ビジネスパーソンが働きやすさとして、主に重視しているのは
「休暇の取りやすさ」
「実労働時間の適正さ」
「社員の定着性」
「育成・研修の充実」
などです。
それらの情報について、入社前に確認できればいいのですが、実際の働きやすさはなかなか外からは見えないものです。
働きやすいホワイト企業は、どのように見つければよいのでしょうか?
ホワイト企業の特徴
ホワイト企業とは
ホワイト企業とは、「ブラック企業」に対して、一般的に労働環境や福利厚生が整っていたり、離職率が低いなど、働きやすい環境が整った企業のことを指して使われています。
厚生労働省では「安全衛生優良企業公表制度」をはじめとして、「ユースエール認定」や「くるみん・プラチナくるみん認定」、「えるぼし・プラチナえるぼし認定」など、客観的にホワイト企業を認定する動きを進めています。
また経済産業省(日本健康会議)では、健康経営優良法人として「大規模法人部門(ホワイト500)」、「中小規模法人(ブライト500)」を認定しています。
ユースエール認定制度
若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
くるみん・プラチナくるみん認定
育児休業の取得や時短勤務など子育てサポートを推進する企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
「くるみん認定企業」のうち、両立支援制度の導入や利用が進み、高い水準の取り組みを行っている企業については、「プラチナくるみん認定」を行い、継続的な取り組みを促進しています。
えるぼし認定・プラチナえるぼし認定
女性の活躍に関する取り組みの実施状況が優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
「えるぼし認定企業」のうち、目標達成や女性の活躍推進に関する取り組みが特に優良な企業については、「プラチナえるぼし認定」を受けることができます。
健康経営優良法人
健康経営に取り組む優良な法人を見える化するために、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人を日本健康会議が認定しています。
ホワイト企業のチェック項目
働きやすいかどうか、外からはなかなかわかりにくものですが、働きやすい会社の目安となる項目があります。
採用者数・離職者数
成長している企業は採用数も多いですが、事業拡大のために採用するのか、辞める人が多いから補充のために採用するのか。
従業員数と採用数のバランスを確認します。定着率が高い企業は働きやすいである可能性が高いです。
平均勤続年数
勤続年数が短いのは、従業員が辞めるからだけでなく、創業からの期間が短かかったり、急成長中の企業ということもあります。
平均勤続年数の長い企業は働きやすい一方で、ずっと固定メンバーで働くということでもあり、活力にかけると感じる人もいるかもしれません。
月平均所定外労働時間
法律で決められている月45時間、年360時間が、上限の目安になります。
残業が多いとブラック企業と判断される傾向がありますが、成長中の企業には勢いがあり、残業も多くなる傾向があります。
残業時間だけでなく、休暇取得状況や離職率とあわせて、メリハリのある働き方ができているかどうか総合的な判断をする必要があるでしょう。
年次有給休暇の平均取得日数
年次有給休暇は付与日数より消化日数が重要です。
付与日数が多くても、実際に取得できない状況であれば、消化日数は少なくなります。
厚生労働省の調査(2022年)では、企業が付与した年次有給休暇日数は、1人平均17.6日、そのうち取得した日数は 10.3日で、取得率は 58.3%となっています。
現実的な目安は取得日数10日程度、取得率50%程度といえるでしょう。
夏休みや年末年始を有休と合わせて長期休暇にすることもよくあることですので、セットでチェックしましょう。
育児休業の取得対象者数・取得者数(男女別)
育児休業の取得は子育て支援に積極的かどうかがわかります。
法律で定められた以上のサポート体制が整っていれば働きやすい企業といえるでしょう。
さらに重要なのは、制度があるだけでなく、取得している人がどれだけいるかです。
役員・管理職の女性割合
女性の活躍推進に積極的かどうかがわかります。
女性が働きやすい会社は男性も働きやすい会社である可能性が高いので、男性にとっても大切なポイントになります。
