旅行・観光業界には専門性を活かして働くことのできる資格があります。
転職やキャリアアップでは、それぞれの専門性だけでなく、文化や歴史に精通していること、語学力がアピールになります。
旅行・観光業界で役立つおすすめ資格をご紹介します。
旅行・観光業界で役立つ資格
旅行業務取扱管理者
旅行業務取扱管理者は、旅行会社の営業所には1人以上置くことが法律で定められている国家資格です。
扱う旅行の範囲の違いにより「総合旅行業務取扱管理者」「国内旅行業務取扱管理者」「地域限定旅行業務取扱管理者」の3種類の資格があります。
旅行に関する実務知識を備えた即戦力であることを証明できるので、旅行業界の転職、キャリアアップに有利です。
- 総合旅行業務取扱管理者:国内・海外両方の旅行業務を取り扱う
- 国内旅行業務取扱管理者:国内の旅行業務を取り扱う
- 地域限定旅行業務取扱管理者:営業所所在地隣接範囲の旅行業務を取り扱う
受験資格
制限なし
試験日
- 総合:10月
- 国内:9月(CBT方式)
- 地域限定:9月
試験地
- 総合旅行業務取扱管理者試験
北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県、沖縄県 - 国内旅行業務取扱管理者試験
全国47都道府県のCBT試験会場 - 地域限定旅行業務取扱管理者試験
2~3ヵ所
試験内容
- 総合
①旅行業法及びこれに基づく命令
②旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
③国内旅行実務
④海外旅行業務 - 国内
上記①②③ - 地域限定
①②③のうち②航空運賃約款③全国地理及び航空運送関係を除く
合格率
- 総合:10~20%
- 国内:30~40%
- 地域限定:45%程度
問い合わせ
- 総合:一般社団法人 日本旅行業協会
- 国内:一般社団法人 全国旅行業協会
- 地域限定:観光庁
転職・就職情報
旅行に関する実務的な知識を備えている即戦力であることをアピールできます。
旅行業界、旅行に関連するホテル、レジャー産業などの転職・就職だけでなく、待遇アップにも有利です。
旅行業務取扱管理者試験のおすすめテキスト
旅程管理主任者(添乗員)
添乗員(ツアー・コンダクター)は、旅行会社が企画や手配したツアーに同行して、ツアーを安全でスムーズに進めることが役割です。
主催旅行に加え、新企画旅行(募集型・受注型)の主任添乗員には旅程管理主任者の資格取得が義務づけられています。
国内のみ添乗できる「国内旅程管理主任者」と国内海外両方に添乗できる「総合旅程管理主任者」の2種類の資格があります。
添乗員資格
- 国土交通大臣の登録を受けた機関が実施する旅程管理研修の修了者(合格者)であること
- 一定の添乗実務を経験していること
研修内容
旅行業法、国内添乗実務、海外添乗実務、添乗外国語(英語)
問い合わせ
一般社団法人 日本添乗サービス協会
転職・就職情報
旅行会社に入社して業務の一部として添乗員の仕事をするケースと、添乗員派遣会社から旅行会社へ出向いて仕事をするケースがあります。
添乗を専門とするのであれば派遣会社への登録が一般的です。
全国通訳案内士
全国通訳案内士は、外国からの観光客への通訳や観光案内をする通訳ガイドの国家資格です。
幅広い知識、教養をベースに日本を紹介することが求められます。
対象言語は英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語など10ヵ国です。
通訳案内士の業務独占規制が廃止され、資格を持たない人でも有償で通訳案内業務を行えるようになりましたが、資格を持たない人は「通訳案内士」の名称を使うことはできません。
国家試験に合格して、都道府県の登録を受けた人が全国通訳案内士になれます。
地域通訳案内士制度を導入している自治体では、研修を受講して、登録すると地域通訳案内士になることができます。
受験資格
制限なし
試験日
- 筆記試験:8月
- 口述試験:12月
試験地
- 筆記試験:札幌、東京、大阪、福岡、沖縄
- 口述試験:東京、大阪
試験内容
【筆記試験】
- 外国語についての筆記試験
- 日本語による筆記試験
・日本地理
・日本歴史
・日本の産業、経済、政治および文化に関する一般常識
・通訳案内の実務
【口述試験】
通訳案内の実践的能力について判定
合格率
10%程度
問い合わせ
独立行政法人 国際観光振興機構
転職・就職情報
旅行会社、通訳派遣会社などへの転職・就職で有利になります。
またフリーランスとして活動する人も多くいます。
英語と中国語の受験者が増えています。
通訳案内士試験のおすすめテキスト
観光英語検定
観光旅行英語検定は、旅行・観光業界、ホテル、レストランなどで働くうえで、必要とされる英語能力を問う検定です。
1級レベルは、2~3年以上の旅行業務経験者が対象ですので、旅行・観光業界の転職では1級を目指したいところです。
訪日外国人客が増えたことで、国内向けサービスにおいても観光英語が重視されるようになりました。
