食品業界には、職務として資格が必要なものと資格がなくてもできる仕事があります。
資格を必要としていなくても、食の安全や健康など食に関する意識の高まりとともに専門家のニーズは高まっています。
食に関する資格を取得しておくことは、食品業界のキャリアで有利になることは間違いありません。
食品業界で有利なおすすめ資格をご紹介します。
食品業界で役立つ資格
栄養士
栄養士は、栄養の指導に従事するための必要な知識や技能を修得する国家資格です。
生活習慣病の増加などから健康志向が高まり、栄養士の役割は年々大きくなっています。
養成施設を卒業すると同時に資格を得ることができます。
受験資格
栄養士資格を取得するには、必ず栄養士資格必修科目50単位を全て修得して栄養士養成施設を卒業しなければなりません。
社会人が栄養士資格を新たに取得するには、最低短大・専門学校の2年間、栄養士養成施設に昼間通学できる体勢を整える必要があります。
必修科目(例)
- 社会生活と健康
- 人体の構造と機能
- 食品と衛生
- 栄養と健康
- 栄養の指導
- 給食の運営
転職・就職情報
官公庁や保健所、病院、学校、福祉施設、スポーツ施設、食品会社など活躍の場は広く、外食・中食など飲食業界での転職・就職にも有利です。
管理栄養士
管理栄養士は、栄養指導のプロフェッショナルとしての能力を証明する国家資格です。
食と栄養、健康に対する関心が高まり、資格者のニーズが高まっています。
受験資格
管理栄養士国家試験の受験資格は、管理栄養士養成施設を卒業または栄養士養成施設の卒業と実務経験で得ることができます。
試験日
年1回(2~3月)
試験地
北海道、宮城、埼玉、東京、愛知、大阪、岡山、福岡、沖縄
試験内容
- 社会・環境と健康
- 人体の構造と機能および疾病の成り立ち
- 食べ物と健康
- 基礎営業学
- 応用営業学
- 栄養教育論
- 臨床栄養学
- 公衆栄養学
- 給食経営管理論
合格率
65%程度
問い合わせ
厚生労働省 健康局
転職・就職情報
栄養指導だけでなく、食品メーカーで商品開発を行う仕事に就く人も多くいます。
資格の取得はキャリアの可能性を広げることに役立ちます。
管理栄養士のテキスト
調理師
調理師は、食の歴史から食材や調理の基礎、食中毒や厨房機器など、調理師として求められる知識・技能を修得する国家資格です。
資格を取得するには指定の専門学校を卒業するか、国家試験に合格するかの方法があります。
資格取得者は無条件で食品衛生責任者になれます。
受験資格
- 学歴:中学校卒業以上
- 職歴:次の施設で2年以上の調理業務の経験者
①飲食店(旅館、簡易宿泊所を含む)
②魚介類販売業
③惣菜製造業
④学校、病院、寮などの給食施設
(日に20食以上を継続して調理する、または50食以上調理することが1日でもある施設)
試験日
年1回(各都道府県により異なる)
試験地
各都道府県で実施
試験内容
- 食文化概論
- 公衆衛生学
- 栄養学
- 食品学
- 食品衛生学
- 調理理論
合格率
60%程度
問い合わせ
各都道府県調理師試験担当課
転職・就職情報
ホテルやレストランの厨房、病院、福祉施設、学校、幼稚園などの給食、パン・製菓工場など調理をする仕事で採用条件になっている場合もあり、資格を取っておくと有利です。
調理師のテキスト
専門調理師・調理技能士
専門調理師・調理技能士は、調理師よりも上位の国家資格です。
高度な知識と技能を証明でき、調理師学校での教員資格も同時に取得できます。
受験資格
- 実務経験者
実務経験8年以上、実務経験年数のうち調理師免許を有していた期間3年以上 - 調理師養成施設において1年以上調理に関する学科を修めた卒業者
実務経験6年以上、実務経験年数のうち調理師免許を有していた期間3年以上 - 調理に関し専門課程の高度職業訓練または普通職業訓練修了者
実務経験7年以上、実務経験のうち調理師免許を有していた期間3年以上
試験日
- 実技:【前期】7~8月【後期】1~2月
- 学科:【前期】8月【後期】1月
試験地
料理区分・年度により異なる
試験内容
【実技】
- すし料理
- 中国料理
- 給食用特殊料理
- 日本料理
- 西洋料理
- 麺料理
【学科】
- 各料理区分共通問題
・食品衛生および公衆衛生
・食品および栄養
・関係法規
・安全衛生 - 料理区分別専門問題
・調理一般
・調理法
・材料
合格率
- 実技:70%程度
- 学科:40%程度
問い合わせ
公益社団法人 調理技術技能センター
転職・就職情報
資格取得により、調理のエキスパートと見なされると同時に調理師学校での教員資格も取得できます。
製菓衛生師
製菓衛生師は、菓子製造に従事する人の資質を向上させ、公衆衛生の向上および増進に寄与するための国家資格(名称独占資格)です。
製菓衛生師試験に合格すると製菓衛生師の免許を受けることができます。
製菓衛生師試験は、厚生労働大臣の定める基準に基づき、各都道府県で実施しています。
受験資格
- 都道府県知事の指定する製菓衛生師養成施設において1年以上製菓衛生師として必要な知識および技能を修得した人
- 菓子製造業で2年以上の実務経験者
試験日
各都道府県により異なる
試験地
各都道府県で実施
試験内容