業界水準、新入社員とのバランスなどとセットで確認します。
人材育成施策など
人事評価制度やフィードバックの有無などにその企業の人材育成方針があらわれています。
ホワイト企業の認定
安全衛生優良企業(ホワイトマーク)
安全衛生優良企業とは、働く人の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善しているとして、厚生労働省から認定を受けた企業のことです。
認定を受けるためには、過去3年間に労働安全衛生関連の重大な法違反がないなどの基本事項に加えて、働く人の健康保持増進対策、メンタルヘルス対策、過重労働防止対策、安全管理など、幅広い分野で積極的な取り組みを行っていることが求められます。
認定基準が高く、認定されればホワイト企業の証といえるでしょう。
認定の基準
- 労働安全衛生法等の違反状況
- 労働災害発生等の状況
- 優良企業としてふさわしくない事項
- 安全衛生体制の状況
- 安全衛生全般の取り組み
- 安全衛生活動を推進するための取り組み
- 健康で働きやすい職場環境の整備
- 安全でリスクの少ない職場環境の整備
ホワイト企業の紹介
企業名 | 業種 | 所在地 |
丸紅オフィスサポート株式会社 | その他の事業 | 東京都 |
有限会社ファン工業 | 製造業 | 大分県 |
株式会社マタハリー | 接客娯楽業 | 神奈川県 |
アイ・インテグレーション株式会社 | 通信業 | 東京都 |
株式会社ニチレイ | その他の事業 | 東京都 |
株式会社タレントアンドアセスメント | その他の事業 | 東京都 |
株式会社岩手銀行 | その他の事業 | 岩手県 |
株式会社メルコエアテック | その他の事業 | 岐阜県 |
日鉄工材株式会社 | 製造業 | 新潟県 |
西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社 | 建設業 | 福岡県 |
ローム・ワコー株式会社 | 製造業 | 岡山県 |
日本ウェブサービス株式会社 | その他の事業 | 大阪府 |
BSP社会保険労務士法人 | その他の事業 | 東京都 |
株式会社荒木組 | 建設業 | 岡山県 |
株式会社ケンコー | その他の事業 | 東京都 |
株式会社ドリームホップ | その他の事業 | 東京都 |
エージェントグロー | その他の事業 | 東京都 |
有限会社南成土木 | 建設業 | 沖縄県 |
望月経営労務管理事務所 | その他の事業 | 静岡県 |
バイオニアシステムテクノロジー株式会社 | その他の事業 | 宮城県 |
平井建設株式会社 | 建設業 | 島根県 |
トヨタテクニカルディベロップメント | その他の事業 | 愛知県 |
社会福祉法人聖光会 | 保健衛生業 | 山口県 |
一般社団法人かながわ土地建物保全協会 | その他の事業 | 神奈川県 |
駿河重機建設株式会社 | 建設業 | 静岡県 |
株式会社フィデア情報総研 | その他の事業 | 秋田県 |
登録管理ネットワーク株式会社 | その他の事業 | 東京都 |
株式会社出口工業 | 建設業 | 千葉県 |
株式会社SMMプレシジョン | 製造業 | 秋田県 |
三周全工業株式会社 | 製造業 | 愛知県 |
富士フイルム九州株式会社 | 製造業 | 熊本県 |
株式会社システム開発 | その他の事業 | 宮崎県 |
トヨタ自動車株式会社 | 製造業 | 愛知県 |
(厚生労働省「安全衛生優良企業公表制度」より)
まとめ
ブラック企業というイメージがつくと、それを変えることは難しいため、企業はできるだけよい情報を出そうとします。
転職・就職希望者が必ずしも正確な情報を収集できるとは限りませんが、厚生労働省の「安全衛生優良企業公表制度」など客観的にホワイト企業を認定する動きが進んでいます。
企業情報がどれだけ開示されているかで、企業の情報提供の姿勢がわかります。
よい情報も不都合な情報も開示していくことが、社会的な信用につながります。
積極的に情報を開示しているかどうかは、ホワイト企業を選ぶ重要なポイントのひとつといえます。
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・経済産業省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス