人事労務・総務関係の転職を目指すなら、適性やスキルアップを証明できる資格を取っておきたいところです。
この職務領域で目に見える実績を20代でアピールするのは難しい分、他の応募者をリードするには資格が有効です。
人事労務・総務系で役立つ資格をご紹介します。
人事労務・総務系で役立つ資格
社会保険労務士
社会保険労務士は、労働保険・社会保険の手続きや人事労務のアドバイスを行う国家資格です。
一般企業の人事労務・総務部門では、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の手続きや賃金体系、就業規則の規定、労務管理の業務などがあります。
仕事の中身が会社の仕組みに直結するものなので、人事労務・総務部門のキャリアアップに最適です。
受験資格
- 大学卒業、または大学において62単位以上を修得済み
- 短期大学、高等専門学校卒業
- 修業年限が2年以上、かつ総授業時間数が1,700時間以上の専修学校の専門課程修了
- 定められた国家試験合格者や条件を満たす有資格者
- 社労士や弁護士業務の事務に従事した期間3年以上
試験日
年1回(8月)
試験地
北海道、宮城、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、石川、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、香川、福岡、熊本、沖縄
試験内容
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
合格率
7%程度
問い合わせ
全国社会保険労務士会連合会 試験センター
転職・就職情報
雇用形態の多様化や長時間労働の是正など、労働問題は増加しています。
社会保険労務士は人事労務の専門知識が身についていることを証明できるので、実績が少ない20代の転職では有利です。

社労士試験のおすすめテキスト
衛生管理者
衛生管理者は、事業場の作業環境の管理、労働者の健康管理、労働衛生教育の実施、健康保持増進措置などを行う国家資格です。
オフィスや工場など働く人の安全と健康を守る衛生管理者は、あらゆる業種で必要とされる資格ですので、人事労務・総務部門の転職、キャリアアップで役立ちます。
受験資格
- 大学(短期大学を含む)または高等専門学校を卒業し、その後1年以上の労働衛生の実務経験者
- 高等学校または中等教育学校を卒業し、その後3年以上の労働衛生の実務経験者
- 10年以上の労働衛生の実務経験者
- その他の受験資格は安全衛生技術試験協会サイトを参照
試験日
毎月(各地区安全衛生技術センターにより異なる)
試験地
全国の各地区安全衛生技術センター
試験内容
- 第一種
有害業務に係るものを含む関係法令と労働衛生、労働整理など(3時間) - 第二種
有害業務に係らない関係法令、労働衛生、労働整理など(3時間)
合格率
- 第一種:40%程度
- 第二種:50%程度
問い合わせ
公益財団法人 安全衛生技術試験協会
転職・就職情報
過労死や職場のメンタルヘルスが社会問題となり、業種を問わず役割が大きくなっています。
人事労務・総務部門のエキスパートを目指す資格として注目です。

第一種衛生管理者の一問一答
個人情報保護士
個人情報保護士は、企業内の個人情報保護に関するスタンダード資格です。
「個人情報保護士認定試験」に合格すると認定を受けることができます。
受験資格
制限なし
試験日
3月、6月、9月、12月
試験地
- 公開会場受験:全国の実施会場
- オンライン受験:インターネット環境を整備できる場所
試験内容
- 課題Ⅰ:個人情報保護の総論
- 課題Ⅱ:個人情報保護の対策と情報セキュリティ
合格基準
課題Ⅰ、課題Ⅱの正答率各70%以上
問い合わせ
一般財団法人 全日本情報学習振興協会
転職・就職情報
ほぼすべての企業に個人情報保護法が適用されることとなり、人事労務・総務部門はもちろん、個人情報を扱う多くの職種で役立つ資格といえます。

