派遣社員として働いてきた人が正社員の求人へ応募するときの履歴書・職務経歴書は、アピールしたいことがわかりやすく伝わることがポイントになります。
複数の企業で働いた経験がある場合、職歴がまとめにくくなる可能性があります。
仕事内容を整理して、応募先のニーズに合った経験を積極的にアピールする応募書類を作成しましょう。
派遣経験から正社員の履歴書と職務経歴書の書き方をご紹介します。
派遣から正社員の履歴書の書き方
履歴書とは
履歴書とは、採用選考で提出を求められるもっとも基本的な応募書類のことです。
添付されている写真や記載された内容、書き方などから、人物像、仕事への意欲、正確性などがチェックされます。
市販されている履歴書には、さまざまなタイプがありますので、自分のキャリアにあったものを選ぶことが大切です。
履歴書の項目(例)
- 氏名(ふりがな)
- 生年月日、年齢、性別
- 住所、連絡先
- 学歴・職歴
- 免許・資格
- 志望動機
- 本人希望
履歴書のフォーム
履歴書にはさまざまな形式の用紙があります。
どれでもよいわけではなく、自分の経歴をアピールしやすいものを選ぶようにしましょう。
スタンダードなJIS規格
最も一般的な履歴書でB4、A4、A3など複数のサイズがあります。
学歴・職歴欄が広いものは、余白が目立たないよう記述の仕方に注意が必要です。
未経験者向き
コクヨの「一般用・B5判」は、学歴・職歴欄は左側のみで、右側に特技や性格などヒューマンスキルをアピールできる欄や志望動機欄が広くあります。
未経験職種を希望する人などに向いています。
日本法令の「自己紹介書付き」など似たタイプが複数あります。
経験者向き
日本法令の「転職者用・B4(A3)判」は、学歴は最終学歴のみで、退職理由や出社可能日など選考に必要な項目があります。
派遣経験が5年以上など、キャリアが長い人には、転職者に特化したフォーマットが向いています。
履歴書の書き方
履歴書は入社後の雇用契約における本人確認の基本情報となります。
間違いなく、丁寧に作成しましょう。
日付・氏名・連絡先
日付は提出日、郵送であれば投函する日を記載します。
氏名は戸籍に登録されている通りに正確に記入します。
連絡手段として携帯電話やメールを使う企業が増えましたので、記入欄がなくても空欄を利用して記入することをおすすめします。
学歴
中学卒業から記載することが一般的です。
高等学校以降の学歴は入学・卒業とも年次を記入します。
年次は間違えやすい項目ですので、しっかり確認して記載します。
間違えると経歴詐称とされることもありますので、注意しましょう。
職歴が短い人は、職歴を記入する行が少ない用紙を選び、学歴と職歴の間は一行空けるなど空白が目立たないように工夫します。
職歴
職歴は簡潔に整理することが大切です。
詳細な職務内容は職務経歴書に記載します。
短期間で派遣先が変わったような場合、派遣先が多くて書ききれないこともあるかもしれません。
派遣先の企業をすべて書くのではなく、派遣元である派遣会社を記載して、派遣先での職務内容は職務経歴書に詳しく書きましょう。
免許・資格
免許や資格を記入するのは、応募する業務に役立つ知識や技術があることを伝えることが目的です。
何でも書くのではなく志望動機に関連するものや応用範囲の広い「簿記」「TOEICスコア」「運転免許」などを記載します。
勉強中の資格・スキル
応募企業で役立つ資格・スキルについては、勉強中のものも含めて必ず書き添えましょう。
未経験・キャリアチェンジの応募では特に自ら学ぶ姿勢が問われますので、意欲をアピールできます。
志望動機
志望動機には、これまでの派遣経験を応募先でどう活かせるかを具体的に書きます。
派遣から正社員の職務経歴書の書き方
職務経歴書とは
職務経歴書とは、転職などの採用選考で提出する応募書類のことで、履歴書より職務内容を詳細に記載した文書です。
実務能力や経験を重視する転職の採用選考では、多くの場合、履歴書と職務経歴書の内容をもとに書類審査が行われます。
一般的に書類審査を通過した人に対してのみ、面接が行われますので、転職の採用選考における職務経歴書の重要度は高いといえます。
職務経歴書の役割
- 求められている経験やスキルがあることを伝える
- 未経験や不足しているスキルは勉強中であることを示す
- 伝えたいことをわかりやすくまとめる
派遣経験者の必須内容
派遣経験者の職務経歴書には、応募先から求められている能力を理解して、活かせる経験やスキルを中心に記載することが大切です。
アピール度の高い経験
派遣社員の経験だけであっても、応募先のニーズと合致する経験やスキルは評価されます。
