キーワード解説
契約社員
契約社員とは、法律上の正式な定義はありませんが、正社員とは別の労働条件の労働契約(雇用契約)を個別に結ぶ社員のことを意味して使われています。
勤務時間は1日または1週間の所定労働時間が正社員とほぼ同じで、雇用期間に定めのない正社員に対して、雇用期間に定めのある有期雇用契約であることが一般的です。
各社が独自に「準社員」や「嘱託社員」、「パートナー社員」などと呼んでいることもあります。
製造業などに多い「期間従業員」も契約社員です。
契約社員は労働基準法の「労働者」として、正社員と同様に保護されます。
契約社員を有期雇用であるという理由だけで、正社員と異なる待遇にすることは認められません。
待遇は職務内容、責任の範囲などを考慮して設定しなければなりません。
勤務時間
契約社員の勤務時間は、フルタイムとなっていることが一般的です。
1週間の所定労働時間が正社員と比べて短い場合には、パートタイム労働者としての扱いとなります。
契約期間
雇用契約には期間に定めがあるもの(有期雇用契約)と期間に定めのないもの(無期雇用契約)があります。
契約社員の場合、有期雇用契約であることが一般的です。
有期雇用契約の期間の上限は原則3年です。
1回に3年契約するのではなく、1年以内の契約期間で雇用契約を結び、更新することがほとんどです。
有期雇用契約の例外
有期雇用契約の上限は3年ですが、以下の場合には例外が認められています。
- 有期の建設工事など一定の事業の完了に必要な期間である場合
- 職業訓練のために必要がある場合
- 契約期間の上限を5年とできる場合
・厚生労働大臣が定める基準に該当する高度な専門的知識や技術または経験があり、それらの専門的知識などを必要とする業務に就く場合
・満60歳以上の従業員を雇い入れる場合
社会保険
次のいずれの条件も満たせば、契約社員であっても健康保険・厚生年金の加入対象となります。
- 契約期間が2ヵ月以上であること
- 所定労働時間が他の一般の労働者と比べ4分の3以上であること
雇用保険
次のいずれの条件も満たせは、雇用保険の加入対象となります。
- 31日以上雇用される見込みがあること
- 所定労働時間が週20時間以上であること
雇い止めの予告
有期雇用契約の期間が満了すると、雇用契約は終了して退職となります。
このときに雇用契約を再度更新することもできますし、雇用契約を更新せずに終了することもできます。
期間満了で契約を更新せずに終了することを雇い止めといいます。
有期雇用契約を3回以上更新し、または雇入れ日から1年を超えて継続して勤務している契約社員の契約を更新しない場合には、少なくとも30日以上前に雇い止めの予告をしなければなりません。
雇い止めで退職する場合に特定受給資格者に該当すれば、手厚い基本手当を受けられることがあります。
特定受給資格者以外で、契約満了で退職する場合にも特定理由離職者に該当すれば基本手当が優遇されることがあります。
それぞれ該当するかどうかの判断はハローワークで個別に行われます。
雇い止めの無効
有期雇用契約について、使用者が更新しないこととする雇い止めは、一定の場合に無効とされる可能性があります。
- 反復継続された有期雇用契約で、その雇い止めが無期雇用契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
- 有期雇用契約の契約期間の満了時に契約が更新されると期待することについて合理的な理由があると認められるもの
無期転換ルール
無期転換ルールとは、有期雇用契約が更新されて通算5年を超えた場合に、有期契約社員の申込みによって無期雇用契約に転換される制度のことです。
要件を満たした契約社員が企業に対して無期転換の申込みをした場合、無期雇用契約が成立します。(使用者は断ることができません)
契約期間の定めはなくなりますが、契約期間以外の労働条件はそのままでもかまわないとされています。
期間途中の解雇
有期雇用契約の期間途中での解雇は、「やむを得ない事由」がある場合に限って認められます。
「やむを得ない事由」は、契約期間の満了まで雇用を維持することができないと認められるほどに重大なものであることが必要です。
期間途中の退職
有期雇用契約の期間途中であっても、「やむを得ない事由」があれば退職できます。
「やむを得ない事由」としては、本人の健康状態、育児や介護など家庭の事情などが考えられます。
参考:厚生労働省ウェブサイト