メガバンクは都市銀行や長期信用銀行の再編で生まれました。信託銀行や証券会社を傘下に金融グループを形成しています。
地方銀行は各都道府県を主な営業基盤とする普通銀行です。地方経済の縮小により合併が続き、地方銀行と信用金庫、信用組合の異種合併も行われています。
就活・転職で押さえておきたい銀行業界の概要と動向についてご紹介します。
銀行業とは
銀行業とは、中央銀行と銀行業または信託業を営む預金取扱機関のことです。
日本の金融機関は、業務内容や組織体制などの違いにより、「業態」で区分されています。
銀行の役割
それぞれの業態には、それぞれに果たす役割があります。
中央銀行
中央銀行は銀行券を発行し、通貨および金融の調節を行います。
普通銀行
普通銀行は、主に「預金業務」「融資業務」「為替業務」を行います。
信託銀行
信託銀行は、主に「信託業務」を行います。
金融機関の業態
- 都市銀行
- 信託銀行
- 地方銀行
- 第二地方銀行
- 信用金庫
- 信用組合
- 労働金庫
メガバンク
メガバンクは都市銀行や長期信用銀行の再編で誕生した銀行です。信託銀行、証券会社、資産運用会社などと総合金融グループを形成しています。
三菱UFJフィナンシャル・グループ
国内最大の金融グループ。グローバルな投資銀行ビジネスに力を入れる方針です。好調な業績で2023年後は過去最高益になる見通しです。
- 純利益:1兆1,164億円
- 従業員数:127,122人
- 平均年齢:30歳
- 三菱UFJ銀行
- 三菱UFJ信託銀行
- 三菱UFJ証券ホールディングス
- auカブコム証券
- 三菱UFJ国際投信
- 三菱UFJニコス
- アコム
- 三菱HCキャピタル(旧三菱UFJリース)
- ジャックス
- 三菱UFJイノベーション・パートナーズ
三井住友フィナンシャルグループ
収益力は業界トップクラス。海外戦略はアジア志向を強めています。
- 経常収益:8,058億円
- 従業員数:101,023人
- 平均年齢:40歳
みずほフィナンシャルグループ
みずほグループの統括会社。銀行・信託・証券の一体運営を推進しています。
- 純利益:5,555億円
- 従業員数:51,212人
- 平均年齢:41歳
- みずほ銀行
- みずほ信託銀行
- みずほ証券
- アセットマネジメントOne
- ユーシーカード
- オリエントコーポレーション
- みずほリース
- PayPay証券
- 楽天証券
三井住友トラスト・ホールディングス
専業信託銀行グループ。信託業界トップとして信託業務の一層の推進を求められています。
- 純利益:1,910億円
- 従業員数:22,465人
- 平均年齢:50歳
- 三井住友信託銀行
- 住信SBIネット銀行
- 三井住友トラスト・アセットマネジメント
- 日興アセットマネジメント
- 三井住友トラスト不動産
りそなホールディングス
旧大和とあさひが統合。首都圏と関西圏に地盤があります。
- 純利益:1,604億円
- 従業員数:19,283人
- 平均年齢:45歳
- りそな銀行
- 埼玉りそな銀行
- 関西みらい銀行
- みなと銀行
- りそなカード
- りそなアセットマネジメント
- りそな総合研究所
- りそなプルダニア銀行
SBI新生銀行
SBIグループ傘下へ。2023年9月に上場を廃止しました。
- 純利益:427億円
- 従業員数:5,560人
- 新生信託銀行
- 新生証券
- 新生フィナンシャル
- アプラス
- 昭和リース
ネット銀行
ネット銀行は基本的に店舗を持たずにインターネット上で営業を行います。
安い手数料などを武器にシェアを拡大しています。個人マネーの獲得が好調。住宅ローンの取り扱いなどが増加しています。
スマホ向けアプリの導入など顧客の利便性を高め、預金残高を増やしています。
ネット銀行
- 住信SBIネット銀行
- 楽天銀行
- 大和ネクスト銀行
- ソニー銀行
- オリックス銀行
- auじぶん銀行
- PayPay銀行(旧ジャパネット銀行)
流通系銀行
- イオン銀行
- セブン銀行
- ローソン銀行
地方銀行
地方銀行は、都道府県を営業基盤とする地域金融機関です。相互銀行などを前身とする地方第二銀行を含めて地方銀行と呼ばれます。
地域経済のけん引を担ってきた有力な地方銀行はメガバンクをしのぐシェアで確固たる地位を築いています。
厳しい収益環境が続き、収益性を高める狙いから再編や経営統合の動きが活発です。
北海道・東北地区
人口減少が進み、経済力が低下しています。金融再編の圧力が強まる可能性があります。
- 北海道銀行(ほくほくフィナンシャルグループ)
- 北洋銀行
- 青森銀行(プロクレアホールディングス)
- みちのく銀行(プロクレアホールディングス)
- 秋田銀行
- 北都銀行(フィデアホールディングス)
- 岩手銀行
- 東北銀行
- 北日本銀行
- 七十七銀行
- 仙台銀行(じもとホールディングス)
- 山形銀行
- 荘内銀行(フィデアホールディングス)
- きらやか銀行(じもとホールディングス)
- 東邦銀行
- 福島銀行
- 大東銀行
関東地区
関東地区は人口増加傾向にあり、金融グループ形成に対抗する動きが活発です。
- きらぼし銀行
- 東京スター銀行
- 東日本銀行(コンコルディア・フィナンシャルグループ)
- 横浜銀行(コンコルディア・フィナンシャルグループ)
- 神奈川銀行
- 武蔵野銀行
- 千葉銀行
- 千葉興業銀行
- 京葉銀行
- 足利銀行
- 栃木銀行
- 群馬銀行
- 東和銀行
- 常陽銀行
- 筑波銀行
北陸・甲信越地区
北陸地区は競合関係が定着しています。
東海地区
東海地区は安定した経済力があり、地銀は安定した経営を続けています。
関西地区
関西地区は地銀3行が統合し、りそなホールディングス傘下になりました。
- 関西みらい銀行(関西みらいフィナンシャルグループ)
- 京都銀行
- 紀陽銀行
- 滋賀銀行
- 池田泉州銀行
- みなと銀行(関西みらいフィナンシャルグループ)
- 但馬銀行
- 南都銀行
中国・四国地区
中国・四国地区では四国アライアンスの提携がみられます。
九州・沖縄地区
九州地区では地方銀行の再編が活発です。
- 福岡銀行(ふくおかフィナンシャルグループ)
- 筑邦銀行
- 西日本シティ銀行(西日本フィナンシャルホールディングス)
- 福岡中央銀行
- 北九州銀行
- 鹿児島銀行
- 南日本銀行
- 宮崎銀行
- 宮崎太陽銀行
- 大分銀行
- 豊和銀行
- 十八親和銀行(ふくおかフィナンシャルグループ)
- 長崎銀行(西日本フィナンシャルホールディングス)
- 肥後銀行
- 熊本銀行(ふくおかFG)
- 佐賀銀行
- 佐賀共栄銀行
- 琉球銀行
- 沖縄銀行
- 沖縄海邦銀行
協同組織金融業
協同組織金融業は、組合員である中小企業、農業者、漁業者、労働団体、協同組合等に対して預金の受入れや融資を行います。
協同組織金融業の分類
- 中小企業等金融業
・信用金庫
・信用協同組合
・商工組合中央金庫
・労働金庫 - 農林水産金融業
・農林中央金庫
・信用農業協同組合連合会
・信用漁業協同組合連合会
・農業協同組合
・漁業協同組合
信用金庫・信用組合
信用金庫と信用組合は、出資者である会員から預金を集め、中小企業や個人に融資する金融機関です。
認可を受けた特定の地域内で営業をし、コロナ禍では中小企業や個人事業主の資金繰りを支えてきました。
信金中央金庫
- 出資金:6,909億円
- 会員数:254信用金庫
全国信用協同組合連合会
- 出資金:1,118億円
- 会員数:145信用組合
グローバル金融
グローバル金融は、貸金利益と各種手続きなど非金利収入を収益の柱としています。
世界金融大手(時価総額)
- JPモルガン・チェース(米)
- 中国工商銀行(中)
- バンク・オブ・アメリカ(米)
- 中国農業銀行(中)
- 中国建設銀行(中)
- ウェルズ・ファーゴ(米)
- 中国銀行(中)
- HSBC(英)
- モルガン・スタンレー(米)
- ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(カナダ)

