保育士になるためには、保育士の資格を取得する必要があります。
保育士の資格を取得するためには、大きく2つのルートがあります。
1つは指定の「保育士養成校」に通学して、指定の科目を修めて卒業と同時に保育士資格を取得する方法です。
もう1つは各都道府県で実施される「保育士試験」を受験して、筆記と実技の試験に合格して保育士資格を取得する方法です。
働きながら目指すのか、資格取得にかけられる年数や学費など、それぞれの事情によって、どちらのルートがよいかは違ってきます。
20代・第二新卒が保育士を目指すのであれば、今の自分の状況に合ったルートを選ぶことが大切です。
保育士養成校で学ぶルート
保育士養成校とは
保育士養成校とは、厚生労働大臣の指定する保育士を要請する学校や施設のことです。
4年制大学、短期大学、専門学校などの保育士養成施設があります。
保育士養成校に設置された保育士養成課程には、保育士資格を取得するためのカリキュラムが設けられています。
保育士養成校のカリキュラムには、保育現場を体験的に学保育実習も含まれていますので、保育士の仕事について深く学ぶことができます。
夜間部のある養成校に通うか、通信教育課程のある大学や短期大学で学ぶのであれば、仕事を続けながら資格を目指すことができます。
保育士資格を取得できる学校
4年制大学 | 短期大学 | 専門学校 | |
修業年数 | 4年間 | 2~3年間 | 2年間(夜間部の場合は3年間) |
取得可能な資格 |
|
|
|
卒業後の進路 | 保育所、保育所以外の児童福祉施設など | 保育所、保育所以外の児童福祉施設など | 保育所、保育所以外の児童福祉施設など |
年間授業料 | 50~120万円 | 40~100万円 | 12~100万円 |
保育士養成校の専門カリキュラム
- 保育の本質・目的
保育実践の基盤となる理念や考え方、多様な社会資源について学ぶ - 保育の内容・方法
乳児・障がい児など対象別の保育・援助方法や保育の計画づくりなどを学ぶ - 保育の対象の理解
子どもの発達、健康、家族関係など保育実践の対象理解を深める - 保育の表現技術
身体、音楽、造形、言語表現など、保育実践を展開するための表現方法を学ぶ - 保育実習
保育所、障がい児施設などの現場実習 - 総合演習
保育に関する課題にグループ討論などを通して問題解決力を育む
保育士養成校の教養カリキュラム
- 外国語
- 体育(必修)
- その他


保育士試験で資格を取るルート
保育士試験とは
保育士試験は都道府県で実施する保育士になるための試験です。
保育士養成校を卒業しなくても、保育士試験に合格すれば、保育士資格を取得することができます。
筆記試験は1度に全科目に合格できなくても、合格した科目は3年間有効です。
実技試験は筆記試験に合格した人のみが受験できます。
受験資格
- 4年制大学を卒業した人
- 4年制大学に2年以上在学し、62単位以上を修得した人
- 短期大学や専修(専門)学校を卒業した人
- 児童福祉施設で5年以上児童の保護に従事した人
- 高等学校卒業者の場合は、児童福祉施設で2年以上児童の保護に従事した人
- 幼稚園教諭免許の取得者 など
試験日
- 筆記試験:4月、10月
- 実技試験:7月、12月
試験内容
- 筆記試験:マークシート方式
保育の心理学、保育原理、児童家庭福祉、社会福祉、教育原理、社会的養護、子どもの保健、子どもの食と栄養、保育実習理論 - 実技試験:実演による採点
音楽表現に関する技術、造形表現に関する技術、言語表現関する技術
合格率
20%程度
問い合せ
一般社団法人 全国保育士養成協議会
保育士試験のメリット・デメリット


保育士資格の取得支援
厚生労働省では、保育士資格を取得しやすくするための新たな取り組みを実施しています。
保育士試験の年2回実施の推進
- 年1回以上行うこととされている保育士試験について、年2回実施されるよう推進
- 2回目の試験合格者には、3年程度当該都道府県内のみで通用する「地域限定保育士」資格を付与し、3年経過後は地域を限定せずに働くことを可能とする
保育士試験の学習費用支援
保育士試験合格後、保育所等に保育士として勤務することが内定した人に対して、保育士試験受験のためにかかった学習費用の一部を補助する取り組みを行っています。(教育訓練給付などとの併用は不可)
保育士修学資金の貸付制度
貸付を受けた人が、指定保育士養成施設卒業から1年以内に保育士登録を行い、修学資金の貸付けを受けた都道府県の区域内等の保育所等において保育士として5年以上従事したときは、修学資金の返還が免除されます。
転職・就職情報
保育士の資格を取得すると、保育所など児童福祉施設の採用試験を受けて現場に出ることができます。
公立の施設で働くためには、公務員採用試験に合格する必要があります。
活躍の場はベビーシッターや企業内保育所、託児施設などにも広がっています。
まとめ
保育士の資格を取るために学ばなければならない内容はどのルートでも同じですが、専門学校は卒業後すぐに現場で働くことを意識して、より実践的な教育が中心です。
20代・第二新卒が保育士を目指すには、保育士試験に合格するか、養成校の夜間部に通学したり、通信課程を活用すると、仕事を続けながらでも資格を取得することができます。
保育士試験を受験する人には、働いている人や社会人経験者が多くいます。
科目合格を利用して社会人からのキャリアチェンジにも目指しやすい資格になっているといえます。


