基本手当とは

キーワード解説

基本手当

基本手当とは、雇用保険の一般被保険者が、失業したときに受けられる給付のことです。

離職中の生活を支える代表的な給付で、一般的に「失業保険」や「失業手当」と呼んでいるのは、失業等給付の基本手当の部分を指しています。

基本手当の給付を受けられる日数は、受給資格に係る離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間および離職の理由などによって決定され、90日~360日の間でそれぞれ決められます。

倒産や解雇などにより再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた特定受給資格者や期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職した特定理由離職者は、一般の離職者に比べ手厚い給付日数となる場合があります。

基本手当の給付を受けるためには、ハローワークで求職の申し込みを行い、失業の認定を受ける必要があります。

受給するための要件

基本手当の受給には、ハローワークで求職の申し込みをしていて、いつでも働くことができるにもかかわらず、職業に就くことができない「失業の状態」にあることが必要です。

また、離職日以前の2年間に被保険者期間が通算して12ヵ月以上あることが必要です。

ただし、特定受給資格者と特定理由離職者は離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上に受給要件が緩和されます。

  • 特定受給資格者
    会社の倒産や解雇などの理由により離職した人
  • 特定理由離職者
    ・期間の定めのある労働契約の満了後、契約の更新がなく離職した人
    ・正当な理由により自己都合退職した人

失業の状態

失業とは働く意思および能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態のことです。

以下のように、失業の状態にない人は基本手当を受けることはできません。

  • 病気やけがのため、すぐには就職できないとき
  • 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
  • 定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
  • 結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき

待期

ハローワークへ求職の申し込みを行った日(受給資格決定日)から、7日間は基本手当が支給されません。

この期間を「待期」といいます。

給付制限

待期期間が終了した後、自己都合退職の場合は2ヵ月(5年間のうち2回まで)、自己の責任による重大な理由により解雇された場合は3ヵ月、基本手当が支給されません。

この期間を「給付制限」といいます。

失業の認定

失業の状態にあったことの確認は、原則として4週間に1回ずつ、ハローワークが指定した日(失業認定日)に行われます。

基本手当を受給する流れ

  1. 会社から離職票を受け取る
  2. ハローワークに求職の申し込みをして、受給資格の確認を受ける
  3. 待期期間(7日間)
  4. 自己都合などの退職では、待期終了後に給付制限期間
  5. 失業の認定(4週間に1回)を受けて、日数分の基本手当を受給する

基本手当の支給額

雇用保険で受給できる1日あたりの金額を「基本手当日額」といいます。

基本手当日額は、原則として離職した日の直前の6ヵ月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額の50~80%となっています。

基本手当日額には年齢ごとに上限額が定められています。

  • 30歳未満:6,835円
  • 30歳以上45歳未満:7,595円
  • 45歳以上60歳未満:8,355円
  • 60歳以上65歳未満:7,177円

(※2022年8月1日現在)

基本手当の所定給付日数

【一般の離職者】

区分/被保険者であった期間1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢90日90日120日150日

【特定資格者および一部の特定理由離職者】

区分/被保険者であった期間1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満90日120日180日210日240日
35歳以上45歳未満90日150日180日240日270日
45歳以上60歳未満90日180日240日270日330日
60歳以上65歳未満90日150日180日210日240日

【就職困難者】

区分/被保険者であった期間1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
45歳未満150日300日300日300日300日
45歳以上65歳未満150日360日360日360日360日

公共職業訓練等を受講する場合

ハローワークで行う「職業相談」のなかで、再就職するために公共職業訓練等を受講することが必要であると認められた場合は、訓練期間中に所定給付日数が終了しても、引き続き基本手当が支給されます。

また訓練受講に要する費用として、「受講手当」や「通所手当」などが支給されます。

傷病手当

傷病手当は、受給資格者が求職の申し込みをした後に15日以上引き続いて病気やケガのために働くことができない場合に支給されます。

14日以内の病気やケガの場合には基本手当が支給されます。

傷病手当の日額は基本手当の日額と同額です。

基本手当の拡充

2017年4月から基本手当が拡充されました。

  1. 雇用情勢が悪い地域に住む人の給付日数を延長する暫定措置を実施
  2. 災害による離職者の給付日数を原則60日(最大120日)延長できる
  3. 雇い止めされた有期雇用労働者の所定給付日数を倒産・解雇並みにする暫定措置を実施
  4. 倒産・解雇等による30~45歳未満の離職者の所定給付日数を引き上げる
  5. 賃金日額を引き上げる

不正受給

不正の行為で基本手当を受けたり受けようとした場合には、以後、基本手当を受給することができなくなり、返還を命じられます。

また返還が命じられた不正受給金額とは別に不正行為により支給を受けた額の2倍に相当する額の納付を命じられます。

  • 実際には行っていない求職活動を実績にするなど偽りの申告を行った場合
  • 就職や就労(パートタイマー、アルバイト、派遣就業、試用期間、研修期間、日雇などを含む)したにもかかわらず、事実を記さず、偽りの申告を行った場合
  • 自営や請負により事業を始めているにもかかわらず、その事実を記さず、偽りの申告を行った場合
  • 内職や手伝いをした事実およびその収入を記さず、偽りの申告を行った場合
  • 定年後、就職しようとする意思や能力がなく、年金を受給しようと考えている人が偽りの申告を行った場合

【参考】
・ハローワークインターネットサービス
・厚生労働省ウェブサイト

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基本手当は離職理由や雇用保険の加入期間、年齢などにより支給される期間や計算方法が違う