キーワード解説
労働基準法
労働基準法とは、労働者の労働条件全般について基準を定めた法律のことです。
労働条件に関する最低基準を定めたもので、労働基準法を下回る労働協約や就業規則、労働契約の条件は無効となります。
労働基準法は労働者を保護することを目的としている強行規定です。
- 賃金の支払いの原則
直接払い、通貨払い、全額払い、毎月払い、一定期日払い - 労働時間の原則
1週40時間、1日8時間 - 時間外・休日労働
労使協定の締結 - 割増賃金
時間外・深夜2割5分以上、休日3割5分以上 - 解雇予告
従業員を解雇しようとするときは30日以上前の予告または30日分以上の平均賃金の支払い - 有期労働契約
原則3年、専門的労働者は5年
その他、年次有給休暇、就業規則などについて規定しています。
仮に当事者間で同意していたとしても、労働基準法を下回る労働条件で契約をすることはできず、違反する部分は無効となる強制力があります。
事業者は労働基準監督官に違反を指摘されれば、是正勧告を受け、悪質な場合には、罰金刑、懲役刑を科されることもあります。
例えば、従業員が「残業手当はいらない」として契約をして、その同意書があったとしても、実際に残業をしていれば、残業手当の支払いは必要になります。
支払われていない残業手当は未払い残業代として過去3年に遡って請求できます。
労働基準法の適用範囲
労働基準法では労働者を「職業の種類を問わず、事業または事業所に使用されている者で、賃金を支払われる者」と定義しています。
原則、労働基準法が適用される事業で賃金をもらって働くすべての人が労働者になります。
正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト、派遣社員など雇用形態に関わらず、すべて労働者であり、労働基準法の適用を受けます。
請負・業務委託契約で働くフリーランスなどは、労働の対価として賃金が支払われていないので、労働基準法の労働者には該当しません。
使用者については、「事業主、事業の経営担当者、その事業の労働者に関する事項について、事業主のための行為をするすべての者」と定義しています。
個人事業主や法人そのもの、法人の代表や役員、各事業において権限と責任を持つ部長や工場長、支店長などが労働基準法でいう使用者になります。
適用除外となる事業
労働基準法は、原則すべての事業に適用されますが、除外される事業もあります。
- 同居親族のみが働く事業
- 家事使用人
- 公務員(一部は適用される)
- 船員(一部は適用される)
労働基準法で主に定められていること
- 労働条件
- 均等待遇
- 男女同一賃金の原則
- 強制労働の禁止
- 中間搾取の排除
- 公民権行使の保障
- 労働者の定義
- 使用者の定義
- 賃金の定義
- 平均賃金
- 労働契約
- 労働条件の明示
- 解雇制限、解雇の予告
- 退職時の証明
- 賃金の支払
- 休業手当
- 最低賃金
- 労働時間
- 変形労働時間制
- 休憩
- 休日
- 時間外および休日の労働
- 時間外、休日および深夜の割増賃金
- 事業場外労働
- 専門業務型裁量労働制
- 企画業務型裁量労働制
- 年次有給休暇
- 安全衛生
- 年少者、未成年者の労働契約
- 深夜業
- 危険有害業務の就業制限
- 女性、妊産婦
- 技能者の養成
- 災害補償
- 就業規則
- 寄宿舎
- 監督機関
- 記録の保存
- 罰則
労働基準法違反
労働基準法の違反行為については、違反の実行者とともに企業も罰則を受けます。(両罰規定)
- 強制労働の禁止違反
- 中間搾取の禁止違反
- 最低年齢制限違反
- 均等待遇違反
- 男女同一賃金の原則違反
- 時間外、休日および深夜の割増賃金の不払い
- 労働時間制限違反
- 年次有給休暇の付与義務違反
- 休日付与義務違反
- 解雇予告義務違反
- 産前産後の就業規制違反
- 申告に係る不利益取扱い禁止違反
- 最低賃金の不払い
- 労働条件の明示義務違反
- 賃金支払い5原則違反
- 休業手当の支給義務違反
- 就業規則の作成義務、届出義務違反
- 1年単位変形労働時間制の労使協定の届出違反
- 退職時の証明書の交付義務違反
- 法令等の周知義務違反
労働に関連する法律
労働基準法以外にも労働に関する法律はたくさんあります。
労働者の権利を保護するさまざまな法律は「労働法」と総称されます。
- 労働基準法
- 労働組合法
- 労働関係調整法
- 労働契約法
- 最低賃金法
- 労働安全衛生法
- 男女雇用機会均等法
- 育児・介護休業法
- 労働者災害補償保険法
- 障害者雇用促進法
- 高齢者雇用安定法
- 労働者派遣法
- パートタイム・有期雇用労働法 など
参考:厚生労働省ウェブサイト