同一労働同一賃金とは

キーワード解説

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金とは、雇用形態にかかわらない公正な待遇を確保するために、企業内で量や質が同じ仕事内容の労働に対して、同じ賃金を支払わなければならないという原則のことです。

同一労働同一賃金では、正規雇用(無期雇用フルタイム)と非正規雇用(有期契約社員パートタイマー派遣社員)との間の不合理な待遇差の解消を目指しています。

同一労働同一賃金は、雇用形態、性別、年齢などに関係なく、仕事の内容に基づいて賃金を決定します。

欧州では一般的とされています。

日本ではいわゆる正社員と非正規雇用における賃金格差が広がり、同じ仕事をしているといえるようなケースでも賃金に差があるとして、問題視されるようになっています。

正社員が中心のフルタイム労働者に対するパートタイムタイマーの日本における賃金水準は6割と欧州の8、9割より低くなっています。

正社員と非正規雇用の賃金格差を欧州並みに縮小することで、非正規雇用で働く人の待遇改善の実現を目指しています。

不合理な待遇の禁止

働き方改革の一環により、パートやアルバイト、契約社員ということだけを理由にして、基本給や賞与その他の待遇について、いわゆる正社員との待遇と不合理と認められる相違を設けてはいけないと規定されました。

不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働けるようにすることで、多様で柔軟な働き方が選択できるようになります。

相違が不合理かどうかは以下の点を考慮して、判断されます。

  • 職務の内容(従業員の業務の内容と業務に伴う責任の程度)
  • 職務変更、配置転換(職務の内容および配置の変更)の範囲
  • その他の事情

基本給

基本給が従業員の能力または経験に応じて支払うもの、業績または成果に応じて支払うもの、勤続年数に応じて支払うものなど、その趣旨・性格がさまざまであることを認めたうえで、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。

昇給についても、従業員の勤続による能力の向上に応じて行うものは、同一のものは同一の、違いがあれば違いに応じた昇給を行わなければなりません。

賞与

企業の業績等への従業員の貢献に応じて支給する賞与(ボーナス)については、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。

各種手当

役職に内容に対して支給する役職手当については、同一の内容の役職には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。

そのほか、

業務の危険または作業環境に応じて支給される特殊作業手当
交代制勤務などに応じて支給される特殊勤務手当
業務の内容が同一の場合の精皆勤手当
正社員の所定労働時間を超えて同一の時間外労働を行った場合に支給される時間外労働手当の割増率
深夜・休日労働を行った場合に支給される深夜・休日労働手当の割増率通勤手当・出張旅費
労働時間の途中に食事のための休憩時間がある際の食事手当
同一の支給要件を満たす場合の単身赴任手当
特定の地域で働く従業員に対する補償として支給する地域手当

については、同一の支給を行わなければなりません。

福利厚生

同じ事業所で働く従業員について、正社員と同一の食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設の利用を認めなければなりません。

転勤の有無等の要件が同一の場合には、正社員と同一の転勤者用社宅の利用を認めなければなりません。

慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障については、同一の付与を行わなければなりません。

病気休職については、無期雇用の短時間労働者には正社員と同一の、有期雇用契約社員にも労働契約が終了するまでの期間を踏まえて、同一の付与を行わなければなりません。

法定外の有給休暇その他の休暇であって、勤務期間に応じて認めているものについては、同一の勤務期間であれば同一の付与を行わなければなりません。

特に有期労働契約を更新している場合には、当初の契約期間から通算して勤務期間を計算する必要があります。

教育訓練

現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施する教育訓練については、正社員と同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施を行わなければなりません。

安全管理措置

正社員と同一の職場環境であれば同一の安全管理措置を行わなければなりません。

同一労働同一賃金のメリット

  • 仕事と賃金の関係が一致してわかりやすい
  • 公平な賃金配分ができる
  • 個人の業績や成果が評価される
  • 職務と賃金が直結し、従業員の納得が得られやすい
  • 上位の職務に就けば賃金も上がり、従業員のやる気を引き出す効果がある

同一労働同一賃金のデメリット

  • 職務が変わるたびに賃金を変更しなくてはならない
  • 配置転換がやりにくく、組織が硬直化する
  • 定義された範囲外の仕事にはチャレンジしなくなる
  • 仕事の変化を嫌う傾向が出てくる
  • 高い能力があっても、職務のレベルが低ければ賃金も低くなる

参考:厚生労働省ウェブサイト

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  • 正規労働者と非正規労働者の両方に対して、賃金決定のルールや基準を明確にする
  • 職務な能力等と賃金を含めた待遇水準の関係性が明らかになり、待遇改善が可能になるようにする
  • 教育訓練機会を含めた「能力開発機会」の均等・均衡を促進することで一人ひとりの生産性向上を図る
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