金融系の資格
銀行業務では、それぞれの組織・職務で専門性が求められます。転職や就職、キャリアアップには資格取得が必須といえます。
銀行業務検定試験
銀行業務検定試験は銀行・保険・証券等金融機関の行職員を対象に、業務の遂行に必要な実務知識や技能・応用力についてその習得程度を測定する検定試験です。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーには国家資格のファイナンシャル技能検定と民間資格のファイナンシャル・プランナー(AFP・CFP)があります。
貸金業務取扱主任者
貸金業務取扱主任者は貸金業の営業所に必ず置かなければならない国家資格です。
消費者金融やクレジットカードなどの事業では、営業所ごとに貸金業務取扱主任者を一定数置くことが義務付けられています。

銀行業界の採用市場
銀行業務は企業取引と個人取引に分かれていますが、銀行業界では、個人顧客の資産運用や保険、個人年金、相続などのニーズ拡大・多様化に向けて、個人顧客に対する提案・コンサルティングの強化を進めています。
ネット取引増加の影響を受けて、人員削減が計画されるなど、銀行の新規採用は抑えられていますが、ネット銀行では採用ニーズが続くと思われます。
フィンテックやDX関連ではITエンジニアを中心に人材が求められています。
総務・法務・知財など管理部門の職種にも求人ニーズがあります。
銀行業の給与
区分 | 20~24歳 | 25~29歳 | 41.4歳 (平均) |
所定内労働時間 | 161時間 | 158時間 | 158時間 |
残業 | 15時間 | 25時間 | 17時間 |
月収 | 249,500円 | 321,700円 | 428,100円 |
年間賞与等 | 401,500円 | 1,085,000円 | 1,683,100円 |
年収 | 3,395,500円 | 4,945,400円 | 6,820,300円 |
(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より)
銀行業界の転職活動
転職サービスを利用すると、業界や職種に精通したコンサルタントのサポートを受けることができます。在職中の忙しいビジネスパーソンであっても転職活動をすることができます。
地方銀行の転職活動には地域や金融機関に強みのある転職サービスがおすすめです。

まとめ
銀行は経済の活性化や企業、個人の支援など社会的なやりがいがあり、収入面の安定も見込める業界です。
新規採用は抑えられていますが、新たなサービスを中心に人材の採用意欲は高く、キャリアチェンジのチャンスもあります。
ネット銀行の成長やAIの導入など銀行業界は変革期を迎えています。

【参考】
・総務省「日本標準産業分類」
・金融庁ウェブサイト
・一般社団法人全国銀行協会
・一般社団法人全国地方銀行協会
・一般社団法人第二地方銀行協会
・一般社団法人信託協会
・各企業公式サイト
・日本経済新聞出版『日経業界地図2024年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2024年版』