長引く低金利政策により、銀行の収益環境は厳しい状況が続いています。
店舗や人員の削減など構造改革を進めていますが、新たな収益向上策が必要となっています。
コロナ禍では、融資先の業績悪化に備える与信費用の増加が重荷となっています。
銀行の転職・就職で押さえておきたい業界の動向、収益、採用市場をご紹介します。
銀行業界の最新動向(2022年)
銀行業界とは
日本の金融機関は、業務内容や組織体制などの違いにより、「業態」で区分されています。
それぞれの業態には、それぞれに果たす役割があります。
業態による区分
メガバンク
メガバンクは都市銀行や長期信用銀行の再編で誕生した銀行です。
信託銀行、証券会社、資産運用会社などと総合金融グループを形成しています。
三菱UFJフィナンシャル・グループ
国内最大の金融グループ。
グローバルな投資銀行ビジネスに力を入れる方針です。
- 従業員数:137,997人
- 平均年齢:41歳
三井住友フィナンシャルグループ
収益力は業界トップクラス。
海外戦略はアジア志向を強めています。
- 従業員数:88,443人
- 平均年齢:40歳
みずほフィナンシャルグループ
みずほグループの統括会社。
銀行・信託・証券の一体運営を推進しています。
- 従業員数:54,492人
- 平均年齢:41歳
- みずほ銀行
- みずほ信託銀行
- みずほ証券
- アセットマネジメントOne
- ユーシーカード
- オリエントコーポレーション
- みずほリース
三井住友トラスト・ホールディングス
専業信託銀行グループ。
信託業界トップとして信託業務の一層の推進を求められています。
- 従業員数:22,139人
- 平均年齢:52歳
- 三井住友信託銀行
- 住信SBIネット銀行
- 三井住友トラスト・アセットマネジメント
- 日興アセットマネジメント
- 三井住友トラスト不動産
りそなホールディングス
旧大和とあさひが統合。
首都圏と関西圏に地盤があります。
- 従業員数:31,125人
- 平均年齢:46歳
- りそな銀行
- 埼玉りそな銀行
- りそなカード
- りそなアセットマネジメント
- りそな総合研究所
- 関西みらいファイナンシャルグループ
- りそなプルダニア銀行
新生銀行
TOBが決着し、SBI傘下へ。
- 従業員数:5,605人
- 平均年齢:42歳
- 新生信託銀行
- 新生証券
- 新生フィナンシャル
- アプラスフィナンシャル
- 昭和リース
ネット銀行
ネット銀行は基本的に店舗を持たずにインターネット上で営業を行います。
安い手数料などを武器にシェアを拡大しています。
個人マネーの獲得が好調。
マイナス金利政策を追い風に住宅ローンの取り扱いなどが増加しています。
スマホ向けアプリの導入など顧客の利便性を高め、預金残高を増やしています。
ネット銀行
- 住信SBIネット銀行
- 楽天銀行
- 大和ネクスト銀行
- ソニー銀行
- オリックス銀行
- auじぶん銀行
- PayPay銀行(旧ジャパネット銀行)
流通系銀行
- イオン銀行
- セブン銀行
グローバル金融
グローバル金融は、貸金利益と各種手続きなど非金利収入を収益の柱としています。
コロナ禍から業績が急回復しています。
世界金融大手(時価総額)
- JPモルガン・チェース
- バンク・オブ・アメリカ
- 中国工商銀行
- 招商銀行
- 中国建設銀行
- ウェルズ・ファーゴ
- 中国農業銀行
- モルガン・スタンレー
- シティグループ
- カナダロイヤル銀行
銀行業界の収益
銀行業上位20社
順位 | 企業名 | 年商(百万円) |
1 | 日本銀行 | 116,011,687 |
2 | 三菱UFJ銀行 | 2,635,402 |
3 | 三井住友銀行 | 2,283,356 |
4 | みずほ銀行 | 2,132,943 |
5 | ゆうちょ銀行 | 1,946,224 |
6 | 農林中央金庫 | 1,337,192 |
7 | 三井住友信託銀行 | 845,587 |
8 | 三菱UFJ信託銀行 | 568,370 |
9 | りそな銀行 | 458,453 |
10 | 信金中央金庫 | 227,229 |
11 | 横浜銀行 | 214,956 |
12 | 千葉銀行 | 199,206 |
13 | みずほ信託銀行 | 191,924 |
14 | 静岡銀行 | 180,067 |
15 | 福岡銀行 | 178,348 |
16 | イオン銀行 | 172,120 |
17 | 埼玉りそな銀行 | 155,996 |
18 | 新生銀行 | 152,988 |
19 | あおぞら銀行 | 149,454 |
20 | 常陽銀行 | 140,370 |
(帝国データバンク『全国企業あれこれランキング2022』より)
銀行業界の採用市場
銀行業界の資格取得
銀行業務では、それぞれの組織・職務で専門性が求められます。
銀行業務検定試験
銀行業務検定試験は銀行・保険・証券等金融機関の行職員を対象に、業務の遂行に必要な実務知識や技能・応用力についてその習得程度を測定する検定試験です。
貸金業務取扱主任者
貸金業務取扱主任者は金融法務の全体像がつかめる国家資格です。
融資を行う銀行などの金融機関は営業所ごとに貸金業務取扱主任者を一定数設置しなければなりません。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーには国家資格のファイナンシャル技能検定と民間資格のファイナンシャル・プランナー(AFP・CFP)があります。

銀行業界の求人・転職
銀行業務は企業取引と個人取引に分かれていますが、銀行業界では、個人顧客の資産運用や保険、個人年金、相続などのニーズ拡大・多様化に向けて、個人顧客に対する提案・コンサルティングの強化を進めています。
ネット取引増加の影響を受けて、人員削減が計画されるなど、銀行の新規採用は抑えられていますが、ネット銀行では採用ニーズが続くと思われます。
フィンテックやDX関連ではITエンジニアを中心に人材が求められています。
総務・法務・知財などの職種にも求人ニーズがあります。
銀行業の給与
区分 | 20~24歳 | 25~29歳 | 40.4歳(平均) |
所定内労働時間 | 160時間 | 159時間 | 159時間 |
残業 | 15時間 | 22時間 | 16時間 |
月収 | 241,300円 | 299,800円 | 414,600円 |
年間賞与等 | 424,400円 | 1,035,500円 | 1,586,600円 |
年収 | 3,320,000円 | 4,633,100円 | 6,561,800円 |
(厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」より)
20代の転職活動
転職エージェントの転職支援サービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアコンサルタントが転職をサポートしてくれます。
非公開・独自案件の求人紹介だけでなく、専任のキャリアコンサルタントによる企業ごとの書類作成や面接対策などのサポートで、選考通過率のアップが期待できます。
キャリアごとの転職支援
転職・就職のためのスキルアップ
資格対策ドットコムは、日本FP協会の認定教育機関に登録されているeラーニングです。
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講座受講のメリット
- 金融業界へ有利に転職・就職
- 金融業界でキャリアアップ
- 低コスト・効率的な資格取得
まとめ
ネット銀行の成長やAIの導入など銀行業界は変革期を迎えています。
銀行は経済の活性化や企業の支援など社会的なやりがいがあり、収入面の安定も見込める業界です。
新規採用は抑えられていますが、新たなサービスを中心に人材の採用意欲は高く、キャリアチェンジのチャンスもあります。


