食品にはさまざまものがあり、生産や輸入、加工・製造、流通などを経て、消費者に届けられます。
なかでも食品製造業は事業所数が多く、日本の重要な産業のひとつです。
生活に密着した食品産業の種類と分類をご紹介します。
食品産業の種類
食品産業
食品とはすべての飲食物(医薬品を除く)のことです。
食品の種類には「生鮮食品」と「加工食品」があり、さらに「加工食品」は一次加工食品、二次加工食品、三次加工食品に分類されます。
一次加工食品を用いて二次加工食品が製造され、一次加工食品と二次加工食品を組み合わせて三次加工食品が製造されます。
食品製造業は「食料品製造業」と「飲料・たばこ・飼料製造業」の二部門で構成されています。
食品産業の構造
- 一次産業(生産):農畜水産業
- 二次産業(加工):食品メーカー
- 三次産業(流通・販売):食品卸・商社、小売・外食
農・畜・水産業
農業や漁業は、米や野菜、肉、水産物などを生産し、市場に供給しています。
個人経営が多く、高齢化と後継者不足が課題となっています。
IT活用や大規模化、海外・加工食品の強化などが進められています。
農ビジネス
IoTやAIを使ったスマート農業が進められています。
海外市場を強化する動きが活発です。
食品製造業の分類
食品製造業には、農畜水産物を一次加工する素材型製造業と加工食品を製造する加工型製造業があります。
畜産食料品製造業
- 部分肉・冷凍肉
ブロック肉、冷凍食肉 - 肉加工品
ソーセージ、ハム、ベーコン - 乳製品
バター、チーズ、ヨーグルト、アイスクリーム - 処理牛乳・乳飲料
練乳、乳酸菌飲料 - その他の畜産食料品
加工卵、はちみつ処理加工
水産食料品製造業
- 水産缶詰・瓶詰
魚缶詰・瓶詰、かに缶詰、水産佃煮瓶詰 - 海藻加工
こんぶ、焼のり、味付けのり、わかめ、ひじき、寒天 - 水産練製品
かまぼこ、焼ちくわ、はんぺん、魚肉ハム・ソーセージ - 冷凍水産物
冷凍魚介類 - 冷凍水産食品
冷凍すり身 - その他の水産食料品
野菜缶詰・果物缶詰・農産保存食料品製造業
- 野菜缶詰
野菜の水煮、野菜ジュース原液・スープ、乾燥野菜、冷凍野菜 - 果物缶詰
果実シロップ漬け、ジャム、果実バター、果実ジュース、ゼリー - 野菜漬物
調味料製造業
- みそ
- しょう油・食用アミノ酸
- ソース
ウスターソース、トマトケチャップ、マヨネーズ - 食酢
- その他の調味料
香辛料、カレー粉、固形カレー
糖類製造業
- 砂糖
- でんぷん糖類
精穀・製粉製造業
- 精米・精麦
- 小麦粉
- その他の精穀・製粉
米粉、大豆粉、そば粉、とうもろこし粉、その他
パン・菓子製造業
- パン
食パン、菓子パン - 生菓子
ケーキ・ドーナツ・パイなどの洋菓子、ようかん・まんじゅうなどの和菓子 - ビスケット類
ビスケット、クラッカー - 米菓
米を原料とするあられ、せんべい - その他のパン・菓子
チョコレート、キャンディ、アイスキャンディ、ガム、かりんとう
動植物油脂製造業
- 動植物油脂
牛脂、豚脂、魚油、菜種油、ごま油、米油、オリーブオイル - 食用油脂加工
マーガリン、ショートニング、ラード
その他の食料品製造業
- めん類
- 豆腐・油揚げ
- あん類
- 冷凍調理食品
- 惣菜
- すし・弁当・調理パン
- レトルト食品
- 他に分類されない食料品
飲料・たばこ・飼料製造業
- 清涼飲料
- 酒類
果実酒、発泡酒類、清酒、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類 - 茶・コーヒー
- 製氷
- たばこ
- 飼料
参考:「日本標準産業分類」
食品メーカー
食品メーカーでは、原材料を購入して、食品を加工・製造、販売しています。
食品業界は、少子高齢化や消費者ニーズの多様化など厳しい市場環境のなか、積極的な海外戦略を展開しています。
食肉加工
ハムやベーコン、ソーセージなどを製造しています。
食肉加工品の市場は安定していて、時短や調理の簡便性のニーズは底堅いものがあります。
乳製品
牛乳やヨーグルト、乳酸菌飲料、チーズ、バターなどを製造しています。
大手から中小まで多くのメーカーが存在しています。
水産加工
すり身、練製品、節製品(鰹節・さば節など)を製造しています。
大手は養殖から冷凍食品までさまざまな事業を展開しています。
調味料
基礎調味料、香辛料、食品添加物を製造しています。
健康意識への高まりから健康志向の商品が特に好調です。
製粉・製糖・製油
小麦を小麦粉に、さとうきびや甜菜を砂糖に、なたねなどの植物から食用油を精製しています。
原材料の上昇で厳しい状況が続いています。
パン・菓子
パンや菓子にはさまざまな種類があり、メーカーも大手から中小まで数多くあります。
原材料の高騰などにより値上げされる商品が増えています。
冷凍・インスタント食品
食品を冷凍することで長期保存を可能にしています。
冷凍食品は年々市場を拡大しています。
カレーや即席めんなどインスタント食品は保存食としても用途が広がっています。
清涼飲料・酒類
清涼飲料は乳製品やアルコール飲料を除く、炭酸飲料、果汁飲料、スポーツ飲料、緑茶飲料、コーヒー飲料などです。
酒類にはビール系飲料や日本酒などアルコール分1度以上の飲料が分類されます。
新商品の開発が活発です。
中食
内食と外食の中間である惣菜や弁当、おにぎり、調理パンなどを製造し、コンビニやスーパー、百貨店などに供給しています。
中食市場は拡大していますが、競争も激化しています。
食品流通業
食品卸、輸出入(商社)、小売は、食品を生産者から消費者まで届ける役割を担っています。
食品卸
食品卸は食品メーカーから小売店や外食産業へ食品を販売しています。
食品を輸出入する商社も卸の一種といえます。
食品小売
食品小売は食品を直接消費者に届けます。
スーパーやコンビニ、ドラッグストアなど食品を扱う小売が増えています。
ネット販売が拡大しています。
外食産業
加工食品はさまざまな飲食店で提供されています。
モバイルオーダーなど配達技術が進化し、中食との競争も厳しくなっています。
業態
- ファストフード
- カフェ・コーヒーチェーン
- レストラン・ファミリーレストラン
- 居酒屋・回転寿司
まとめ
食品産業は、毎日の食生活はもちろんのこと、日本の食文化も支えています。
グローバル化や少子高齢化など社会の変化とともに、食生活はこれからも変化していくでしょう。
食品産業は健康や環境に配慮し、新たな変化にも対応していくことが求められます。
【参考】
・総務省ウェブサイト
・厚生労働省ウェブサイト
・全国漁業協同組合連合会
・日本食肉加工協会
・全国清涼飲料連合会
・日本冷凍食品協会