日用品・トイレタリーの業界研究【概要・動向】

洗剤や歯磨き、芳香消臭剤、紙おむつ、家庭用殺虫剤などの日用品は、広告宣伝で目にする機会も多く、身近に感じる人が多い業界といえるでしょう。

新型コロナウイルスの影響で、衛生関連商品の需要は急増しましたが、インバウンド需要は激減しています。

転職・就職で押さえておきたい日用品業界の概要と動向についてご紹介します。

日用品・トイレタリーとは
まとめ

日用品・トイレタリーとは

日用品とは、日常生活で消費される（食料品や衣料品を除く）もののことです。

化学製品の日用品としては、身体用などの洗浄剤、衣料用などの洗剤、歯磨きなどの口腔製品、紙おむつなどの衛生用品、殺虫剤などがあります。

トイレタリーは身体の手入れなどを目的とした製品のことで、日用品の一部といえます。

医薬品や化粧品に分類される製品もあります。

【化学工業の消費財】

一般用医薬品
家庭用殺虫剤
家庭用洗剤
化粧品

【洗浄・洗剤の製品】

身体洗浄
浴用固形石鹸、手洗い用液体石鹸
石鹸（洗濯用など）
合成洗剤
洗濯用、台所用、住宅・家具用
柔軟剤
漂白剤
クレンザー

【トイレタリーの製品】

フェイスケア
洗顔フォーム、メイク落とし
ボディケア
ボディソープ、ボディクリームなど
スキンケア
リップクリーム、ハンドクリーム、日焼け止め、制汗剤など
ヘアケア
ヘアスプレー、育毛剤など
ヘアカラー
入浴剤

（参考：「日本標準産業分類」）

日用品・トイレタリー（国内）

洗剤、歯磨き、芳香消臭剤、紙おむつ、生理用品、家庭用殺虫剤などの製品を扱っています。

活発な広告宣伝活動とともに、研究開発にも力を入れています。

花王

花王は、石けんの販売からスタートした化学メーカーです。

家庭用品事業、化粧品事業、工業製品事業を展開しています。

国内最大手なだけでなく、世界の化粧品・トイレタリー企業のシェアランキングでも上位です。

原料からの一貫生産と物流・販売システムに強みがあります。

設立：1940年5月
本店：東京都
従業員数：33,507人
平均年齢：41歳

ライオン

ライオンは、石けん洗剤と歯磨きで成長してきた日用品大手です。

一般用医薬品事業も展開しています。

設立：1918年9月
本社：東京都
従業員数：7,584人
平均年齢：44歳

ユニ・チャーム

ユニ・チャームは、紙おむつ、生理用品で国内首位です。

マスクも好調です。

設立：1961年2月10日
本店：愛媛県
従業員数：16,308人
平均年齢：41歳

アース製薬

アース製薬は、家庭用殺虫剤の国内トップメーカーです。

バスクリン、白元を買収し、成長を続けています。

設立：1925年8月26日
本社：東京都
従業員数：4,522人
平均年齢：42歳

小林製薬

小林製薬は、芳香剤首位です。

医薬品やスキンケアも充実しています。

設立：1919年8月22日
本社：大阪府
従業員数：3,451人
平均年齢：40歳

マンダム

マンダムは、男性用ヘアケア、化粧品トップです。

女性用でも売上を伸ばしています。

従業員数：2,763人
平均年齢：42歳

エステー

エステーは、防虫剤首位。

芳香剤、除湿剤にも強みがあります。

設立：1948年8月31日
本社：東京都
従業員数：953人
平均年齢：43歳

フマキラー

フマキラーは、殺虫剤大手です。

海外に強みがあります。

設立：1950年12月
本社：東京都
従業員数：2,492人
平均年齢：42歳

クラシエホールディングス

クラシエは、カネボウから日用品部門などが分離して独立しました。

家庭用ヘアカラーの朋友ホールディングスが完全子会社化。

本社：東京都
従業員数：1,738人

外資系企業

さまざまな家庭用品に多角化した海外大手が国内でも存在感を示しています。

グローバルな展開としては、日本企業は外資系企業に遅れをとっているといえます。

P&G ジャパン

日用品メーカー世界最大手P&G（米）の日本法人です。

P&Gは、欧米、新興国ともに高いシェアを誇っています。

ユニリーバ・ジャパン

ユニリーバ（英）は、世界トップクラスの消費財メーカーです。

食品から日用品まで幅広く展開しています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン

ジョンソン・エンド・ジョンソン（英）の日本法人は、医療・健康用品の輸入・製造販売を行っています。

日本ロレアル

ロレアル（仏）は、化粧品で世界首位です。

トイレタリーもヘアケアを中心に複数ブランドを展開しています。

トイレタリー製造の売上高

順位	企業名	売上高（百万円）
1	花王	1,418,768
2	ユニ・チャーム	782,723
3	ライオン	366,234
4	アース製薬	203,785
5	コバヤシ製薬	155,252
6	ビジョン	93,080
7	マンダム	57,361
8	ホーユー	49,304
9	エステー	45,469
参考	P&Gジャパン（20/6）	284,894

化粧品・トイレタリー卸の売上高

順位	企業名	売上高（百万円）
1	PALTAC	1,045,735
2	あらた	857,087
3	井田両国堂	150,391
4	中央物産	128,271
5	広島共和物産	77,992
6	東京堂	66,371
7	東流社	62,456
8	ハリマ共和物産	57,781
9	ネイチャーラボ	50,000
10	大山	28,222

（帝国データバンク『業界動向2023-Ⅰ』より）

日用品メーカーの採用市場

日用品メーカーにとって、新製品や改良品など競合他社との差別化を図るために、研究・開発、生産技術など技術系職種の重要性が高くなっています。

企業では基礎研究よりも商品開発に重きを置く傾向がありますので、基礎研究から商品開発まで幅広く、キャリアの可能性を広げることが、転職の場面では必要になってくるといえるでしょう。

研究

基礎研究
応用研究
開発・工業化研究

開発・設計

商品開発
生産技術

生産・調達

製造・生産
品質管理・品質保証
購買・物流

営業・販促

営業
技術営業・企画

化学業界の求人・転職

研究、開発、品質管理、技術営業、分析・評価など化学系エンジニアの求人は高い水準で推移しています。

研究・開発職は非公開求人として募集されることがほとんどです。

エンジニア以外の職種にも技術的な知識が求められることがありますので、エージェントを活用するなど情報収集が不可欠です。

化学工業の給与

区分	20～24歳	25～29歳	43.0歳 (平均)
所定内労働時間	164時間	163時間	163時間
残業	14時間	15時間	12時間
月収	238,900円	290,300円	385,000円
年間賞与等	674,500円	979,500円	1,532,000円
年収	3,541,300円	4,463,100円	6,152,000円