- 衛生法規
- 公衆衛生学
- 栄養学
- 食品学
- 食品衛生学
- 製菓理論
- 製菓実技
問い合わせ
各都道府県製菓衛生師試験担当
転職・就職情報
資格がなくても製菓の仕事をすることはできますが、資格者は菓子・パン業界、レストラン、ホテルなどで評価されます。
未経験からの転職であれば、資格者は有利といえます。
製菓衛生師試験のテキスト
フードコーディネーター
フードコーディネーターは、食に関する知識に精通し、食品メーカーの商品開発や食品卸・小売業のPB商品、食の新しいサービス・食べ方の提案などを手掛けています。
フードコーディネーター資格認定試験には、1級・2級・3級のレベルが設定されています。
受験資格
- 1級:フードコーディネーター2級資格認定登録者(取得分野に限る)
- 2級:フードコーディネーター3級資格認定登録者
- 3級:中学校卒業以上
試験日
- 1級:【1次】9月【2次】2月
- 2級:【1次】6月【2次】8月
- 3級:11月
試験地
- 1級:東京
- 2級:【1次】全国のCBTテストセンター【2次】オンライン講座
- 3級:全国のCBTテストセンター
試験内容
【1級】専門知識と問題解決、プレゼンテーション能力
- 1次:企画書審査
- 2次:プレゼンテーション・面接
【2級】深い専門知識とフードサービス・ビジネスにおける能力
- 1次:CBT方式
・レストランプロデュース
・商品開発
・食の生産・流通・消費
・ホスピタリティ&ライフサポート
・イベント・メディア - 2次資格認定講座:オンライン講座
・企画書の基礎
・企画書作成の解説と演習
【3級】基礎知識の習得(CBT方式)
- 文化
- 科学
- デザイン・アート
- 経済・経営
合格率
- 1級:【1次】55%程度【2次】75%程度
- 2級:【1次】80%程度【2次】60%程度
- 3級:90%程度
問い合わせ
特定非営利活動法人 日本フードコーディネーター協会
転職・就職情報
食に関するビジネスの拡大により、様々な業種で雑誌・テレビ・CM・動画などの料理演出のプロとして活躍しています。
フードコーディネーター試験対応テキスト
食生活アドバイザー
食生活アドバイザーは、食品加工・流通・サービス・食育など食生活全般で健康的な生活のための提案ができるスペシャリストです。
受験資格
制限なし
試験日
年2回(6月、11月)
試験地
札幌、仙台、埼玉、千葉、東京、横浜、新潟、金沢、静岡、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡
試験内容
- 栄養と健康
- 食文化と食習慣
- 食品学
- 衛生管理
- 食マーケット
- 社会生活
問い合わせ
一般社団法人 FLAネットワーク協会食生活アドバイザー検定事務局
転職・就職情報
食生活全般のスペシャリストとして、食生活アドバイザーは幅広い業界で求められるようになっています。
食品関係や卸売業などでは取得を推奨している企業も多くあります。
食生活アドバイザーの公式テキスト&問題集
食生活アドバイザーの通信講座ならユーキャンの食生活アドバイザー(R)講座
食品表示検定
食品表示検定は、食品表示を理解し、表示内容を説明できる知識を得られる検定です。
食の生産、製造、流通などにかかわる業務で活かすことができます。
受験資格
- 初級・中級:制限なし
- 上級:中級合格者
試験日
- 初級・中級:年2回(前期/後期)
- 上級:11月
試験地
- 初級・中級:全国のテストセンター
- 上級:全国の主要都市
試験内容
- 初級:認定テキスト・初級からの基礎知識と応用力
- 中級:認定テキスト・中級からの基礎知識と応用力
- 上級:食品表示全般
合格率
- 初級:60%程度
- 中級:50%程度
- 上級:15%程度
問い合わせ
一般社団法人 食品表示検定協会
転職・就職情報
食品業界、スーパーなどで食の製造、販売、営業の業務に活かすことができます。
食品表示検定の認定テキスト・初級
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、食品製造施設などで営業所ごとに1名配置しなければならない資格です。
各都道府県で養成講習を受講して資格を取得します。
受講資格
17歳以上であれば誰でも受講できる
※栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格者は受講を免除されます。
講習日
各都道府県により異なる
講習内容
- 食品衛生学
- 食品衛生法
- 公衆衛生法
講習の最後に修了試験が実施されます。
問い合わせ
各都道府県衛生主管部
転職・就職情報
食品を扱う施設で必要とされる資格です。
食品衛生についての知識があることを示すことができます。
まとめ
食の専門家のニーズが高まり、食品業界では入社後の研修制度のなかで資格取得を推奨する企業も増えています。
ワンランクアップの転職・就職を目指すのであれば、資格を取得することは有効なアピール材料になるといえるでしょう。
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・試験実施機関ウェブサイト