小売業は流通の最終段階のビジネスです。
商品が消費者に渡るまでの役割は広範囲で、さまざまなビジネスがあります。
幅広い業務があり、どの業務を経験しても小売業界でのキャリアアップに活かすことができるといえます。
転職・就職に役立つ小売業の業態と職種についてご紹介します。
小売業の種類
小売業とは
小売業とは、「日本標準産業分類」では次の業務を行う事業と定義しています。
- 個人用または家庭用消費のために商品を販売するもの
- 建設業、農林水産業、製造業、運輸業、飲食店、宿泊業、病院、学校、官公庁等の産業用使用者に少量または少額に商品を販売するもの
分類される事業
- 各種商品小売業
・百貨店
・総合スーパーマーケット
・コンビニエンスストア
・ドラッグストア
・ホームセンター
・均一価格店
・その他 - 織物・衣服・身の回り品小売業
・紳士服、婦人服、子供服
・靴、鞄
・下着 - 飲食料品小売業
・各種食料品
・野菜、果実
・その他 - 機械器具小売業
・自動車
・自転車
・電気機械器具 - その他の小売業
- 無店舗小売業
小売業のビジネス
小売業は流通の最終段階で消費者に商品を売る事業です。
消費者へ商品の情報提供、取引、決済と商品をメーカーから消費者に渡すまで保管する機能があります。
小売業界にはさまざまな業態があり、再編を繰り返し、勢力図を塗り替えてきました。
百貨店にかわりスーパーマーケットの市場が拡大し、ECが台頭したことで、小売業界のあり方が大きく変化しています。
競争は激化し、業態を越えた再編も起こっています。
百貨店
百貨店は衣・食・住にわたる各種の商品を一括して小売する事業を展開しています。
百貨店には主要都市を中心に店舗展開する全国型百貨店と地元に密着した地方百貨店があります。
市場縮小が続くなか、経営統合や業務提携など業界再編が続いています。
- 全国型百貨店
- 地方百貨店
スーパーマーケット
スーパーマーケットには食品から衣料品などを扱う総合スーパーと食品に特化したスーパーがあります。
ネットスーパーの利用者が急増するなど、各社は新しい生活様式に対応したサービスの拡充を進めています。
- 総合スーパー
- 食料品スーパー
コンビニエンスストア
コンビニエンスストアは食料品や日用雑貨などを扱う小型店で、フランチャイズ方式が主流となっています。
成長を続けてきましたが、競争の激化や人材不足など経営環境は厳しさを増しています。
ドラッグストア
ドラッグストアは一般用医薬品や化粧品、日用品、食品などを販売する業態です。
調剤事業を拡大し、店内の薬局併設が増えています。
食品強化型のドラッグストアが好調です。
専門店等
さまざまな業態がある小売業界で、専門店が存在感を増しています。
- ホームセンター、ディスカウントストア、100円ショップ
- 家電量販店
ショッピングセンター
ショッピングセンター(SC)は商業・サービス施設の集合体です。
人気テナントを集めるなど、単独店よりも高い集客力が期待できます。
- 複合商業施設
- 駅ビル
- ファッションビル
- 郊外型大型SC
- アウトレットモール
無店舗販売
無店舗販売は店舗を持たず、カタログやテレビ、インターネットなどで広告をして、通信販売を行います。
通信販売はネット通販(EC)が主流となり、成長を続けています。
- インターネット通販
- カタログ通販
- テレビ通販
小売業の職種
バイヤー
バイヤーは商品の仕入れを担当する小売業の花形ともいえる職種です。
商品に応じた専門のバイヤーが担当する商品の仕入れの決定権を与えられているのが一般的です。
バイヤーには消費者のニーズを見出し、新しい商品を提案することが求められます。
企業の経営方針にも深く関わり、店舗などで経験を積んだ社員が配属されることが多いポジションです。
バイヤーの役割
- 消費者ニーズの把握
- 潜在ニーズの見い出し
- 新しい商品の提案
- 仕入れ商品の決定 など
開発担当
開発担当は新商品の開発やプライベートブランドの開発を担当します。
商品を企画して製造する手配までを行います。
パートナーとなる企業との協業が必要となります。
開発商品は企業の収益に直結することもありますので、やりがいの大きい業務といえます。
開発担当の役割
- 市場の調査
- 商品企画
- 業者の選定
- 商品の試作
- 試作の評価
- 商品化 など
店舗開発
店舗開発は店舗の出店を担当します。
小売チェーンにおいて店舗の出店力、成長力は、企業の業績に直結します。
どこに出店するかを判断して、確保する店舗開発は重要な役割を担っています。
店舗開発の役割
- 出店エリアの不動産情報を分析・把握
- 出店場所の選定
- 不動産権利関係者との交渉
- 出店立地の確保 など
スーパーバイザー
スーパーバイザーは本部と店舗をつなぐ役割を担います。
複数の店舗を担当して、本部の方針に基づき、店舗の目標達成を支援します。
スーパーバイザーは店舗との関係を良好に保ち、店舗の利益を向上させることで、企業の業績も向上させることが求められます。
スーパーバイザーの役割
- 本部の方針を店舗に伝達
- 市場や消費者の動向を共有
- 営業活動・施策の実行
- 店舗の利益向上をサポート など
EC担当
ネット販売(EC)が拡大し、小売企業の多くは自らネットによる販売チャネルを構築するようになりました。
リアル店舗が中心の企業も含めて、多くの小売企業にEC担当が置かれるようになっています。
EC担当は商品をネットで販売するだけでなく、顧客データの分析から新たな提案につなげる役割が求められます。
EC担当の役割
- ECの立ち上げ・制作
- ECの運営
- プロモーション
- 顧客データの分析
- データマーケティング など
広告宣伝担当
広告宣伝担当は商品を宣伝し、消費者に訴求する役割を担います。
広告宣伝の媒体としては、テレビやチラシ、インターネットなどがあり、媒体によって顧客層が異なりますので、ノウハウが求められます。
マス広告の効果が低下し、ECサイトやSNS・アプリなどデジタルの重要度が高まっています。
広告宣伝担当の役割
- 方向性の判断・企画
- 広報戦略の立案
- 担当媒体との調整
- 消費者との関係構築 など
物流担当
物流担当は物流網を管理し、効率化を図る役割を担います。
物流は情報化、自動化が進み、物流担当には最新技術を理解し、対応することが求められるようになっています。
物流センターは自社保有と外部委託があり、物流業者や卸売業者との関係構築も重要な業務となります。
物流担当の役割
- 入出荷・発注の情報管理
- 工程の見直し
- 改善の対応
- 課題の解決
- 物流網の構築・管理 など
店長
店長は店舗のリーダーです。
店舗の現状分析から戦略策定、マネジメントを担当します。
どのような店づくりをして、売り場としての目標を達成していくかが重要な業務です。
店長の役割
- 店舗の現状分析
- 売り場の戦略策定
- 現場の生産性向上
- パート・アルバイトのマネジメント など
店舗スタッフ
小売業界の店舗スタッフは、パートタイマーやアルバイト従業員に支えられています。
スーパーやホームセンターなどでは高い比率となっています。
店舗スタッフの役割
- レジ
- 商品搬入・仕分け
- 品出し
- 清掃
- POP作成 など
まとめ
小売業界にはさまざまなビジネスがありますが、消費者にほしい商品を届けるという目的は同じです。
経験を活かせる仕事ですので、転職してキャリアアップできるチャンスがあります。
【参考】
・総務省ウェブサイト
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス