はじめて転職する人が
「いつ頃、転職しようか…」
「退職するのはいつがいいのだろうか…」
と考えるときに注意したいのは、勤続年数です。
勤続年数によって、受けられる権利が変わってきますので、人によっては大きな差が出ます。
退職を決めたあとで、後悔しないよう事前に知っておくことが大切です。
退職時期はいつがお得?
退職と勤続年数
退職とは、企業と従業員との雇用契約(労働契約)を終了することです。
雇用関係にある企業と従業員には、さまざまな義務と権利が発生しています。
雇用関係がなくなると基本的に義務も権利もなくなりますので、退職する前に受けられるはずの権利を確認しておきましょう。
雇用契約の終了
- 期間の満了:有期雇用契約の終了
- 合意退職:双方の合意による契約終了
- 解雇:企業からの契約解消
- 定年:定年制の年齢到達による契約終了 など
勤続2ヵ月のメリット
2ヵ月以上勤務すると、退職後に健康保険の「任意継続」制度を利用できるようになります。
この制度は「継続して2ヵ月以上の被保険者期間」のある人が企業を辞めると、最長2年間、継続して健康保険を利用できるというものです。
健康保険任意継続被保険者
退職時の給与をベースとして算定され、企業が負担していた部分と合わせた保険料が発生します。
保険料負担が両者折半であったとすれば、単純計算で在職中の2倍の保険料額になるといえます。
資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に申請しなければ権利を失います。
国民健康保険被保険者
扶養家族を含めて一人ひとりに保険料が発生します。
保険料は市区町村に家族構成や資産を含めて世帯全体で保険料がいくらになるかを確認する必要があります。
退職後14日以内に市区町村に届け出て加入します。
勤続6ヵ月のメリット
6ヵ月以上勤務すると、年次有給休暇が発生します。
また会社都合などで退職する場合に、雇用保険(基本手当)の受給要件に差がでます。
会社都合のうち、企業の倒産や解雇などの理由で離職した人は「特定受給資格者」といいます。
期間の定めのある雇用契約が満了し、本人が更新を希望したのに契約更新されずに離職した人、および体力不足や疾病など一定の正当な理由により自己都合退職した人などは「特定理由離職者」といいます。
いずれかに該当するとハローワークが判断すれば、基本手当の受給要件が緩和されます。
年次有給休暇の発生
雇い入れの日から6ヵ月継続勤務して全労働日の8割以上出勤した場合、企業は10日の年次有給休暇を付与しなければならないことが法律で定められています。
6ヵ月未満で退職してしまうと、年次有給休暇を取得することができません。
雇用保険の基本手当
基本手当(いわゆる失業保険)を受給するには、原則として「離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること」が必要ですが、
特定受給資格者、特定理由離職者などの離職では「離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヵ月以上あること」が受給要件になっています。
勤続1年のメリット
1年以上勤務すると、メリットが増えます。
特に自己都合で退職するなら、この「1年」の節目は大きなポイントになります。
雇用保険の基本手当
自己都合退職では「離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヵ月以上あること」が基本手当の受給要件になっています。
1年以上勤務すると、自己都合で退職しても失業保険を受給することができるようになるということです。
多くの人は自己都合で退職していますので、この節目は大きいといえます。
健康保険の「継続給付」
退職しても要件に該当すれば、加入していた健康保険から受けられる給付があります。
「傷病手当金」「出産手当金」「出産育児一時金」は「退職日までに継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること」が、給付を受給できる要件のひとつになっています。
育児休業・介護休業給付金
育児休業・介護休業中の給付金は「休業開始日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12ヵ月以上あること」が受給要件になっています。
みなし被保険者期間とは、離職していなくても給付する「育児休業給付」「介護休業給付」の被保険者期間を算定するために、休業を開始した日を退職した日とみなして算定することから呼ばれています。
勤続3年のメリット
3年以上勤務すると、雇用保険の「教育訓練給付金」を受給できるようになります。
この制度は資格取得などスキルアップのために受講する講座の費用の一部(上限あり)を雇用保険が支給してくれるというものです。
雇用保険の「教育訓練給付金」
在職者あるいは企業を辞めて1年以内で「被保険者期間が3年以上(初回のみ1年以上)あること」が受給要件になっています。
スキルアップを目指す20代では積極的に活用したいおすすめの制度です。
勤続5年のメリット
5年以上勤務すると、雇用保険の基本手当は会社都合退職の場合、全年齢で給付日数が増えます。
雇用保険の基本手当
30歳未満の特定受給資格者、特定理由離職者で「被保険者期間が1年以上5年未満」の給付日数は、90日であることに対して、「被保険者期間が5年以上10年未満」の給付日数は、120日になります。
転職市場・市場価値の調査
転職市場の動向
退職する時期は多くの人が自分の都合で決めています。
明確な時期を決められない人は、仕事のオファーがあるとき、自分の市場価値が高いときにするのも選択肢のひとつといえます。
転職市場が厳しい時期には、転職先が決まる前に退職することはあまりおすすめできません。
市場価値診断サービス
転職市場での市場価値とは、経歴や職務内容、スキル、適性などから年収相場を示したもののことです。
転職市場が活発化し、転職した場合に年収がどのくらいになるのか、どのような適性があるのかなどを診断するサービスが増えています。
人材が不足して、転職市場が売り手の場合には、給与は上昇し、景気が後退して、人材が過剰となると給与の上昇は鈍くなります。
自分と似たキャリアの人が、どんな仕事にどのくらいの年収で転職できたか、興味のある仕事にどんなキャリアの人が転職できているのかなど、転職のヒントとなる情報を得ることもできます。
診断サービスのメリット(例)
- 適正年収・想定オファー年収がわかる
- 自分に関心をもっている企業がわかる
- 希望に合致した企業の面接確約オファーが届く
- 転職事例を見ることができる
- 業界の動向を知ることができる
まとめ
退職時期のタイミングよっては、大きく得したり損したりすることがあります。
第二新卒・20代で転職を考えている人であれば、初回は1年以上の被保険者期間で利用できる雇用保険の「教育訓練給付金」を活用しない手はありません。
資格取得やスキルアップに活用すれば、ワンランク上の転職を目指すことができるでしょう。
参考:厚生労働省ウェブサイト