個人情報保護士の公認テキスト
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、働く人が適性、能力、経験などに応じて、効果的に職業選択や職業生活設計、職業能力の開発ができるように相談に応じたり、助言、指導を行う国家資格です。
受験資格
- 厚生労働大臣が認定する講習の課程の修了者
- 労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力開発および向上のいずれかに関する相談に関して3年以上の経験者
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験の合格者
試験免除
- キャリアコンサルタント学科試験または実技試験においてどちらか片方の合格者は、合格している試験を免除
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の1級または2級の学科試験、実技試験のどちらか片方の合格者は、キャリアコンサルタント試験の対応する試験を免除
試験日
- 学科:5月、8月、11月、翌年2月
- 実技論述:5月、8月、11月、翌年2月
- 実技面接:6月、9月、12月、翌年3月
試験地
札幌、仙台、東京、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、愛媛、福岡、沖縄(予定)
試験内容
- 学科(筆記試験・マークシート方式)
・職業能力開発促進法その他関係法令に関する科目
・キャリアコンサルティングの理論に関する科目
・キャリアコンサルティングの実務に関する科目
・キャリアコンサルティングの社会的意義に関する科目
・キャリアコンサルタントの倫理と行動に関する科目 - 実技論述(記述式)
- 実技面接(ロールプレイ・口頭試問)
合格率
- 学科:60%程度
- 実技:70%程度
問い合わせ
厚生労働省 職業能力開発局 キャリア形成支援課
転職・就職情報
企業の人事部門や人材ビジネス業界への転職・キャリアチェンジに有利です。
公的機関や地域のNPOなどの職員として活躍している人もいます。

キャリアコンサルタントのテキスト&問題集
メンタルヘルス・マネジメント(Ⅰ種)
メンタルヘルス・マネジメント検定は働く人の心の不調の未然防止や活力ある職場づくり、職場で必要なメンタルヘルスケアに関する知識、技術、態度を取得する公的検定です。
検定には3つのコースがあり、Ⅰ種が人事労務管理者向けのマスターコースとなっています。
受験資格
制限なし
試験日
Ⅰ種:11月
試験内容
- 企業経営におけるメンタルヘルスケア対策の意義と重要性
- メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
- ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
- 人事労務管理スタッフに求められる能力
- メンタルヘルスケアに関する方針と計画
- 相談体制の確立
- 教育研修 ほか
合格率
10~18%
問い合わせ
メンタルヘルス・マネジメント検定試験センター
転職・就職情報
人事労務管理者向けのⅠ種を取得すれば、人事労務部門やメンタルヘルスケア関連の転職で有利に活用できます。

メンタルヘルス・マネジメント検定試験の公式テキスト
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、働く人の相談に応じて、助言したりメンタルケアをする仕事です。
日本産業カウンセラー協会が実施する民間資格です。
受験資格
- 受験日に20歳以上で、協会が行う産業カウンセリングの学識及び技能を修得するための講座の修了者
- その他の受験資格は公式HP参照
試験日
- 学科:1月
- 実技:1月
試験内容
- 学科:産業カウンセリング概論、カウンセリングの原理・技法など
- 実技:口述試験とロールプレイ
合格率
70%程度(総合合格率)
問い合わせ
一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
転職・就職情報
従業員のメンタルケアにかかわる企業の人事部門などの転職でアピール材料となります。
TOEIC(R)L&Rテスト
TOEIC(R)L&Rテストは、英語で聞く・読む能力を測定する世界共通の判定試験です。
業種・職種を問わず、採用選考などの基準として参考にする企業が多くなっています。
受験資格
制限なし
試験日
毎月1回(午前と午後の2回)
※10月は月2回実施
試験地
全国のエリアごとの試験会場
試験内容
マークシート方式
- リスニングセッション:約45分・100問
・写真描写問題
・応用問題
・会話問題
・説明文問題 - リーディングセッション:75分間・200問
・短文穴埋め問題
・長文穴埋め問題
・1つの文書/複数の文書
スコアのレベル
- 860以上
Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる - 730~860未満
どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている - 470~730未満
日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる - 220~470未満
通常会話で最低限のコミュニケーションができる - 220未満
コミュニケーションができるレベルに至っていない
問い合わせ
一般社団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
転職・就職情報
企業のグローバル化が進み、TOEICスコアを採用、昇格・昇進、海外赴任などの基準に用いる企業が増えています。
日常業務で英語を使用しなくても、あらゆるキャリアステージで求められます。

TOEICテストの公式問題集
まとめ
資格試験に合格するためには、ある程度、集中して勉強する時間を確保することが必要になります。
転職してから資格をそのまま活用できるとは限らなくても、人事労務・総務系のキャリアを進もうと考えるなら、勉強しておいて損になることはありません。
経験が浅い人やキャリアチェンジの転職では、特に有効なアピール材料になるでしょう。




【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・各試験実施機関ウェブサイト