応募先が求めている実務経験やスキルを積極的にアピールします。
職務内容
職務内容は具体的に記載します。
チーム体制や担当人数、処理件数などまで入れると、採用担当は任せられる業務をイメージしやすくなります。
仕事の取り組み姿勢
派遣社員の立場からでも会社に貢献するためにした工夫や努力を記載します。
自分なりに工夫や努力したことから、仕事に対して前向きな姿勢を示すことができます。
退職理由
契約満了で退職などわかりやすく記載します。
転職理由として、今後の目標やキャリアプランを積極的に示すこともアピールになります。
正社員を希望する理由
正社員になりたいと考えた理由や勤続意思を自己PRなどに記載します。
派遣経験者のアピールポイント
正社員になりたいということではなく、求められている能力があること、いかに貢献できるかということをアピールします。
事業内容・応募職種などのマッチング
事業内容や応募職種など求人の内容と自分の経験・スキルが合っていることをアピールします。
漠然とした内容ではなく、具体的に自分とマッチすることを説明して売り込みましょう。
即戦力になる経験・資格・スキル
同じ職種の実務経験や同じ業界での商品知識などがアピール材料になります。
応募先ですぐに役立つ内容をアピールすると効果的です。
適性や意欲
未経験であっても応募先に関連する資格や専門知識、応用できそうなスキルがあることを示して適性や意欲をアピールしましょう。
企業への共感
経営理念や商品への共感も志望動機に深く関係するアピールポイントです。
マニュアル通りではなく、実際に経験したことや感じたことを自分の言葉で表現することで好印象につながります。
職務経歴書のフォーマット
職務経歴書には主に「編年体形式」と「キャリア形式」があります。
職歴が短い場合は、ベーシックな「編年体形式」をおすすめしますが、短期派遣が多かった場合などは、職務内容別にまとめる「キャリア形式」で、わかりやすくまとめることをおすすめします。
編年体式
経歴を古いものから順に時系列にまとめて書く形式です。
派遣元である派遣会社(または派遣先企業)ごとに職務内容、実績を記載します。
古い方から書くのが一般的ですが、最新のものから書く形式(逆編年体形式)もあります。
キャリア式
時系列ではなく、職務内容ごとに経歴をまとめる書き方です。
基本的な構成は、経歴の要約と職歴を職種別、職務別、取扱商品別などキャリア(同じ業務)ごとにまとめて記載する形式です。
「事務関連の業務」「営業サポートの業務」などにまとめるのもひとつの方法です。
職務経歴書の書き方
これまでの経験やスキルで応募先に貢献できること、正社員としてしか実現できないことが伝わるようにまとめます。
経歴要約
全体の職歴を概略で示します。
業種・規模・職種を盛り込み、3~5行程度で簡潔に記入します。
職務内容
職務内容のまとめ方は経歴と応募先のニーズを考えて決めます。
応募先に関連がある経験を優先して記載します。
どこで働いていたかより、どんな働き方をしていたか、最もアピールになるものを中心に詳しく書きましょう。
保有資格・スキル
応募先に関連する資格やスキルもアピール材料です。
【保有資格】【PCスキル】【語学スキル】など見出しをつけて積極的にアピールしましょう。
自己PR
派遣社員から正社員を希望する場合に、受け身の姿勢は評価されません。
正社員でしか実現できないことや今後の目標など熱意を伝えることで説得力がアップします。
正社員として長く勤務する意思が伝わることも大切です。
まとめ
派遣社員のみの経験であっても、受け身で仕事をしていたという印象をもたれないように職務経歴書を作成することが大切です。
工夫・努力してきたこと、関連する資格やスキル、正社員への意欲、今後の目標などをキーワードに自分なりのアピール材料を集めて作成しましょう。
参考:職務経歴書の基本構成
職務経歴書
20××年×月×日
氏名○○ ○○
【職務内容】
具体的な仕事内容や実績を伝えます。アピールになるアルバイト経験や派遣社員経験は記載して大丈夫です。
- 勤務先、入社・退社年月、所属、職種
- 経験した業務の詳細・実績
- 勤務先での評価、表彰、受賞、昇格、後輩指導など
【資格・スキル】
応募企業に役立つ知識や技能を伝えます。
- 免許・資格・スキルレベル
- 業務に関連する学歴、自己啓発
【転職理由・自己PR】
入社意欲や求人ニーズに合った適性や強みを伝えます。
- 転職(退職)理由
- 自己PR
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス