用試験
経験者採用試験は、民間企業などで実務経験のある人を主に対象とした採用試験です。
政策の企画立案など、高度な知識・技術または経験を必要とする業務に携わる係長級の試験をはじめとして、さまざまな種類の試験があります。
受験資格
- 係長級(事務)
大学等を卒業した日または大学院の課程等を修了した日のうち最も古い日から起算して2年を経過した人 - その他の経験者
大学卒業後5年以上、または高校卒業後9年以上の年数が経過している人 など
係長級(事務)の試験内容
- 第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
・経験論文試験 - 第2次試験
・人物試験
・政策課題討議試験
経験者採用試験の案内
採用の対象となる官職は年ごとに異なり、内容は各試験ごとに定められます。
経験者採用試験の情報
人事院・国家公務員試験採用情報NAVI
障害者選考試験
障害者選考試験は、定型的な事務をその職務とする係員を採用するための試験です。
第1次選考(筆記試験)は人事院が実施し、第2次選考(採用面接)は各府省が実施します。
受験資格
- 次の手帳等の交付を受けている人
・身体障害者手帳
・療育手帳等または知的障害者であることの判定書
・精神障害者保健福祉手帳 - 18歳以上60歳未満の人
試験内容
- 第1次選考
・基礎能力試験(多肢選択式)
・作文試験 - 第2次選考
・採用面接
障害者選考試験の情報
人事院・国家公務員試験採用情報NAVI
国家公務員試験の勉強法
国家公務員試験は、「院卒程度」「大卒程度」「高卒程度」など最終学歴を目安として分類されています。
学歴は試験問題のレベルを示し、必ずしも学歴を要件としているわけではありません。
受験資格の学歴要件は減少傾向にあります。
国家公務員の試験内容
試験内容は、「基礎能力試験」と「専門試験」に、「適性試験」や「面接試験」などを組み合わせて実施されます。
基礎能力試験は幅広い分野の学習がポイントになります。
教養試験(基礎能力試験)
公務員としての業務を遂行するために必要となる基礎的な知能および知識をみるための試験です。
専門試験
専門試験は試験区分に応じて実施され、出題内容が決められています。
適性試験
主に高卒程度の事務系職種の試験で、事務適性を測るために実施されます。
人物試験(面接試験)
筆記試験では判断できない人柄や意欲、態度などが評価されます。
社会人の試験対策
国家公務員試験は、出題科目の多様化が進み、得意分野で力を発揮できるチャンスが増えています。
学歴や専攻にとらわれず、チャレンジする価値のある試験になっているといえます。
国家公務員試験に合格するためには、独学や通信講座、予備校等で勉強する方法があります。
学習の進捗やかけられる時間、費用など自分の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
社会人が幅広い出題範囲を効率的に学習するためには、試験対策の公務員講座などを上手に活用することをおすすめします。
試験の準備期間
各試験によって変わってきますが、合格までに半年から2年程度の準備期間が必要となるでしょう。
独学
公務員試験のテキストや問題集はたくさんありますので、独学でも合格を目指すことができます。
自分のペースで経済的に勉強することができますが、わからないところは基本的に自分で解決しなければなりません。
通信講座
通信講座は公務員試験に対応したカリキュラムで効率的に勉強することができます。
独学では難しい最新情報の入手や質問回答・相談もできます。
予備校
予備校は直接講師の授業を受けられますので、疑問をすぐに解決できることがメリットです。
ただし、時間や場所の制約があり、費用は少し高めになります。
国家総合職教養試験の過去問
国家総合職専門試験の過去問
国家一般職(大卒)教養試験の過去問
国家一般職(大卒)専門試験の過去問
国家公務員一般(高卒・社会人)教養試験の過去問
公務員試験の対策・通信講座
LEC東京リーガルマインド | LECの公務員試験講座は、あらゆる試験のカリキュラム・テキスト・面接対策に対応。全国21校に担任を配置、きめ細かいサポートを行っています。 |
伊藤塾 | 法律資格・公務員試験のスクール【伊藤塾】では、幅広い併願対策に対応したカリキュラムで、複数の試験を視野に入れての対策が可能です。 |
リンクアカデミー | 大栄の公務員受験対策講座では、公務員試験合格をトータルでバックアップ。1次試験から2次試験までをサポートする戦略的な試験対策指導に力を入れています。 |
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まとめ
国家公務員には、職種や勤務地がたくさんあります。
日本社会のために働くことができるチャンスは広く用意されています。
国家公務員の人数は減少傾向ですが、安定性や将来性は今後も続くといえるでしょう。
【参考】
・国家公務員試験採用情報NAVI
・総務省「日本標準産業分類」