受験資格
制限なし
試験日
10月(2・3級は6月にも実施)
試験地
札幌、仙台、東京、横浜、金沢、名古屋、大阪、神戸、広島、松山、福岡、熊本、那覇
試験内容
【1級】筆記、ネイティブとの面接
以下の範囲での観光・旅行業に必要な実務英語
- 場所(各種受付、誤解と説明、入国審査など)
- 状況(苦情と謝罪、要求と情報提供、予約および変更・キャンセルなど)
- 文書(ファクシミリ、チケットなど)
- 専門知識(航空会社・ホテルなどで使われる略語や専門用語)
- その他(世界各国の文化や習慣、国際儀礼)
【2級】筆記、リスニング
予約関連業務、ホテル関連業務、出入国に関する手続き、機内放送などのアナウンス、食事、通貨、交通機関など観光・旅行業務に必要となる基本的な英語による日常会話
合格率
- 1級:8%程度
- 2級:55%程度
- 3級:60%程度
問い合わせ
全国語学ビジネス観光教育協会
転職・就職情報
旅行会社やホテル、空港ターミナル、交通機関、レストラン、デパート、商業施設、銀行など活用できる場が広がっています。
観光英語検定の参考書(1・2級)
TOEIC(R)L&Rテスト
TOEIC(R)L&Rテストは、英語で聞く・読む能力を測定するテストです。
英語を必要とする仕事ではもちろん、日常的な英語使用の有無を問わず、幅広くサービス業界で評価されます。
受験資格
制限なし
試験日
毎月1回(午前と午後の2回)
※10月は月2回実施
試験地
全国のエリアごとの試験会場
試験内容
マークシート方式
- リスニングセッション:約45分・100問
・写真描写問題
・応用問題
・会話問題
・説明文問題 - リーディングセッション:75分間・200問
・短文穴埋め問題
・長文穴埋め問題
・1つの文書/複数の文書
スコアのレベル
- 860以上
Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる - 730~860未満
どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている - 470~730未満
日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる - 220~470未満
通常会話で最低限のコミュニケーションができる - 220未満
コミュニケーションができるレベルに至っていない
企業が期待するスコア例
- 新入社員:450~650以上
- 中途採用:585~795以上
- 技術部門:480~720以上
- 営業部門:525~775以上
- 国際部門:655~865以上
問い合わせ
一般社団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
転職・就職情報
旅行業界はもちろん、企業のグローバル化が進み、転職・就職、昇格・昇進、海外赴任などあらゆるキャリアステージで活用できます。
TOEICテストの公式問題集
インバウンド実務主任者認定試験
インバウンド実務主任者認定試験は、インバウンドに関する様々な知識を持ち、インバウンドビジネスを展開する能力を認定する試験です。
インバウンドビジネスに必須の知識を身につけることができます。
受験資格
制限なし
試験日
年2回
試験地
オンライン受験(全国の実施会場)
試験内容
- 観光総論
- インバウンド総論
- インバウンドの現状と動向
- インバウンドと消費
- インバウンドとビジネス
- インバウンドとニューツーリズム
- 訪日外国人の理解
- 訪日外国人への対応
- インバウンドの集客
- インバウンドとテーマ別観光まちづくり
- テーマ別選択問題
合格基準
合計得点80%以上
合格率
- 1級:5%程度
- 2級:40%程度
問い合わせ
一般財団法人 全日本情報学習振興協会
転職・就職情報
外国人観光客が増加するなか、インバウンドビジネスの重要度は高まっています。
旅行・観光業界のあらゆるインバウンドビジネスに役立てることができます。
インバウンド実務主任者認定試験の公式テキスト
トラベル・カウンセラー制度
トラベル・カウンセラー制度は、旅行業のプロを認定する旅行業界独自の資格制度です。
資格の認定を受けるには、養成講座を修了し、旅行業での実務経験が必要となります。
エリア・スペシャリスト
海外旅行で人気の国や地域の知識をエリア単位で習得します。
学習や修了試験はすべてウェブサイト上で実施されます。
修了試験に合格し、要件を満たすと「エリア・スペシャリスト」として認定されます。
問い合わせ
一般社団法人 日本旅行業協会
まとめ
コロナの影響から回復傾向にある旅行・観光業界は、転職・就職においても人気が復活することが見込まれます。
語学力はもちろんですが、これまで以上に業界の知識や文化の理解が求められるようになっています。
資格を取得することは戦力になれる能力を証明することに役立ちます。
【参考】
・観光庁ウェブサイト
・各試験実施機関ウェブサイト