ドラッグストアは一般用医薬品や化粧品、日用品、食品などを販売する小売業態です。
売上高で百貨店を上回り、市場の拡大を続けています。
転職・就職で押さえておきたいドラッグストア業界の概要と動向についてご紹介します。
ドラッグストア業界の最新動向(2024年)
ドラッグストアとは
ドラッグストアは、医薬品や化粧品、健康食品など健康や美容に関する商品を中心として、家庭用品、加工食品などをセルフサービスで提供する小売りの業態です。
かつては調剤を行わないドラッグストアが多かったのですが、調剤を併設するドラッグストアが増え、調剤強化型と食品強化型の2極化が進んでいます。
コロナ禍においても積極的な新規出店や調剤事業の拡充で、ドラッグストア市場は好調を維持してきました。
M&Aを含めた規模拡大が続き、業界再編が進んでいます。
薬局・ドラッグストアの区分
業態 | 調剤 | 医薬品 | 資格者 |
薬局 | 可 | すべての医薬品 (調剤薬、一般用医薬品) | 薬剤師 |
店舗販売業 | 不可 | 一般用医薬品 (薬剤師がいない場合は第1類医薬品以外) | 薬剤師または 登録販売者 |
※店舗販売業:薬局以外の医薬品小売
ドラッグストア大手
ドラッグストア業界の成長率は鈍化傾向ですが、業績はおおむね好調です。
市場競争が激化するなか、異業種との差別化に力を入れています。
ウエルシアホールディングス
イオンのドラッグストア連合。
ドラッグストアではじめて売上高1兆円を達成しました。
約8割が調剤薬局併設店です。
- 売上高:1兆1,442億円
- 従業員数:14,865人
- 平均年齢:59歳
- 店舗数:2,751店
- 子会社:ウエルシア薬局、シミズ薬品
ツルハホールディングス
北海道で圧倒的なシェア。
M&Aなどで北海道以外にも勢力を拡大しています。
- 売上高:9,700億円
- 従業員数:10,855人
- 平均年齢:46歳
- 店舗数:2,589店
- 子会社:ツルハ、くすりの福太郎
マツキヨココカラ&カンパニー
マツモトキヨシホールディングスとココカラファインが経営統合。
都市型店を中心として、全国に店舗があります。
- 売上高:9,512億円
- 従業員数:13,657人
- 平均年齢:48歳
- 店舗数:3,409店
- 子会社:マツモトキヨシ、ココカラファイン
コスモス薬品
九州を中心に食品主体のドラッグストアを展開。
関西にも積極的に出店し、勢力を東に拡大しています。
- 売上高:8,276億円
- 従業員数:4,929人
- 平均年齢:31歳
- 店舗数:1,312店
サンドラッグ
首都圏中心に九州などへも拡大。
業界随一の低コストを実現しています。
FC展開にも定評があります。
- 売上高:6,904億円
- 従業員数:6,371人
- 平均年齢:34歳
- 店舗数:1,380店
スギホールディングス
愛知地盤として関西・関東に展開。
中核の「スギ薬局」では全店舗で調剤を行うなど、調剤併設型に強みがあります。
- 売上高:6,676億円
- 従業員数:7,727人
- 平均年齢:47歳
- 店舗数:1,565店
クリエイトSDホールディングス
神奈川地盤。
食品に強みがあります。
- 売上高:3,809億円
- 従業員数:4,459人
- 平均年齢:52歳
- 店舗数:747店
クスリのアオキホールディングス
北陸地盤。
食品スーパーを買収し、生鮮も拡大しています。
- 売上高:3,788億円
- 従業員数:3,784人
- 平均年齢:36歳
- 店舗数:876店
富士薬品グループ
置き薬・配置薬事業で成長。
「セイムス」などを展開しています。
- 売上高:3,730億円
- 従業員数:19,362人
- 店舗数:1,365店
カワチ薬品
北関東地盤。
大型郊外店を中心に展開しています。
- 売上高:2,818億円
- 従業員数:2,770人
- 平均年齢:36歳
- 店舗数:364店
ナチュラルホールディングス
九州地盤。
「ドラッグストアモリ」などを展開しています。
- 売上高:2,531億円
- 従業員数:11,343人
- 店舗数:530店
その他のドラッグストア
- 中部薬品
- Genky DrugStores
- 薬王堂ホールディングス
- セキ薬品
- サツドラホールディングス
- トモズ
- ダイコク など
ドラッグストア業界の採用市場
ドラッグストアの組織・職種
チェーンドラッグストアの組織は本部と店舗に分かれています。
本部では仕入れや販売計画、管理業務など行い、店舗では販売業務を行います。
本部
- 営業部門
・店舗開発
・店舗管理
・商品開発
・物流 - 管理部門
・システム管理
・人事総務
・経理財務
・法務
店舗
- 店長
ストアマネジャー - マネジャー
営業と業務管理の責任者 - スペシャリスト
・薬剤師
・登録販売者
・管理栄養士
・ビューティアドバイザー - スタッフ
・一般社員
・パートタイマー
登録販売者
登録販売者は、かぜ薬などの一般用医薬品を販売するための専門資格です。
薬剤師が不在でも市販薬を販売することができます。
登録販売者は、医薬品の専門家として、ドラッグストアや24時間営業を取り入れる薬局、またコンビニエンスストアでの一般用医薬品販売において欠かせない存在になっています。
まだ資格保有者が少ないことから、キャリアアップにも有利です。
ドラッグストアの求人・転職
ドラッグストアでは調剤事業が急拡大し、薬剤師の獲得競争が激しくなっています。
店舗では20代にも昇進のチャンスがあり、よりよい条件を求めて転職市場は非常に活発です。
ドラッグストア(各種商品小売業)の給与
区分 | 20~24歳 | 25~29歳 | 46.4歳 (平均) |
所定内労働時間 | 159時間 | 159時間 | 157時間 |
残業 | 8時間 | 8時間 | 5時間 |
月収 | 229,500円 | 254,100円 | 286,500円 |
年間賞与等 | 280,900円 | 532,900円 | 564,800円 |
年収 | 2,849,800円 | 3,630,600円 | 4,018,600円 |
(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より)
ドラッグストアの転職活動
ドラッグストア、薬剤師の転職市場は活発ですので、転職活動では業界の動向に精通したサービスを上手に活用することをおすすめします。
エージェントサービスでは業界や職種に精通したキャリアアドバイザーのサポートを受けることができます。
非公開・好条件の求人紹介だけでなく、書類作成や面接対策のアドバイスなどで選考通過率のアップが期待できます。
まとめ
ドラッグストアは出店で規模を拡大してきましたが、淘汰やM&Aなど業界再編が進んでいます。
各社は独自の戦略で成長を追求しています。
【参考】
・一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会
・各企業公式サイト
・日本経済新聞出版『日経業界地図2024年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2024年版』